あらすじ
一九四六年、戦後間もない東京で野球の力を信じた男がいた。復興への期待を胸に、「日本リーグ」を立ち上げようと走り出す日系2世の元ピッチャー矢尾。戦時中、カリフォルニアの収容所で絶望の日々を送る彼を支えたのは、ニグロリーグのスター選手ギブソンとの友情だった。構想10年、渾身の感動作! (講談社文庫)
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堂場瞬一さんによる野球小説。
戦後すぐ、職業野球に対抗して発足しようとしている日本リーグ。その選手兼監督になるよう要請された二世ピッチャー矢尾。その矢尾とともに戦前から話が展開されていく。
日本リーグ、アメリカ二世戦中の収容所、ニグロリーグとすべて表舞台からは弾かれてしまっている場所での人々の存在。同じ『野球の国』に生まれたはずなのに苦しい立場で居続けなければいけない苦しさ。
野球が持つ力と人種を超えた絆。
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文庫版を再読。ニグロリーグなどの史実を巧妙に交え、フィクションでありながら実際にあってもおかしくないなと思わせる著者の作風には感心する。
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本の中で時間が伸び縮みしているような錯覚を受ける。
球を投げる瞬間の手の動きとか、球の軌跡とか、緊張感を持って語られる。思わず引き込まれる。
戦前戦後を生きた日系二世と野球の話。この季節に読めてよかった本。
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日系2世アメリカ人で、戦前の日本で一時期「職業野球」の投手として活躍した主人公、と、黒人選手のニグロリーグで活躍した伝説の大打者との友情。
戦前・戦中・戦後の日米関係が険悪な状況の中、またアメリカでの人種差別も色濃く残る時代ながら、野球を愛する主人公たちにとっては、アメリカだろうが日本だろうが、黒人だろうが黄色人種だろうが、「野球の国」という同じ国に住む仲間なのだ。
終わり方は少しばかり寂しかったものの、良いお話でしたぁ。
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戦後に構想のあった野球の「日本リーグ」創設に向けての動きを追った作品。何となくは聞いたことはあったが、こんな動きがあったとは知らなかった。戦前戦後にアメリカにあった黒人だけの「ニグロリーグ」の存在も初めて知った。やはり、人種差別は根深いと改めて印象づけられる。
本作は、そんなニグロリーグのスター選手と野球経験のある日系二世の男性との野球を通した交流・友情物語といった内容が主線。戦争が2人の人生に大きな影響を与えており、これも一種の戦争物との捉え方もできる。
歴史の一端を捉えることができる物語である。
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長距離移動の際に読む。今のプロ野球だけでなく、日本リーグというものが生まれていたかもしれないというのは初めて知った。野球の情景があまりないので、期待とは違ったが、特に後半からはギブスンの友情に引き込まれた。
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野球物語。
久しぶりに読み終わらない本でした。次のページが気になる本ではなく、ゆっくりと味わいたくなる本。史実と歴史上の野球選手がちりばめられたストーリーは、ノンフィクションのような錯覚をもたらし、あの時代のサイドストーリー。
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戦後すぐに新たなプロ野球を立ち上げようとした男は日系二世のアメリカ人。その矢尾がアメリカで対戦した黒人リーグの最強打者ギブソンとの友情を軸に、野球への情熱が動き出す。実在のモデルがいるところにうまくフィクションを重ねているところが、リアリティと迫力を作り出していて面白かった。
Posted by ブクログ
『八月からの手紙』と言うので、
夏の高校野球モノかと思ったら、
もう一つの八月、終戦(戦争)関連の作品でした。
戦争前後に時代が行きつ戻りつ、
舞台も、日本とアメリカ行きつ戻りつしながら、
話は進んでいきます。
しかも、国民リーグと、ニグロリーグという
歴史の舞台裏に隠れてしまい、
知る人は少ない野球リーグがそのベースになっています。
読ませますねぇ。
虐げられたもの同士に通じる友情が心を打ちます。
Posted by ブクログ
野球の国に生きた男達の物語。
戦争を挟んで日本とアメリカ、黒人と日本人、一世と二世、同じ野球の国に居ても少しづつ違う。そのせいで別れるのではなく繋がっていくのが羨ましい。
アメリカの彼はギブソン、おとさんにデッドボールをぶつけて死なせてしまったのはピッチャーのギブソンだから違う人だと思うけど、
ギブソンって多いの??
Posted by ブクログ
日本リーグの立ち上げを目指す、日系二世のアメリカ人矢尾と、世界最高の打者、ニグロリーグの主砲ギブソン
2人も、太平洋戦争時の日系人、白人至上主義時の黒人として虐げられているものの、野球の国の住人として繋がっていく