感情タグBEST3
Posted by ブクログ 2019年12月02日
よくまとまった、日本の731部隊及び関連部隊の成立から崩壊までコンパクトに記述されたらょ有心的な概説書。医学者のモラルが「天皇のため、国のため」思考停止に陥った時、人はいかに残虐無慈悲になりうるか、自立した個人と専門知識にのみ拘泥することの愚かさとそこからの脱却を求めているのも当然だろう。しかし本書...続きを読む刊行から25年以上経っても未だにこの国においては、滅私奉公とお上への忖度がむしろいっそう惨憺たる有様にまで悪化しており絶望を禁じえない読後感にもなってしまった。
また著者や生前の関係者、北野政次や内藤良一(薬害エイズ事件を引き起こしたミドリ十字創設者)にもあっているが記述は短いが当然読むものにも緊迫感を与える。彼らは二人共人体実験を否定しはしなかったのも印象的だ。
Posted by ブクログ 2021年12月30日
731部隊は日本の愚かさの象徴だと思う。
石井四郎の原点となった脳炎の話や研究者がサンプルを得るために墓荒しまでしたことや、人体実験の規模の割には成果が少ないという筆者の言葉が印象に残りました。研究内容の猿を人に置き換えて読むのはなかなかショッキング
Posted by ブクログ 2024年02月13日
別名「石井部隊」。第二次大戦中のその蛮行を追っている。読み進めるのが非常に辛い本だった。
最初は躊躇していた軍医達も「国のため」の名の下にだんだん平気に、むしろ積極的に「実験」をしていく。その目を背けたくなるような過程をやや淡々と綴る。部隊の蛮行は戦後の各国の思惑の中で処理され、戦後に医師として復...続きを読む帰した者も多い。あとがきではなるべく感情的にならないよう注意しながら本書を執筆したと語られている。
現代の国家が負うべき責任について最後の方で言及され、ここは物議を醸すこともありそうだ。しかし、「○○のため」に道を踏み外す事例はいつの世もあることを思い知らされる。
Posted by ブクログ 2009年10月07日
日本もかつてはここまで酷いことをしていたのだ、という事実を知るべき。
中国は戦後、日本人捕虜の気持ちをほぐし、強制によってではなく自発的な意志で各自の戦争時の犯罪行為をきちんと述べてもらおうと考えた。そういう地道な努力によって日中が二度と戦争しないための人材を、友人を中国は作り出したのだった。
Posted by ブクログ 2009年10月04日
731部隊について、さらっと概観したという感じの本です。731部隊が犯した人体実験を中心にして書かれています。逆に、実践における731部隊の記述は、ノミをペストに感染させて投下したことくらいしか書かれておらず、他は失敗したり味方に損害を与えたりと、あまり軍事的な成果を挙げることはできなかったようで...続きを読むす。
人体実験については、色々具体例を出して書かれており、その悲惨さが伝わってきます。が、「別にこれは731部隊と関係ないのでは…」と思わせる記述があり、これは日本軍が犯した戦争犯罪を731部隊に代表して負わせているかのような印象を与えかねないと考えられ、フェアではないかなと思いました。