あらすじ
詩人はいつも宇宙に恋をしている。作者にも予想がつかないしかたで生れてきた言葉が、光を放つ。「夜のミッキー・マウス」「朝のドナルド・ダック」「詩に吠えかかるプルートー」そして「百三歳になったアトム」。ミッキー・マウスもドナルド・ダックもプルートーもアトムも、時空を超えて存在している。文庫版のための書下ろしの詩「闇の豊かさ」も収録。現代を代表する詩人の彩り豊かな30篇。
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Posted by ブクログ
この詩集は、完全に大人向けのものですね。
子供向けの詩はありません。
「あのひとが来て」
という詩が一番好きでした。
そう思って読んでいたら、谷川さんの文庫版のあとがきによると、「あのひとが来て」は一篇の詩の題名から出世して、立派な詩画集の題名になり、CDもついているそうです。
漫画家のしりあがり寿さんが解説で、「詩はそれを読んだ人をほんの少しかもしれないが確実に変える。人生をまるごと変えるようなスゴイ詩もあるかもしれないけど、そうでなくても、ちょっとだけ変える。」
とおっしゃっているのが、よくわかりました。
Posted by ブクログ
何気なく目に映りゆく存在でも、この詩人というものによって、生まれ変わるような気がする。
書きたくて書いたり、何かが伝えたくて書くのではなく、そんな風にみえてしまったから、書かずにはいられない、彼の生み出す詩はそういうものだ。ことば以前の世界へ、ことばで挑む。哲学者なら戻って来れなくなってしまうような、そんな場所。
リルケはそんな場所から胸をうって叫ぶ。中原中也はただ泣いた。ランボーは飛び込んでいったきり戻ってこない。ボードレールはおぞましい淫靡なその世界へ唾を吐きかけた。宮沢賢治はその世界の明滅に身体を投げ出しひれ伏した。
では、この谷川俊太郎は?自身は一輪の野花だと言っている。咲く場所を問わずに咲き、ただその命を散らす。一輪の野花にも宇宙が宿っている。
まるで風のようだと感じた。風が吹き続けることはない。風は生まれどこかへ消えていく。同じ風は決してなく、でも世界の至る所でそれは吹いている。その風の中には無限の交響楽がある。
そんな世界に浸るとき、まるで死を望んでいるような虚無がぽっかりと空いているがように思えるが、そんな投げやりなものでは決してない。彼の詩が挑んでいるのは、そんな死の虚無を虚無たらしめているそういう深い深い闇だから。そんなところへ辿りついてしまうと、もう力なく笑っているよりほかないのかもしれない。
しりあがり寿さんのイラストの彼からは、そんな彼の姿が浮かんでくる。
Posted by ブクログ
なんて素敵なタイトルなんだろう。一目惚れ。詩が30載っています。夜のミッキーマウスもいいけど、朝のドナルドダックも大好き。
その一編一編が、一文一文が、一行一行が強烈で。
また後書きと解説がいいのだ。詩とは何かが、端的に述べられているようで。
Posted by ブクログ
光は
私の視野を明るく開いてはくれるが、
それは
自分だけの為に、ではない。
すべての生き物の為に。
世界は発色し、眩しく輝く。
だから、
ミッキーマウスは微笑んでいるのか。
みんなが見ているから。
楽しく踊らなくちゃ。
可笑しそうに笑わなくちゃ。
花や音楽は、そんな生き物がきっと好きだ。
だから、
光無き所での、ミッキーの姿など想像も出来なかった。
誰も見ていない、
暗き場所で眠るミッキー。
笑わなくていい真実のネズミ。
谷川さんが描く永遠のミッキーの姿につい、
本心なんかを重ね合わせてみたりする。
Posted by ブクログ
今回「詩」というものを初めて購入してみた。
私のような素人にも、谷川氏の操る日本語の美しさに圧倒されてしまった。
言葉の美しさは声に出して読むとよくわかるとは言われるが、どの作品をとっても言葉の心地良さが伝わってきた。
