【感想・ネタバレ】冤罪の深層 追跡・大川原化工機事件のレビュー

あらすじ

警視庁公安部が事件を捏造!

前代未聞の国家犯罪の全貌を暴き
権力の闇に迫る

調査報道大賞を2年連続受賞ほか、各賞総なめの
NHKスペシャル「“冤罪”の深層」シリーズ、
ついに書籍化!

軍事転用が可能な精密機器を不正に輸出したとして横浜市の中小企業の社長ら3人が逮捕された大川原化工機事件。
長期勾留ののち異例の起訴取り消しとなり、会社側は国と東京都に賠償を求めて提訴する。
第一審で証人として出廷した現役捜査員は「まあ、(容疑は)捏造ですね」と衝撃の証言。
裁判は、警視庁公安部と東京地検の違法捜査を認め、国と東京都に約1億6600万円の賠償を命じて確定。原告側の全面勝訴となった。

衝撃の冤罪はなぜ起きたのか。警視庁公安部で何が起きていたのか。
NHKディレクターである著者は、早い段階からこの事件を取材。多数の内部文書や音声記録を入手し、警視庁公安部の捜査を徹底検証した。
制作したNHKスペシャル「冤罪の深層」シリーズは大きな反響を呼び、これまでに10個もの賞を受賞している。
本書では、番組未放送の独自取材の内容や新事実を伝えるほか、告発者達との息詰まる接触の過程も明らかにする。前代未聞の国家犯罪を暴き、権力の闇に迫る、渾身のノンフィクション。

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Posted by ブクログ

改めて事件の詳細を知り、ここまで酷い冤罪は見たことも聞いたこともない。公安刑事の出世欲エゴと、検事にあるまじき未必の故意は刑事罰を与えるべきレベル。こんなお粗末な公安架空ストーリに巻き込まれた企業・個人には、かける言葉もない。さらに民主主義国家とは思えない人質司法の闇も深い。

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2026年03月27日

Posted by ブクログ

かなり読んでいても胸くそが悪い。主題が主題だから仕方ないのだけれど…書いたのはNHKスペシャルを作っている方。そういえばいくつかは見た。

2023年6月30日、東京地裁第712号法廷。大川原化工機の不当逮捕勾留された損害賠償裁判で、警視庁公安部の刑事Xが「捏造」だと証言した。逮捕勾留もそもそも必要ではなかったと認めた。

大川原化工機は従業員約90人が働く中小企業だ。噴霧乾燥機の国内シェア7割を誇る。2020年3月、大川原社長、島田さん、相島さんの3人が不正輸出の容疑で警視庁公安部に逮捕された。1年近く勾留された。相島さんは癌と判明したのに、保釈を許されないまま亡くなった。

この間大川原化工機では警察検察の主張に反論するため実証実験を繰り返して、自社の製品で生物兵器を作れないことを証明。初公判に向けて準備を進めたが、突如勝手に白旗をあげ起訴を取り下げられて事件は幕引きとなった。

警察側が曲解ともいえる結論ありきの捜査資料を作成し、都合の悪い情報を無視した痕跡があった。

1. 警察や検察の法令解釈の違法性
2. 殺菌できるとした事実認定の違法性
3. 捜査にあたった取調べ手法の違法性

内部告発者が2人ほど現れた。第五係長が自らの出世のために事件を捏造した首謀者と目されている。組織内評価の焦りから出発した事件はひくにひけなくなった。

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2026年03月25日

Posted by ブクログ

ジャーナリズム精神に溢れる本。偏向報道や左翼寄りで批判を受けるNHKにあって、このような本を書ける職員がいることに、まずは脱帽です。最後の文章「本書を、亡き相嶋静夫さんに捧げる。」に触れて、ジーンときました。

本書は、読売新聞の書評を読んですぐに購入して読みました。取調べを担当した警視庁職員の処分は甘いと思わざるを得ません。起訴を決定した東京地検のC女性検事が処分されないのもおかしいです。いずれも、上級国民だからと言っているようなものです。

冤罪が生まれた背景に、経済安全保障の強化があることが分かりました。本事件は、経済安保の取組成果として「警察白書」に紹介までされていたそうです。日本に経済安保の強化を導いたのは、中国の軍備増強があったからであり、この文脈からすると、間接ながら大河原化工機事件は、中国がもたらした冤罪ともいえます。

著者が属しているNHKが本事件をクロ現やETV特集で積極的に取り上げたのは、経済安全保障の弱体化を図りたい中国側の意向がNHKに浸透している、と見立てるのは穿ち過ぎでしょうか?つまり、経済安全保障を強化すると、本事件のような冤罪を産んでしまうから、「冤罪」という国民受けするテーマの番組を流して、経済安保の取締を弱める役割を演じているようにも、捉えることができます?

