あらすじ
ワクチン、昆虫食、SDGs──私たちの“常識”を操る巨大な力はどこから来たのか?
苫米地英人が、16世紀のアジアとヨーロッパの衝突から、現代のグローバリズムと資本主義の源流、そして「グレートリセット」の背景まで読み解く。
大航海時代の侵略、戦国日本と宣教師の攻防、奴隷と銀をめぐる資本主義の誕生、宗教と資本が生んだ“超国家勢力”の正体を暴く。
21世紀の世界はなぜ混乱し続けるのか。
戦争はなぜ終わらず、貧富の差はなぜ拡大し、超国家的な勢力が国家すら超えて力を持ち続けるのか。
その答えは──16世紀のアジアとヨーロッパ、そして日本にあった。
本書は、中世ヨーロッパの大航海時代と戦国日本の「見えない衝突」を軸に、
現代のグローバリズムと資本主義の構造がいかに形成されたのかを読み解く“歴史×構造分析”の決定版である。
■本書の読みどころ
●1. 超国家の誕生と暴走の歴史を徹底解剖
ポルトガル、スペイン、オランダ、イギリス──
“未開のヨーロッパ”が、アジアの富と銀を求めて暴力的に世界へ進出。
トルデシリャス条約、東インド会社、宗教の名を借りた侵略……
教科書では絶対に語られない「戦争と資本の裏側」が立体的に浮かび上がる。
●2. 戦国大名とキリスト教の真相に迫る
宣教師たちは何を目的に日本へ来たのか?
布教は“善意”か、それとも「ジャパン・コンクエスト」だったのか?
秀吉の禁教令、フィリピン遠征の背景など、
戦国日本とヨーロッパ勢力の知られざる心理戦を解析する。
●3. 奴隷・銀・資本主義──世界を動かす三つの渦
日葡辞書に残る“奴隷”の語彙、
日本人奴隷をめぐる教会の二枚舌、
スペイン・明・日本をのみ込んだ“銀の大循環”、
そして“奴隷こそ資本主義の根幹”という衝撃の指摘まで。
現代の巨大企業の振る舞いを理解する必須の歴史がここにある。
●4. 神学と資本による“超国家”の完成
カルヴァン派、ローマ教皇、オランダ商人──
国家と宗教と資本が複雑に絡み合い、
ついに“国家を超えて人間を動かす力”=超国家勢力が誕生する。
その力は現在、巨大製薬企業、兵器産業、国際金融へと姿を変えて生き続けている。
■現代とつながる衝撃の結論
●グローバリズムは16世紀に始まった
●ワクチン、SDGs、戦争──背後にある構造は今も変わらない
●超国家勢力は「国民よりもお金が上」という価値観で動く
●なぜ世界は混乱し、争いが終わらないのか?
