あらすじ
北鎌倉。縁切寺として名高い東衛寺の門前に、松岡法律事務所はある。住職の娘で、離婚専門弁護士の松岡紬のもとに、今日も依頼人が駆け込んでくる。浮気・モラハラ・熟年離婚・財産分与・親権争い――「離婚したい!」その瞬間から始まる法律と人生の現実問題(リアル)。あなたの心とお財布をまもりつつ、上手に縁を切る方法、教えます。前を向く元気をもらえる、リーガルドラマ。『縁切り上等!』改題。(解説・中江有里)
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Posted by ブクログ
名前だけは存じ上げていた新川帆立氏を読んでみたり。
そういやある教師は「永遠を誓い合うほど人間は不誠実であってはならない」とか語ってたなー、とか思い出しながらページをめくっていた。
「なんでみんな結婚するんだろう」と言いながら、離婚専門の弁護を続ける紬。
勧善懲悪的な話にするのではなく、わりとどっちもどっちな部分もあるなぁと思うあたりがむしろリアルだね(笑)。
その上で、依頼人の利益が最大になるように動きアドバイスする”弁護人”という職がしっかり描かれていたのには好感が持てたり。ここらへんは筆者が弁護士でもあるところが活かされてたね。
物事の真実というのは、当事者からは見えないし、ましてや他人から判断できるものじゃない。出雲が紬に振られた過去を玄太郎が知らないように、人は自分が知っている情報から勝手に解釈して判断してしまう。
だから弁護士である紬の仕事は、どちらが良い/悪いという感情的なジャッジではなく、依頼人が最大限利益を得るためにはどうしたらいいかということに終始する。つまるところ一つのシステムなんだな、弁護士ってのは。(感情的に言うのであれば、一番同情されるべきは巻き込まれる子供なわけで)
で、まぁ本書に書かれている話では全くないんだけど、紬の「なんでみんな結婚するのか」という問いは、冒頭のある教師の言葉と殆ど同じ思想なのだと思う。
「永遠を誓う(結婚する)」を誠実にするのであれば、そもそもそれを誓うことが不誠実になる。誓うということはその可能性があると認めるわけなので、本当に可能性がないのであれば誓う必要もない。人はその可能性を忘れるために誓う(結婚する)のであれば、それは不誠実以外の何物でもない……ということだな。
ただまぁ、どんな悲しい終わりだとしてもその出会いの中に幸せな思い出が一つでもあれば、その出会いには価値があるのだと僕は思うけどね。
そういった「どうしてみんな結婚するのか」という問いに作品として答えられていなかったのはちょっとマイナスかなー。「結婚なんてするべきじゃない」と言い切ってもいいけど、そういった骨子が見えなかったのは少し残念。
まぁそんなことを語ったある教師も、結局は教え子に捕まって結婚していたというのは少し笑えるオチだったり。
Posted by ブクログ
【あらすじ】
北鎌倉。縁切寺として名高い東衛寺の門前に、松岡法律事務所はある。住職の娘で、離婚専門弁護士の松岡紬のもとに、今日も依頼人が駆け込んでくる。浮気・モラハラ・熟年離婚・財産分与・親権争い――「離婚したい!」その瞬間から始まる法律と人生の現実問題(リアル)。あなたの心とお財布をまもりつつ、上手に縁を切る方法、教えます。前を向く元気をもらえる、リーガルドラマ。『縁切り上等!』改題。
【きっかけ】
なにかのYouTubeでオススメされていた気がする……?
とはいえ、新川帆立さんは過去作品も読んでいて私の中で面白さに定評があるため。
【特徴】
・時間がないけど、エンタメを楽しみたい人
全5章からなる小説。一章ごとにそれぞれの離婚の案件を取り扱っている。一章が約60ページかつ文体もライトなので、合間に読むなど手に取りやすい。
・リーガルもの、特に離婚に興味がある人
不倫、モラハラ、熟年離婚、同性婚、養育費問題……様々な離婚の問題をとりあつかっている。
私は離婚歴がないため、感情移入や共感して楽しむタイプの作品ではないけど、勉強になる。
【感想】
今回は、ミステリーではなくリーガルもの&エンタメ作品。
題名の通り、離婚を得意とする弁護士の松岡紬が扱う案件を描いた作品。
主人公は、松岡紬だけど、各章で視点となる人物が変わっていく。
小山田さん(1章で離婚することになった女性)→出雲(紬の幼馴染)→紬の父親→紬→再び小山田さんとなっていて、構成も良かったと思う。
※松岡紬自体に共感ができるタイプの作品ではないので、様々な視点から描かれてるのが良かったの意味。
思ったこと
どちらか片方の視点や言い分だけで判断するのは危険なこと。
印象的だったところ
過去に夫の暴力が原因なのか流産して熟年離婚に至った奥さんの台詞
「でも私、彼に謝られていませんよ。一言も」
切りたい縁だけをびしっと切れる弁護士になれるといいんだせどなあ、と思う。(略)縁は絡み合っている。ひとつが切れると他のものも切れてしまう。
今になって、結婚していた頃を客観的に見られるようになった。
亮介に対して不思議と腹は立たなかった。
亮介も人間で、彼なりに苦しんでいたというのに、自分はそれを理解していなかった。理解しようと試みたことすらなかった。