【感想・ネタバレ】羽生善治論 「天才」とは何かのレビュー

あらすじ

「神武以来の天才」と呼ばれる著者が、天才棋士「羽生善治」を徹底分析。なぜ、彼だけが強いのか? 七冠制覇達成を可能にしたものとは? 40歳になっても強さが衰えない秘密とは?

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Posted by ブクログ

ネタバレ

天才が天才を語る。これほど贅沢なノンフィクションもなかなかない。神武以来の天才・加藤一二三九段が、羽生善治を論じるのである。ついでに自分の天才っぷりももちろん語る。羽生ファン、加藤一二三ファンならずとも、楽しめる作品である。
個人的には、名人戦の仕掛け人としていろいろ仕事してきた舞台が再三現れるのも嬉しかった。第66期名人戦第二局、森内名人の大悪手の際は、対局室のすぐ近くにあった検討室で加藤先生があげた「うっひゃー!」という叫びが、対局室に聞こえてしまうのではないかと気を揉んだものだった。
また、私の最後の仕事となった第70期名人戦第1局の名人勢揃い写真も掲載されていた。これも企画者としては感無量である。

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2013年09月18日

Posted by ブクログ

ネタバレ

チェック項目18箇所。羽生善治を改めて考えてみたい……一つめは、その圧倒的な強さの秘密はどこにあるのかを探ってみたかったことである、二つめは羽生善治とは何者なのか、ということを考えてみたかったことである、そして最後の理由は、羽生さんがいったい、どこに向かおうとしているのかということに、強い興味を覚えたことだ。本書は「羽生善治論」というタイトルであるが、あえて最高峰が誰であるかを書くことは差し控えた、大作曲家であるバッハ、ベートーヴェン、モーツァルトを比べるようなもので、見解は分かれるところである。羽生善治という棋士を通して、将棋への興味と理解を深めてもらえれば、とてもうれしく思う。将棋400年の歴史に残る大名人である大山さんが棋士は「天才業」と呼んでいたのだから、少なくともタイトル戦を戦っているようなトップ棋士は、自分が意識しているかどうかはともかくとして、「天才」と呼んでもさしつかえないだろう、したがって、羽生さんも、天才であることは間違いない。大天才とは、無から有を生み出すことのできる人、まったく何もないところから、前例のない、すばらしい着手や作戦を思いつく―天才とは、そういうことができる人である。勉強をしている、していないにかかわらず、早く指すことができて、しかも着手が正確で、なおかつ勝つこと―これは、間違いなく天才の共通点である、絶対だ、天才は、盤を見た瞬間に、パッと手がひらめくのである、こうした能力は努力したからといって身につくものではない、もって生まれた、並外れた素質としかいいようがない。あとから考えた手というのは、冷静かつ慎重に、確認しながら読んでいった末の選択であるのだから、その思考回路に欠陥はないはずである、理屈でいえば、ひらめいた手よりすぐれているはずだ、しかし、読むときは往々にして自分の都合のいいように読んでしまう、どこかに判断のおかしいところが生じてしまう。直感の手、ひらめいた手というのは、無心で捉えている、将棋の世界で生きている人間は、無心の手がいちばんいいと考えているものだ。「秀才型」というのは、研究がもはやスタイルになっているタイプのことだ、羽生さんはおそらくそうだと思うし、谷川さんもこのタイプだろう。羽生さんはなんとか苦しい局面をしのぎながら、まさしく糸のような細い、細いコースを辿っていくことができるのである、それが可能である理由はやはり、「勝負勘がずば抜けている」ということだと私は思っている。「不利な状況を喜べる人間」―羽生さんは自分自身をそう評しているが、つまりピンチのときほど奮い立ち、なんとかすることを喜びと考えられる、そうした姿勢が羽生マジックを生み出すのだと思う。ほかの棋士に較べ、作戦のレパートリーが圧倒的に広いこと、それは羽生さんを語るうえで絶対に見逃せない特徴であり、完勝が多い理由にもなっているのではないかと私は思う。将棋に必要な体力は、消耗しない体力だといっていい、いかに長時間、フレッシュな状態を保てるかということが肝心なのであり、これらは憎体的トレーニングをしたからといって身につくものではない、対局を重ねていくなかでしか培われないものなのである。羽生さんと森内さんの将棋をあらためて検討してみて浮かび上がってきたことは、森内さんが非常によく羽生さんを研究しているということである、とくに序盤の研究は行き届いている、このことが、森内さんが羽生さんと相性のいい最大の理由だと私は思う。

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2013年07月07日

Posted by ブクログ

ネタバレ

羽生は秀才型の天才。
正統にして王道。相手をよく研究する。
森内名人に名人戦でいまいちなのは、森内の方が対局数が少なく、
よく研究できるから。
谷川への心配。会長就任で勝ち数が減るのではないか。
羽生とのNHK杯戦。5二銀を挙げる人が多いが、4八玉がすごいと
加藤は指摘。まさにその通りだと思う。
生は冒険してくる。居合抜きのようにピュッと抜くという感じ。

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2013年07月15日

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