その理由はすべて歴史の中にある。
本書は、単なる歴史解説ではない。
歴史の“連続性”を可視化し、現代社会の見えない支配構造を読み解くための書である。
■目次(抜粋)
●第1章 超国家の歴史
●第2章 戦国大名とキリスト教
●第3章 奴隷と資本主義
●第4章 銀の時代
●第5章 神と超国家
いま私たちが直面している世界の混迷は、決して突然始まったものではない。
その構造は500年前から“つながっている”。
歴史を読み解くことは、未来を読み解くことである──。
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Posted by ブクログ
思っていたよりは、とんがって書かれていない。かなり節度、謙虚さが感じられる書き方だった。
つまり、スムーズに楽に読めた。もう還暦になったのだったかな。出典の明記もきちんとしているし。
一神教徒、特にグローバリズムを推し進めようとする輩と付き合うのは、大変、というお話。
やはり、ロシアに期待か。キリスト教の内実を分かっていて、尚且つユーラシアにも目配り出来る、する存在。
単利から、複利が花開いた二十世紀。これからは、複利が、複利を喰らう時代ということか。最初に宇宙を目指したのも、確かロシア人だったはず。大地も似合うしね。
Posted by ブクログ
グローバリズムというものがどのようにできたのかを紐解く世界史が学べる本。
帯に書かれているワクチン、SDGs、昆虫食については最後のほうで出てくる程度なので、そちらの解説を目的に読むと少し期待外れに感じるかもしれない。
いま彼ら(世界の1%の大富豪支配層)が地球の99%を新たな形で奴隷にしようとしている。
欧米ではこれに反発して大規模なデモがあちこちで行われているが、敗戦国日本、支配層追従の日本ではなにも報道しない。
報道しない国なのだから、こうした書籍からぜひ情報を得てほしい。
Posted by ブクログ
現代経済を読み解くための、中世の奴隷貿易やキリスト教などの解説
相変わらず、世の中に広がっていない説が非常に説得力を持って展開されている。しかも、わかりやすい。
中世のヨーロッパの力関係や日本の状況、キリスト教の様子を伺えて、そしてそれが今日に繋がっていると知れて興味深さと驚きと怖さを覚える。
Posted by ブクログ
コロナワクチンや太陽光発電、コオロギ食などあまりにも国民を無視した馬鹿馬鹿しい方針が打ち立てられる昨今。その背景には、定期的に世界経済フォーラムを開催し、各国の代表を呼び寄せ、実現目標(アジェンダ)を伝えるグローバル企業の存在がある。そういった国家よりも力を持った私企業の面々を著者は超国家権力と呼ぶ。
新たな支配者層である超国家権力は、なぜ人々を無視した好き勝手な実現目標を掲げるのか。そこを探るため、著者は大航海時代にまで遡り、バスコ・ダ・ガマがインド洋の国々とは正式に貿易はせず、武力を通して略奪していく、その残虐な行為をする自分を許せてしまうメンタリティに着目する。そこにはキリスト教という信仰があり、そもそも彼らにとっては残虐な行為も善意である、というホラーよりも恐怖な展開が待っている。
この本は一度目を通しておいた方が良いように思う。巷の陰謀論と内容は被るところもあるが、陰謀論では終わらない何かがある。有名企業である三菱重工も、今や株主の30%強が外資になり、そのために会社の方針にも欧米の横槍が入る。実際、最近三菱重工が国産ジェットの開発を断念したのも、日本が国として儲かり力を持つような事業には横槍が入る1つの例であるらしい。そういった仕組みで経済的に支配されていくのかと恐怖を覚える。
それら権力に対抗するには、我々が「革命権」を行使すること。まずは選挙で世界経済フォーラムのアジェンダに迎合しない議員に投票することから始まるとある。
Posted by ブクログ
お馴染みの苫米地先生。
苫米地さんの本は何冊か読んでるけど、今回は超国家権力の話。
最初にネタバレしてしまうと、超国家権力=グローバル企業、ってことなんだけど、大航海時代からの流れで解説してくれているから腑に落ちやすい。今のグローバル企業は、15〜16世紀の植民地を作りまくってた覇権主義国家(株式会社)と同じで、その思想的バックボーンは宗教(キリスト教)にあるわけだ。なるほどね。
民主主義の敵は資本主義、って言葉もハッとさせられた。
資本主義=お金至上主義、と言い換えても良い。
宗教的な価値観がない日本は特にそうだけど、拝金主義が跋扈してる。お金持ってれば偉い人、みたいな。それは単に「お金儲けが上手い人」であって、「尊敬できる人」とは違う。そんな当たり前のことすら忘れられている。子供達の夢がYoutuberな社会だもんな。。
「革命権」の話は納得。
