あらすじ
ほとんど取材を受けない高倉健が認めた貴重なインタヴュー集。
日本を代表する映画俳優・高倉健。
「すみません」「お願いします」「ありがとう」
──寡黙で、礼儀正しく、思いやりに溢れる稀代の名優の言葉は、
日本人が忘れ去ってしまったものを思い出させてくれる。
健さん自身のセリフや演技への想いをはじめ、
『網走番外地』『昭和残侠伝』『八甲田山』『幸福の黄色いハンカチ』
『駅 STATION』『夜叉』『居酒屋兆治』『鉄道員 ぽっぽや』などの
多くの人が励まされ涙した名作の台詞分析など、知られざる事実が満載。
映画のワンシーンや、ほかでは見ることができないプライベート写真も掲載。
“このインタヴューは映画に関するものだけれど、彼がしゃべっているのは人間についてである”
(「まえがきに代えて」より)
健さんファンはもちろん、確かな言葉を求めるすべてのひとに薦められる1冊です。
【目次より】
■1 初めて語った「何度も見た映画のこと」
■2 『鉄道員 ぽっぽや』の撮影現場で
■3 20世紀の宝物
■4 仕事について
■5 祈る役者
■6 一言一句、僕のセリフへの想い
■7 世界を動かした「気働き」
■8 日本人の心を射止めた「名言」分析
■9 「あなたへ」最後の映画俳優の演技
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Posted by ブクログ
高倉健のインタビュー集。
健さんの仕事観や人生観が伝わってきて、健さんのようになりたいなと思った。少しでも健さんに近づけるよう心がけたいなと思った。
Posted by ブクログ
ほんとうの庶民は名せりふなど呟くことはなく、悲劇に際しては、ひたすら立ちすくむだけだ。 そういうリアルな人の姿を、演者や監督その他諸々のロイヤリティから離れたところで表現する。
「表現する」と言ってできるなら、俳優高倉健はいらない訳で、それを実現するためにギャランティで仕事を選び(ブラックジャック的で、逆説的なようですが腹に落ちます)、日本刀に気品と佇まいを求め、「僕は大上段に振りかぶってやたらと大声を出す映画には本当の力はないと思う。思っていることを低い調子で、そっと伝える映画に出たい」と言いきる。
昔、母親から、健さんの出ている映画では、血気盛んなファンが興奮して立ち上がり「健さん!後ろッ!」と映画館は騒然になる、という話を聞いたことがある。それを、てっきり娯楽に選択肢が少ない時代の出来事だと決めて掛かっていたが大間違い。 かの石原裕次郎の映画も、さすがにシャイな日本人気質では行儀良く見ていた時代でも、健さんのそれは格別で、筋の中盤で寝ている客も、最初と最後の健さんの歌、立ち回りではしっかり起きて騒ぐw、という調子だったらしい。
本当にいい仕事は人を巻き込むことのできる「気」を吐いている。 そういうプロフェッショナリズムに気づかせてくれました。
Posted by ブクログ
著者が高倉健の周囲に話を聞いて回ったところ、95%の人が演技うんぬんよりも、その人柄を褒め称えるのだそうだ。
本書は、いわゆるタレント本の一種、となるのだろうか?
