【感想・ネタバレ】友罪【電子特別版】のレビュー

あらすじ

【電子版限定特典つき】―過去に重大犯罪を犯した人間が、会社の同僚だとわかったら?― ミステリ界の若手旗手である薬丸岳が「作家になる前から書きたい題材でした。人間の内面をとことん掘り下げた、現時点の集大成です」と語る、児童連続殺傷事件に着想を得て、凶悪少年犯罪の「その後」を描いた傑作長編!ジャーナリストを志して夢破れ、製作所に住み込みで働くことになった益田純一。同僚の鈴木秀人は無口で陰気、どことなく影があって職場で好かれていない。しかし、益田は鈴木と同期入社のよしみもあって、少しずつ打ち解け合っていき…。一方、同じ製作所で働く事務員の藤沢美代子は、職場で起きたある事件についてかばってもらったことをきっかけに、鈴木に好意を抱くようになる。ある日、元恋人のアナウンサー・清美から「13年前におきた黒蛇神事件について、話を聞かせてほしい」と連絡を受けた益田は、13年前の残虐な少年犯罪について調べを進めるうち、その事件の犯人である「青柳」が、実は同僚の鈴木なのではないか?と疑念を抱きはじめ……。 電子版限定!「青春と読書」’13年5月号に掲載された、著者インタビューも収録。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

先ず、今心がお疲れの方、後半は個人的な話になりますし重たい話になりますので、しんどくなられましたらすぐにお読みになるのを中止して下さい。
その話をせずには本作の感想は語れないので、書かせて下さい。

本作はオーディブルで拝聴しました。中盤から非常に苦しかったです。途中で何度か聴くのを止めようかと思った程ですが、鈴木が過去に犯した犯罪を知った益田がどういう選択をするのか、どうしても知りたくて聴き終える事が出来ました。

鈴木は過去に子供を2人殺し、しかもその目を抉るという犯罪を犯して世間を恐怖の底に陥れた事がありました。ジャーナリスト志望の益田と、出所して名を変えて生活をしている鈴木が、同時期に町工場で働き始める事になります。
次第に2人の距離は近付き友達になるのですが、鈴木が「僕が死んだら益田くんは悲しい?」と質問するのに益田は軽い気持ちで「そりゃあ悲しいよ」と答える。
これに鈴木はいたく感動して益田を親友だと呼び、誰よりも1番に自身の過去を話そうと決めます。
ところが、益田は先に過去にあった凶悪事件の犯人が鈴木だと気付きそのネタを売ればジャーナリストとして華々しくデビュー出来るという機会に遭遇し…

この何気ない一言がどれほど鈴木の胸を打ったのか、痛い程よく分かります。同じような事を友人が述べていたからです。その話が後半の話に繋がるのですが、先ずは言わせてほしい。

工場の奴ら…全員そこへ並べやぁあ!!おらぁ!!(山内以外)
粛清や粛清!!グランダイバーになるわ!全員片っ端からスタンガンでお仕置きじゃあ!!(急に普段のテンション)
そりゃあ鈴木が普段もクズなら仕方ないでしょう、やっぱりな、と思われても仕方ない。
でも優しくて繊細な子じゃないか!!過去に苦しんでるじゃないか!!粛清ー!!(落ち着け)

聴きながら味噌汁を作っていた私「なんでだよ!それを口にしたら戦争だろうがっ!!」と怒りに任せてカイジになりつつガッシャガッシャと味噌を飛び散らす。(苦しいとか言いつつお腹は減る)
この時は私、益田にもキレていた。

でも、悲しいかな仕方のない事だと言うのも分かります。詐欺をした、とかではなく幼い子供を殺しているのですから。私も実際にそんな告白をされればどうなるか分からない。
けれど本作の鈴木は何度も自殺未遂を起こしてとても苦しんでいる。罪を憎んで人を憎まず、それを人はどこまで出来るのだろう。

益田も苦しんだ末に答えを出します。ラストの鈴木に向けた手紙。その最後の言葉が他人事とは思えず暫く考え込んでしまう事に。
つい最近、厳密には益田と違う言い方なのですが私も友人に「Yが居なくなったら僕は悲しい。それだけは覚えていておいて欲しい」と伝えた所なのです。

実はこの発言をしてからと言うもの、本当にあれで良かったのか、余計にプレッシャーをかけてはいないかと悩んでいたのですが、益田の手紙を聞いてやっぱりこれしかないよな、と。

友人Yとは以前のバイト先で知り合いました。10歳年上ですが妙に馬が合い、色々な所に遊びに行きました。突然休んだりする事が多かったので気にはなっていたのですが、ある日Yから、家庭の事情のせいで精神疾患を患っていて、自殺未遂を繰り返している事を聞きました。
隠したまま人と付き合うのが出来ない性格らしく、友人になった人には正直に話すらしいのですが9割が去って行ったそうです。
Yは本当に優しい人で、自分もしんどいのにご飯を作ってくれたり、元気でいて欲しいから何でも相談して欲しいと気にしてくれたり、そんなYを知っているのに去って行く人達に悲しさを覚えていたのですが、最近また具合が悪く、働けなくなったのに1人でご両親の面倒を見てるので限界が来てしまい、幸せそうな人を見ると刺したくなる気持ちが分かる、とか、親がいるうちに消えたい、など言うようになってしまいました。

でも、その度に「独りじゃないって思ったら踏みとどまれる、ありがとう」と言ってくれるのです。
なので、本書の鈴木が、どれ程益田の言葉に救われたか、分かる気がするのです。(自分がYを救った、なんて事までは思いませんが踏みとどまってくれる要因の一つになれたのは間違い無いので)

上の言葉をYに言ってから連絡が来ていません。心配ですがいつもしんどい時は連絡も出来ない事が分かっているので耐えて待ってみようと思います。

僕は、君に生きて欲しい。本当に益田も私もこれが全てなんですよね。

この作品はいつまでも忘れられそうに無いです。

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2025年05月21日

Posted by ブクログ

ネタバレ

もし、近くに犯罪者がいたら。
気づかないでいるのも怖いし、気づいてしまった時も怖い。
いくら今、友達として一緒にいるとしても、一緒に居たくなくなってしまうと思う。
益田の気持ちもわかるし、結局裏切られたと思われるなら、自分の手で原稿を書いた方が良かったのではないかと思う。

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2022年04月19日

Posted by ブクログ

ネタバレ

日本中を震撼させた少年事件の犯人が、医療少年院を経て社会復帰。知らずに親密になる益田は、正体を察し苦悩する。

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2021年12月18日

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