自然権≒基本的人権と読み替えても良いだろうが、革命権は自然権ではなく、神が認めた行為、という信条(言い訳)か。たしかに、狂信者に立ち向かうには、こちらも神を持ち出すくらいの強固な思想的バックボーンは必要なのかね。一神教を信じろ、って話ではなく、要するに「敵」はそれをマジガチで信じてる奴ら、ってこと。ある程度大人になるとわかるが、結局強いのは「本気でやってる人」だ。それがどんな思想で、歴史的に見ると結果的に正しくないことだとしても。「本気でやる人」が制度(ルール)を作る。流されやすい人や思想的強度を持たない人は勝ち目がない。そういう話だろう。
めっちゃ簡単な結論として、「選挙に行け」はわかりやすく、かつ、実行しやすくて良い。
革命は現実感がないけど、選挙は普通に行われている。今の政府を倒すことだって本来はできるんだから。政治についてちゃんと教えてもらってない若い人には、なかなか伝わらないんだけど。
最後の陰謀論的な話は余談として読んでおけば良いと思うけど、死んだら地獄行き決定だから不老不死を求める、って理屈は面白かったな。なるほど、そういう考え方もあるのか、と。
全体的に読みやすくて、納得感のある本でした。
Posted by ブクログ
第2章では、「キリスト教の宣教師は外国の尖兵となって日本征服を狙っていたのか?」について考察しました。
答えは征服を狙っていた宣教師もいれば、絶対に阻止しようとしていた宣教師たちもいたということです。また、スペイン王は本心では日本や明の征服をしたかったのでしょうが、経済的に許される状況ではなかったので征服は考えていなかった、というのが正しいところでしょう。つまり、日本を征服したくともできなかったのです。これが「宣教師は日本征服をする意思を持っていたのか?」の答えです。ごく一部の宣教師にはその気持ちがあったのですが、現実的には無理だったのです。
アメリカの経済学者デニス・フリンは「グローバリズムは1571年に始まった」と主張しています。
なにゆえ、1571年なのかというと、スペインがフィリピンにマニラを開港した年だからです。スペインがフィリピンにマニラを建設したことで、アフリカ大陸の喜望峰を回る東廻り航路と、太平洋を横断する西廻り航路がつながり、経済がグローバルに展開されるようになったことを指して言っています。これは同時に銀がグローバルに還流し始めたことをも意味しました。東洋と西洋が銀を本位通貨として経済を動かしていったのです。
マニラに大量に銀が入ったことを倭寇たちはすぐに嗅ぎつけます。ヨーロッパ人が生糸や陶器などを大量に買い入れることを、ポルトガル商人との商いで知っている彼らは、これらの商品を満載してマニラ港にやってきます。
南米から運び込まれた銀はあっという間に明の商品と交換されて、明の国内で流通されていくのです。
最終章となる第5章では、ヨーロッパ人の精神性について探っていきましょう。
ここまでの章ではヨーロッパ人が大航海時代に何をしてきたのか?を見てきました。
彼らが来る前のインド洋は人々が互いに商品を持ち寄って物々交換をすることで豊かな暮らしを実現する場でした。そのために交易し、そのための手段として船があり、その場を提供するのが海でした。
ところがバスコ・ダ・ガマたちはそこに鉄砲と大砲と、その結果としての殺戮。その結果としての強奪を持ち込んだのです。
胡椒を得るために人を殺し、銀を得るためにアヘンを売る。
砂糖を安く手に入れるために奴隷を願い、死ぬまでこき使う。
ヨーロッパが中世から近世に向かうときに行った貿易の中身とはこういったものでした。彼らのやり方は東洋の人間からすればあまりにも異質で、理解に苦しむものでした。
ドイツの社会学者マックス・ヴェーバーはこの辺りのことを著書『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』で上手に解き明かしています。禁欲的なカルヴァン派が資本主義誕生のきっかけになった経緯は職業を天職として肯定し、お金を再投資することで資本主義が神の教えと一体になっていったからだ、と言います。資本主義は大航海時代に生まれるべくして生まれたのです。しかも、神の教えに適ってもいました。
もう一度言います。資本主義は神の教えに適っていたのです。
私たちはこのことを深く胸に刻み込んでおかなければいけません。
そして、その上で現代を見直す必要があるのです。
なぜ、いまの資本家たちは強欲なのか?と。
なぜ、いまの資本家たちは世界のためには人口を減らすべきだと平気で考えられるのか?と。
各国の代表も代表です。なぜ、私企業が提示するアジェンダを持ち帰って自国の政策に組み込むのでしょうか?SDGs(持続可能な開発目標)や太陽光発電を必要以上に尊重する理由がどこにあるのでしょうか?