Posted by ブクログ
曖昧さこそ現実そのものだととっくにしっているくせに
律儀に帳簿を両腕に抱えこんで坂を上がって行く
いつまでもしなないつばさあるものは
つみもはじもしらないからだでほほえむだけ
昨日を忘れることが今日を新しくするとしても
忘れられた昨日は記憶に刻まれた生傷
「この詩で何が言いたいのですか」と問いかけられる度に戸惑う。私は詩では何かを言いたくないから、私はただ詩をそこに存在させたいだけだから。
一番好きな詩集になりそうです。
全ての詩が洗練されていて、力もあって、
ユーモア然り、素晴らしいです。
谷川俊太郎さんのこの詩たちを読めて良かった。
また読みに来るよ
Posted by ブクログ
「二十億光年の孤独」や「朝のリレー」で谷川俊太郎が好きになり、友人に貸してもらった。いちばん惹かれたのはやはり「なんでもおまんこ」。なんで死にてえのかなあ…
Posted by ブクログ
う~ん面白い!夜の雰囲気。
シュールな詩も読み返すほどに深みを増す。田舎道のど真ん中の扉を開ければ星空のはじっこに出られるとか、日々の細部にビッグバンに連なるものを探すとか、いちいちツボで困る。解説もすごく良かった。
「あのひとが来て」「忘れること」「ひとつまみの塩」あたりの感覚いいな。
Posted by ブクログ
全部すごいけど
「ぜんぶおまんこ」はすごい
谷川さんの生命力を感じる
なんやろう?
目の付け所がいいのか、、、
ソレになりきって書くって言ってはったのがよくわかる。
Posted by ブクログ
チェック項目3箇所。男は母親を求める?大切なあの人・・・いつかはいなくなる。そのせつなさ、はかなさ。忘れること・・・どうして忘れてはいけないのか?
Posted by ブクログ
うーん、なんか人間な谷川俊太郎が見える詩集。
詩って自分表現ではあるんだけど、自分を表現するときにちょっとどろどろしたところまで踏み込んでいった感じの詩が多い。
キラキラした「言葉のマジック」ではなくて、できるだけ人に見られたくないとこをあえて表現したようなものが多かった。
洗練されてないけど、手探りで、掘り起こしていった感じ。
人間を感じる。
おもしろい。
Posted by ブクログ
「百三歳になったアトム」が一番心にのこりました。
そのとき、そのときで「いいな」と思う詩が変わったりもするやろうけど
アトムのはきっとずっと、じーんとして、少し切なくなると 思う。
Posted by ブクログ
詩人はいつも宇宙に恋をしている。作者にも予想がつかないしかたで生まれてきた言葉が、光を放つ。「夜のミッキーマウス」「朝のドナルドダック」「詩に吠えかかるプルートー」そして「百三歳になったアトム」。ミッキーマウスもドナルドダックも、時空を超えて存在している。文庫版のための書き下ろしの詩「闇の豊かさ」も収録。現代を代表する詩人の彩り豊かな30篇。
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◼️谷川俊太郎「夜のミッキーマウス」
タイトルに惹かれて。思ったより生の人間感が強い。
前に初めて読んだ詩集の書評でも書いたが、実は谷川俊太郎の詩はあまり読んだことがなかった。今回タイトルに惹かれて読んで、けっこう生の人間味が出ているなと。
「夜のミッキーマウス」「朝のドナルド・ダック」「詩に吠えかかるプルートー」「百三歳になったアトム」
がキャラクターの詩で真実のねずみに戻ったミッキーはホーチーミンへ、ドナルドは手前のアヒルに語りかけるような微笑ましいテイストで、プルートーはなんか社会に出た者にある心の闇のような感覚で、アトムは魂を探してジェット噴射する。
以降の収録作品は人間的なけっこう肉体、セックスの表現も多い。演歌のようなねとっとした言葉の連なりもあるかなと。
