【感想・ネタバレ】日米同盟の正体 迷走する安全保障のレビュー

あらすじ

日米同盟は、日本の安全を保障するのか? 米戦略が冷戦後、そして9・11後、変質する中で、日米同盟も日本人が気づかないうちに大きくその性格を変えた。米戦略を丹念に読み解き、日本の戦略を考える。(講談社現代新書)

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Posted by ブクログ

ネタバレ

 戦後以来の日米の安全保障の実態と展望について論じた本。「戦術は戦略に、戦略は政治に、政治は経済に従属する」(byヤン・ウェンリー)という格言通り、安全保障を経済の面からも語るという視点が新鮮である。そもそも私が安全保障について不勉強なのもあるだろうが。

 興味深い点
・アメリカはサンフランシスコ平和条約の権利の留保をちらつかせることで冷戦体制下で北方領土の日本への返還を阻止し続けてきた。これは日本とソ連の接近を警戒し、日本を西側の資本主義陣営に組み込むためであった。

・「米軍に駐留してもらっている以上、日本もアメリカに何かしなくては」という意見があるが、日本が負担する米軍駐留費は額、率とも最高水準だし、日本の米軍基地の価値も世界でもトップクラス。

・アメリカが中東にこだわる理由は、一般的に言われている石油利権ではなく、世界最強を誇る米軍の維持とイスラエルとの関係によるもの。米軍の存在意義はイラン、イラク、北朝鮮といった悪の枢軸(敵)によるところが大きいし、オバマはイスラエル系のロビーから選挙の支援を受けていた。

・世界にとって日本は経済的に主要な位置を占め、好感度も世界でトップクラスである。戦争のリスクを減らすには、核兵器やミサイル防衛に頼るよりもこれらの要素や、孫子の「上兵は謀を討つ」に基づく安全保障政策を打ち出すほうが有効であろう。

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2011年06月06日

Posted by ブクログ

ネタバレ

日米同盟を主題にしつつ、日米の外交戦略を考察しています。その中で、2005年以降日米安全保障協力の範囲が極東から世界に拡大していることを指摘し、日本は安全保障問題を再度考えるべき時期に来ていると論じています。
全般的に興味深い話も多く、勉強になりました。よく聞く日米の同盟の非対称性についても不公平なものではないことがよくわかります。グローバリズムや経済発展が戦争抑止に繋がっていることも。
1点、日本の安全保障は戦略的思考に欠けているとの記載があり、外国支配(米国占領期除く)の経験がなくその悲惨さを知らないことが最大の理由とされていますが、個人的には先の大戦以降この分野に対して思考停止になっていることも大きな理由な気がします。外国支配の経験がないのは米国も同様ですし、福沢諭吉の”学問のすすめ”を読んだ限りでは幕末~明治の人は外国支配の恐怖を認識していた気がします(あくまで個人的意見)。

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2011年09月08日

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