【感想・ネタバレ】友罪【電子特別版】のレビュー

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2018年07月20日

「友罪」
過去に重大犯罪を犯した人間が会社の同僚だとわかったら親友だったら、貴方ならばどうしますか。


町工場「カワケン製作所」で働き始めたジャーナリスト志望の益田と、他人との交流を頑なに避ける鈴木。共通点は全く無い2人だが、あるきっかけを機に少しずつ交流を深めていく。そんな中、彼らが住む町の近く...続きを読むで児童殺人事件が起こり、世間では17年前に日本中を震撼させた凶悪事件との類似性が指摘される。その事件の犯人は、当時14歳だった。益田は、その少年Aの写真を見た時、妙な既視感を覚える。その少年はどこか鈴木に似ていたのだ。


児童2人を殺害した黒蛇神事件の犯人(少年A)は鈴木ではないか。益田は「そんなはずはない」という気持ちを持ちながらも、一抹の疑惑が拭えない。少年Aが鈴木ではないという証拠を揃える為に、独自の聞き込みを始める。そして、事件の関係者に当たるうち次第に鈴木=少年Aという疑惑が確証に変わっていく。


本書は、益田だけではなく、鈴木の少年院時代の担当官であった白石弥生、カワケン製作所の事務員・藤沢美代子の視点からも鈴木の人物像が描かれています。白石からすれば鈴木は行方をくらました保護対象者であり、息子と同じくらい愛情を注いできた人物。美代子からすれば、自分に付き纏う元恋人を追い払ってくれたどこか憂いを帯びながらも強い鈴木に次第に惹かれていく。3者から見た鈴木は其々異なる側面を見せているが、最終的に落ち着くのは、鈴木には過去の罪を背負って生きていって欲しいという願いである。


鈴木は、毎晩罪の意識に苛まれて魘される夜を過ごし、非常に苦しんでいる描写は出てくるものの事件を語ることは無い為、鈴木の本心が最後まで明かされることは無い。益田もその告白を受け止める勇気がなく、最終的に鈴木は去ってしまう訳ですが、彼は一体どのような気持ちを持っていたのだろうかと考えさせられます。


読者が感情移入しやすいのは、益田であることは間違いない。果たして親友になった友人が過去に重大な犯罪を犯した人間だったら、その過去を知ってしまったら今までと同様の関係を築くことが出来るだろうか。益田を自分に置き換えて考えても簡単に答えは出ないだろうけど、私だったら恐らくずっと親友でいるのは苦しいだろうなと思いました。それは被害者のことを考えるとどうしても赦すことは出来ないから。今回は、事件の動機も鈴木から語られることもない為、何が彼を犯罪に走らせたかは分かりません。しかし、事件の猟奇性からすると彼に同情することも困難だな・・・とか色々考えが巡ってしまいました。


全体的に読ませる力が凄く、すぐ読み終わってしまいましたが、個人的に気になる所は、鈴木が少年Aであったと判明した時の同僚の身代わりの速さと弥生と息子・直也の関係性です。前者は、少なくとも鈴木と良い関係性を築けていたわけだから、有名人がそばにいたとはしゃぐのは早すぎるかなと感じました。もう少し葛藤があっても良かったかなと。


後者には違和感ありでした。犯罪を犯した少年を矯正するという仕事を全うしてきただけなのに、何故息子はあそこまで弥生を毛嫌いをするのか全く理解が出来ませんでした。自分を捨てたとばかり言い出す息子ですが、男と駆け落ちした訳でもなく、どこか道端に捨てられた訳でもないのに腑に落ちない・・・。そもそもちゃんと避妊しとけボケって感じです。元旦那も、明らかに問題ありな女性、しかも大学のサークル仲間という所からみても弥生を刺激する為だけに再婚したかのように見え、どちらに対しても腹立たしい。この設定は必要なかったんじゃないかと思うくらいでした。


自分の周りに過去に犯罪を犯した者がいるというのは、フィクションではなく本当にあり得ることです。フィクションながらもノンフィクションも感じさせる1冊。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2022年04月19日

もし、近くに犯罪者がいたら。
気づかないでいるのも怖いし、気づいてしまった時も怖い。
いくら今、友達として一緒にいるとしても、一緒に居たくなくなってしまうと思う。
益田の気持ちもわかるし、結局裏切られたと思われるなら、自分の手で原稿を書いた方が良かったのではないかと思う。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2021年12月18日

日本中を震撼させた少年事件の犯人が、医療少年院を経て社会復帰。知らずに親密になる益田は、正体を察し苦悩する。

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