現在は超国家勢力によって世界が動かされている時代になってしまっているのです。つまり、神が認めた資本の蓄積を是とする世界が、大航海時代をきっかけに世界中に押し付けられ、多くの国々、多くの人々がそれを受け入れている状況になっているのです。
そんな世界になってしまっているから、大して死者も出ていない新型コロナウイルスを異様に怖がったコロナパンデミックが起きたのです。安全性が確保されていないコロナワクチンを世界各国の政府が争って買い、国民に複数回打てと命じたのです。
あるいは、CO2の削減が世界の目標となり、ガソリン車から電気自動車への移行が強制的に行われ、世界各地で代替エネルギー騒動が起きているのです。
あまりにも一方的でおかしな理屈を押し付けてくる人々がいて、国を運営する人々が唯々諾々とそれに従っているのです。
私たちはそれをまったく理解できず、何が起きているのかもよくわからず、気がつけば、自分たちの財産を奪われているのです。
最後にグレートリセットの本当の意味についてお話ししましょう。
グレートリセットとは世界経済フォーラム(WEF)の2021年の年次総会のテーマで、新型コロナウイルスが席巻したあとの世界をどのようにリセットしていくかというものでした。
当時、世界はロックダウンによって経済が滞り、体力のない中小企業や街の飲食店は次々と潰れ、多くの人間が職を失い、収入の道を絶たれていました。
あの頃の人々の願いは「早く元の生活に戻りたい」「新型コロナウイルスが席巻する前の生活に戻りたい」でした。ですから、「リセット」という言葉に人々は惹かれたのではないでしょうか?
しかし、WEFが推進する「グレートリセット」は普通の人々が考える「リセット」とは違うものでした。
彼らが考えていたのは単なるリセットではなく、「大いなるリセット」であり、その意味することは「大きな意味で世界を元に戻す」ということだったような気がしてならないのです。
では「大きな意味=グレート」とは一体何を指すのでしょうか?
それは、本書をここまで読んでいただいた読者であればもうおわかりでしょう。新型コロナウイルスが席巻する前に戻すのではなく、「大きく世界をリセットする」つまり、大航海時代の世界にリセットするという意味です。
大航海時代とはどういう時代だったでしょうか?
大英帝国はインド、アメリカ、中南米、アフリカの土地を押さえていました。ポルトガルとスペインは中南米、東南アジアを押さえていました。フランスもアメリカ、インド、アフリカに植民地をつくろうとしていました。15世紀から20世紀にかけて世界は10人ほどのキングの土地だったのです。別の言い方をすれば、全世界はいまのG7が押さえていたと言ってもいいでしょう。「グレートリセット」とは、世界をこの時代にまでリセットしようというものではないかと私には思えてなりません。王や貴族や宗教指導者など、「ヨーロッパの権力者たちがアジアの海やアメリカ大陸で好き勝手ができた、あの古き良き時代にリセットしようじゃないか」というのがグレートリセットの正体なのかもしれないのです。ただし、ただ単に王侯貴族の世界に戻そうというわけではありません。昔のキングの権力を取り戻そうというものではなく、現代のキングに権力を集中しようというものです。
では、その現代のキングとは誰でしょうか?
それが、ワールド・エコノミック・フォーラムに集う現代の経済覇者たちなのです。
これが「グレートリセット」の正体です。
Posted by ブクログ
2024年25冊目。満足度★★★☆☆
理系の博士の本なので、テクノロジーの話が多く出てくると思いきや、完全に歴史の本でした。
想像していた本とは全然異なる内容でした。