あらすじ
あなたの生命保険は正しいですか? ネット生命保険の若き副社長が初めて明かす、生命保険の裏の裏。生命保険と聞くと、「どうせよくわからないし」と“判断停止”におちいる人も多いのでは? 住宅に次いで人生2番目に大きな買い物と言われる、生保の知られざる仕組みをわかりやすく説くのが本書です。「掛け捨ては本当に損なのか?」「一生涯の保障は必要か?」「保険は若いうちに入るべきか?」等々、生保の裏の裏を知って、賢い保険えらびに役立てて下さい。
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Posted by ブクログ
ライフネット生命共同創立者の岩瀬大輔さん著。生保業界の莫大なマーケット(40兆円)の規模があるのにもかかわらず、旧態依然とした販売体系、非効率な業務運営に着目し、ライフネット生命を立ち上げたきっかけを記している。
・生命保険事業の意義…「人間の社会の中で、大切なのは「助けあい」である。そして、助けあいの方法としては、「自助」「公助」「共助」の三つがある。しかし所得が伸び悩み、格差が問題とされるなか、「自助」だけに期待することは難しい。また、国家財政が逼迫しているなかでは、国に過度に頼ることもできないため、「公助」にも限界がある。とすれば、人々が互いを助け合う「共助」の仕組みが、再び大切になってくる。「共助」を担うのが、民間の保険会社の役割である。にもかかわらず、生命保険会社は保険金の不払い問題に代表されるように、消費者の信頼を失っており、本来の役割を十分に果たせていない。だからこそ、共助の仕組みをいま一度蘇らせることが必要だ。
・生命保険=保障商品と運用商品が存在。終身保険は、一部が保障の性格を持つが、運用商品の性格ももつ。しかし、その割合は外からは分からず、運用商品のために多大なるコストを契約者が負担している。
→つまり、金融商品としてのコスパが投資信託や株式投資等に比較してめちゃくちゃ悪い。半分ほどコミッションに割かれている。生命保険に加入するのであれば、死亡リスクに備える保障商品たる定期保険のみで問題ない。(ただし、現在は女性の社会進出も向上し、社会保険も検討すれば
死亡リスクに十分に備える必要性は薄い)
・日本の生保業界が繁栄してきた裏側…バブル経済期までの護送船団方式による業界が縦割り行政で保護されていたこと。さらに税制優遇によって家計所得を上手に取り込んでいくことができた。
・日本の生保業界は、一社専属の営業職員が人海戦術で売り歩くという、高コストの営業部隊を中核としたビジネスモデルをささえるために、高収益をもたらす保障性の商品を販売してきたのである。全国に支部・支社を構え、あまたいる営業職員を管理するための膨大なオーバーヘッドを抱え、巨大な労務管理組織を維持することそれ自体が、多くの生命保険会社のレーゾン・デートル(存在意義)になってしまったのである。大手生保の出身者から聞いたことがある。商品開発担当の若手が市場調査を通じて顧客ニーズを調査して、「保険料が安い単品の医療保険」の開発を役員会に提案したところ、「お前、それで外野( =外交員)に飯が食わせられると思っているのか!」と一蹴されたというのだ。
・先述したように、一九八〇年代から顧客ニーズは死亡保障から医療保障や生存保障(年金)にシフトしていた。しかし、生命保険会社はその変化に正面から向かい合うことはなく、死亡保障を大型化した商品を、販売組織の拡大戦略によって押し込み続けていた。頭打ちとなった死亡保障商品の販売をテコ入れするために、予定利率を引き上げることで保険料の値下げをはかったりした。
・一連の不払い問題が起きた理由は、表面的には支払管理態勢が不十分だったことにある。しかし、より本質的には「販売至上主義」と、生保のカルチャーとしての「顧客軽視」があったと考える。 すなわち、誰も理解できないような複雑な商品を、五〇%という異常な離職率にある営業職員に厳しいノルマを課して押し込ませていたことから、契約内容をよく理解しないまま入っている顧客がたくさんいることに、本来的な問題があるのである。
生命保険会社は、自社の営業職員や代理店などに対して、契約が成立すると一括して成約手数料を支払うなどしており、新契約獲得にかかわる費用が非常に大きい。契約から五年、十年と長期にわたって保険料を収受することで、この費用を回収していく。つまり契約初期に大きなコストが生じ、これを長期の契約期間にわたって回収していくというビジネスモデルなのである。