だが、高倉健という孤高の俳優の存在が、それとはまったく違う本に仕立て上げた。
日本映画界の至宝として、周囲に大切に大切に扱われてきたことだろう。そのことを、高倉本人もしっかりと意識し、感謝し、数倍にして周囲に気を配る。それこそ、アルバイトの若者にすら。
そうした人柄が演技をつきぬけてにじみ出てくる、だから日本人はみんな彼が好きなんだろう。
読みたくて読んだというよりは、必要があって読んだ本だが、深く心に残る一冊となった。
健さんの出る映画も、健さんが「いいよ」と勧める映画も、観たくなる。
Posted by ブクログ
人生にとって大切なものは何か?という問いに、「大切なのはたった一つ、心です」と言い切った、高倉健のインタヴュー集。言葉を少しずつ集めたようなインタヴュー集だが(それ故に重複している内容もある)、高倉健の言葉の選び方から、その性格や物の考え方が立ち昇るようだった。
Posted by ブクログ
高倉健さんの著作は以前「旅の途中で」というエッセイを読んだことがあります。
本書は、高倉健さんとその所縁の方々へのインタビューをまとめたもの、高倉さんの様々な顔を覗い知ることができます。
しかし、知れば知るほどその魅力を増す方ですね。その凄さを出演作品から感じたいと思います。そして、改めてご冥福をお祈りいたします。
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なくなってから、高倉健に関する記事や本を読んでいるけど、どこを切り取っても高倉健という感じですごい。
一番最後の江利チエミのエピソードが微笑ましかった。
Posted by ブクログ
18年という長期にわたって行われた高倉健へのインタビュー集。高倉健はあまりインタビューを受けないので、あちこちの切れ端をつないだ感じのインタビュー。それと周囲の人の話。関係者に聞けば、自然褒め称えるタッチになって、ちょっと砂糖まぶしすぎな読後感がある。
『高倉さんにいただいたものは返せません。返したいけれど返せないほど大きな位ものをいただいている。できることすればたったひとつ。私が後輩や新人に高倉さんからもらったものと同じものを渡すこと。」-宇崎竜童 のような話ばかりになる。
付き人がいない スターぶらない 挨拶をキチンとする 現場の人を大切にする 時代劇のときは日常生活でも刀を挿している 撮影前にロケ地を訪れる
そういう話はたくさん聞いているので新鮮さがない。もう少し本人が深く語るというものだったらいいのだが。
こんなことを言ってる。
『映画はね、あくまでもエンターテインメントだと思う。映画を見て学識が豊かになるとか何かを教わるとかは、僕はないと思う。ただ、ボディは打つね。見る人の心に響くものを届けることはできる。アメリカの大統領が全世界に向かって演説するよりも、《タイタニック》を持って世界中で上映したほうが、大衆の心はアメリカに向うと思う。』
結構言葉の人だ。そういう話をもっと聞いてみたい。
降旗康男監督がこんなことを言っている。
『健さんはプロの俳優らしくない不器用なところがある人なんですよ。ヤクザ映画に時代に健さんと並び称されていた鶴田浩二さんは何回テストをやっても同じ動きができる人でした。本番もテストと同じところで顔を止められる。ところが健さんは同じことができない。だから少しずつ撮るより初めから長めにカメラを回して気に入ったところを押さえたほうがいい。』
納得です。
次の言葉は、この本の中で一番印象に残ったものです。同じく降旗康男さんのコメント。
『健さんは器用な役者じゃないと思います。映画で演じるキャラクターが高倉健のなかに入ったら、起こる事件に対して高倉健が反応する。それが彼の演技です。』
真髄をついている。
もうひとつ何度も出てきて気になったのが、”気”の話。
『"気"じゃないでしょうか。いい映画には役者が発する気が現れてる。』
『《鉄道員》ではみんなに気をいただきました。人に気をもらうからこそ自分が動けるんです。』
気の話が多い。《あなたへ》のワンシーンで何気ないとこだが「気」の弱いとこがあって撮り直ししたとか。あまり「気」と思って映画を見たことはないのだが。少し意識してみましょう。
Posted by ブクログ
「彼が発している気とは人を威嚇し、畏縮させるものではなく、相手を包み込んでしまうような感謝の念だ。」
「人生で大事なものはたったひとつ、心です」
座右の書とします。
Posted by ブクログ
健さんが感動した映画。デニーロの「ディア・ハンター」「レイジング・ブル」どちらも未見。◆◆僕は本格的な演技の勉強をしたことがないんです。監督さんに教わったり、自分で演技書を読むくらいのことしかやっていない。だから僕の芝居は自分が好ましいと思う俳優さんとか監督さんの映画を見て、それを真似しているようなもんです。(p20)◆◆お手本はジャン・ギャバン。派手に笑うわけけでも、涙を流すわけでもない。◆◆気。◆◆出る仕事を選んでるのではない。待っている。◆◆抑制された演技で感情を伝えることができる(降旗監督)◆◆イ