途中ひらがなばかりの詩がいくつか。
ひとごみのなかひとびとのあたまのうえを
わになってとぶあどけないものたちのうたの
つかのまのなぐさめにみみをすませば
からだのおくにとぐろまくへびがめをさます
つみをおそれていきるよろこびがあるだろうか
このちじょうはかがくのおしえるほしではない
しすべきものたちのおどる
つかのまのあれちなのだ
(「ちじょう」より部分)
うーん手法はまあ、だが、真ん中のからだのおくにとぐろまくへび、という言葉に感じるものがあった。
さらさらと読め、日常を掘り下げ別の視点から定義づけているような作品が多い。厭世的にも見えるのは気のせいか。
この人の場合はすすっと読んで自然と目が立ち止まるのを待つのがいい接し方かも知れない。
Posted by ブクログ
2.5というかんじ
でも詩って特に、読む時の心持ちで評価がだいぶ変わるものだと思う。
今の私にはとりあえず、よくわからなかった。
でもこのフレーズに出会えただけでも読んでよかった
たった今死んでいい という言葉が思い浮かぶ瞬間があって
そう口に出さずにいられないほどの強い感情があったとしても
その言葉通りに本当にその場で死んだ者がいるかどうか
言葉の死が人を生かすこともある という言葉が思い浮かぶ
私には癒しであるものが誰かには絶えない鈍痛
だがその誰かも私に思い出させてくれない
私の犯したのがどんな罪かを
その人の悲しみをどこまで知ることができるのだろう
目をそらしても耳をふさいでもその人の悲しみから逃れられないが
それが自分の悲しみではないという事実からもまた逃れらることができない
Posted by ブクログ
高校生ぶりに再読。
ディズニーが休園になるたびに、なんだか脳裏を掠めるタイトル。
以前に読んだときは、ただ単にキャラクター批評かな〜と思ったけど、今読むと全然違う感触がする。
「ひとつまみの塩」が好き。
Posted by ブクログ
簡単な言葉から紡ぎ出される独自の世界観は、何でもない日常でさえ意味のあるもののように感じさせてくれるように思いました。特に、読んだ方はわかると思いますが「例のあの詩」が私は好きです笑
詩集というものを初めて読んだので、そこから何か得ようとしていた私が間違っていると思うのですが、そこまで大きなものは得られなかった感じがします。ただ、詩はそのことが大切ではないので、また気が向いたときに気楽に読み直したいと思います。
Posted by ブクログ
世界をことばで切り取る。
詩を読んでなんのためになる? なんて、問わないで。谷川俊太郎の優しい視線に身を委ねるだけで、少し力が抜け、気持ちがふっと持ち上がる。
Posted by ブクログ
表題作はじめ、キャラクターの詩が面白い。あとこの文庫を作るにあたって追加されたオマケの詩『闇の豊かさ』が素敵。 解説にしりあがり寿さんがイラストを書いているところも魅力??
Posted by ブクログ
谷川俊太郎さんって、「かっぱかっぱらった」の人ですよね。
新潮文庫の限定カバーにやられて買ってきましたが、良い掘り出し物でした。
「昼間より難解だ」
ってフレーズが出てくるところがすごいわ。
11.09.22
Posted by ブクログ
TDLに行って、パレードにきゃー!ってなってる瞬間に、ふと我に返ってしまったときの所在無さ。それに通じるものを表題作に感じました。
アトムの詩は、浦沢直樹のアトム漫画を思い出させる。
Posted by ブクログ
しりあがり寿の言うとおり、なんでも詩にしてしまう谷川俊太郎はすごい。これまで読んだものよりインパクトが小さいのは、題材があまりに身近なせいだろうか。
Posted by ブクログ
おかげで何かが変わるわけではないけど、詩は私を助けてくれる。金曜ロードショーで「ゲド戦記」を見た後だったから、余計に、抱きしめてほしい気分だったのかな。とてもあたたかかったです。