あらすじ
【第1位『週刊文春』1994年ミステリーベスト10】クライヴは内心腐っていた。刑事に昇進したのも束の間、栄光のロンドンから七十マイル以上離れたこんな田舎町に配属になるとは。だが、悲嘆にくれている暇はない。じきにクリスマスだというのに、日曜学校からの帰途失踪した八歳の少女、銀行の正面玄関を深夜金梃でこじ開けようとする謎の人物など、市には大小様々な難問が持ちあがる。いや。最大の難問は、不撓不屈の仕事中毒にして、死体と女の話をこよなく愛する、上司のフロスト警部であったかもしれない……。続発する難事件をまえに下品きわまる名物警部が奮闘する、風変わりなデビュー作!
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Posted by ブクログ
異色の警部フロストが奮闘する警察小説シリーズ、のっけから絶好調の第1弾。
ロンドンから70マイルの田舎町デントン。もうクリスマスだというのに市には難問が続発。
8歳の少女の失踪、深夜銀行の扉をこじ開けようとする男、殺人事件を仄めかす霊媒師…。相次ぐ難事件を前に、不屈の仕事中毒にして下品極まるフロスト警部が登場!
不眠不休のフロストが新米刑事を引き連れ東奔西走。名探偵ではないので直感と勢いで突き進み、結構しくじる。ストーリー構成はしっかりしつつ、肩の力は抜けきっているところがいい。読みだしたら病みつき!
Posted by ブクログ
1984年に発表された作品ですから、社会状況(スマホやネットなど、現代社会では当たり前になった道具はない)も異なりますし、捜査方法も未熟な部分がありますから、「警察小説」としてミステリの要素のみに注目すると、やや物足りない部分があるかもしれません。
しかし、この作品の一番の魅力は、なによりも主人公「フロスト警部」のダメ人間っぷりです。
上司(署長)の指示には全く従わず、事務処理能力は皆無、指示される捜査方針よりも自らの直感を優先させ、その場を逃れるためのウソを平気でつき、下品な冗談や無駄口がとめられない。しかも、「自分なりの生き様を貫く」という強い意志があるわけでもなく、行き当たりばったりにふわふわと漂流するような捜査の過程で、ひょんなところから手掛かりをつかみ取って事件の本質に迫ってゆきます。
少女の失踪事件や銀行の押し込み強盗など複数の事件を同時に処理しなければならなくなったフロスト警部が、ぼやきながらもひたすらに仕事に打ち込む姿に(そして彼の独特のキャラクターの魅力に)読者は惹きつけられるのかもしれません。
主人公以外の登場人物もそれぞれ「キャラが立っている」ので、映像化(TVドラマ化)されたというのも納得です。
ミステリ好きな方、特に刑事モノのドラマなどが好きな方には是非お勧めしたい作品です。
Posted by ブクログ
主役の警部、フロストはダメそうに見えて実はすごいのかと思いきやそうでもなかったし部下であるクライヴにも最後までバカにされて見直されることもないまま終わったのが心残り、、(笑)
訳者の後書きを読むと、次作からはまた別の相棒と…て書いてたけどどうせならクライヴと組んだままで名誉挽回?というかクライヴの見る目が変わるとことか書いてくれてたらスッキリしたけどそんな日はこおへんのやろうな。
最後らへんのクライヴの
❬くそいまいましいフロスト。度しがたい間抜けで、救いようのない役立たず。❭
っていう心の声はあまりにも辛辣で笑った。
トレーシーという女の子が行方不明になったところから始まった物語やけど結局終わってみるとそこに関しては結構しょうもない結論でメインはやっぱり32年前の大金持ち逃げ事件なんやろうけど…
登場人物が多すぎて名前も似すぎててこの人誰やっけ?てしょっちゅうなった(笑)
ジャック、ジョニー、ジョージ、ジェームズとか……?????
話はテンポよく進むし退屈なシーンもなくて面白かった。フロストが朝も夜もなく働き詰めな主人公やからそれに付き合ってるとまるで自分も忙しく動き回ってるように錯覚させられた。
Posted by ブクログ
フロスト警部シリーズ 第一弾。
メインの事件は少女の失踪で、少女を捜索する展開から次々と事件が起こる展開。
もう一つメイン級の事件は少女の死体を見つけたと思って見つけた死体が、数年前に起こった銀行輸送車現金強奪事件の容疑者の死体でその手首には手錠につながれたトランクが空の状態で埋められており、死体には拳銃で頭を撃ちぬかれた痕があり、俄然犯人は別にいる状況になる。
現金輸送の際もう一人いた行員を調べようとフロストたちが向かうのだが、彼は自分の部屋で撃たれて死んでいた。
と、いうようにいろいろな事件を名探偵のようにスパッと解決していくのではなく、フロストはノラリクラリと勘に頼りながら、上司の署長に文句を言われながら、机の上は書類で山積みになりながら、人間くささで解決していくのがこの本の面白いところである。