以下は、残しておきたい本文記述と私の感想です。
○第三章
p.93
「捜査幹部が、自らの出世のために事件を『捏造』した」
→ 大阪地検特捜部に所属していた、前田恒彦元主任検事が郵便不正事件で証拠改竄をしていたのと同じ動機である。同じことは繰り返される。

○ 第四章 告発者たち
読み応えのある第四章。ジャーナリズム精神が表れている。
p.110
「事件が引き起こされた要因として、二つをあげた。
「法廷での証言もあったが係長の欲が第一。自分が出世したいという欲。当初から無理だと何人かは言っていたのに、強引に押し通した。管部から管視になるには実績が必要。係長は、これを欲しがった。そして管理官の組織への過剰な思い入れ。管理官は外事一課が長い。成果を上げ組織を保ちたいという思いが強かった。自分の代で鼈理縮小となれば、先輩達に顔向けできないとかんがえたのではないか」」

○第九章
p.295
「地裁判決後の音察や検察の反省しない姿勢に業を煮やしたことが、資料提供の理由だったということだ。結果として、相嶋静夫さんの命を奪うことになった事件の重みを組線はまだ理解していない、それを正すためならば多少のリスクは厭わないというCの強い意志を感じさせられた。」
→警察組織は軍隊組織と通じるところがあるから、右向け右の雰囲気が強いところだと思っていた。しかし、一般的にそう思われる組織の中にあって、このような正義を果たす人がいるだけでも、逆説的に言えば健全さがあったと言えなくもない。民間会社の組織は千差万別だから、軍隊や警察以上に右向け右の組織もあれば、悪い意味で全くまとまりようがない会社もあるだろう。

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2026年02月21日

Posted by ブクログ

これまで読んできたドキュメンタリー書籍の中でも、極めて完成度の高い一冊であると感じた。できるだけ多くの人に読んでほしいと強く思う。

本書は、冤罪が発生する前後という幅広い時間軸の中で、警察、検察、被害者、告発者、協力者といったそれぞれの立場にある人々の行動や思考を、きわめて丁寧に描き出している。さらに、それを報道する側の葛藤や心情も織り込まれており、多角的な視点から事件の全体像が浮かび上がる。その構成力と取材の緻密さこそが、本書の完成度の高さを支えていると言える。

本件を通じて、警察・検察を中心とする組織が冤罪を生んだ要因を徹底的に検証し、具体的な再発防止策を講じることを強く望む。同時に、多くの市民が本件を知り、公権力の在り方について主体的に考える力を深めることが、同様の過ちを繰り返さないための第一歩となるはずである。

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2026年02月04日

Posted by ブクログ

「でっち上げ」という言葉が浮かんできた。しかもしれを公的機関がやるとは…。組織体裁や自己欲が絡み合い大きな力になると、人の人生をいとも簡単に潰してしまうことが恐ろしかった。
大川原さん達に着せられた濡れ衣を晴らすために、内部告発者や記者達が奮闘していた姿に救われた。普通なら、全うな人が全うに生きる、当たり前のことが難しいなんて考えもしないけど、ある日突然に全うに生きられなくなることもある、と世の中の理不尽さに何とも言えない気分だった。

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2026年03月20日

Posted by ブクログ

まさに国家犯罪に正面から取り組んだ良書であった。

警察は国家権力を笠に着た犯罪集団ではないか。
係長の出世意欲、管理官の組織維持の欲、その為の犠牲は計り知れない。
警察、そして検察は猛省すべきだ。
こんな人間として最低、犯罪者集団を国民の血税で養っていたと思うと憤りを感じる。

国家賠償により原告が勝訴した。
東京都は本件を担当した3名に求償を求めているという。
組織犯罪であると同時に、もはや個人の暴走でもある。個人にその責務を負わせるのは当然だ。
唯一の救いは警察の中にも異議を唱え、告発をしてくれた人がいた事だ。

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2026年02月17日

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