あらすじ
生粋の日本人である著者がパリで出会い、結婚することになった相手。はじめは単なるアメリカ人と思っていたが、その父親はアラブ人風のユダヤ人(イラク出身)、母親は北欧がルーツのモルモン教アメリカ人だった。その息子である夫との間には一男一女。この国籍不明の一家に起こる、さまざまな日常的な葛藤や冒険の物語は、ささやかなようで、そこから大きく時空を飛び越えて、世界史的規模を持って西へ東へ広がっていく――。
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Posted by ブクログ
ボーダーレスな人びとの、カラフルなライフスタイルを楽しめた。
読んでいて、多国籍な人にも色んなタイプがいるんだなあ、と気づかされた。そして、こんな発想をする自分が恥ずかしくなった。なるべく、ボーダーレスに考えようとしているにも関わらず、知らず知らずのうちに線引きしてしまっているのだから。
そう、本書は「無国籍人」という枠組みを紹介しているのではない。ひとりひとり違う、と伝えたかったはずなのだ。
枠組みを組み合わせたような、ガチガチの「偏見」をかなぐり捨てること。それはとても難しい。本書の指摘によれば、それは「知らないものへの恐れの感情」という人間の深部に根ざしているからだ。この感情とどう折り合いをつければよいか?真にボーダーレスな発想をするためには、常に自問すべきだろう。