あらすじ
世界一周飛行を果たした純国産機と失踪した伝説の女性パイロット。
圧倒的なスケールで描かれる、史実から生まれた大空の冒険ロマン!
1939年、第二次世界大戦前夜。前人未到の世界一周飛行に挑む純国産機ニッポン号と失踪した伝説の女性パイロットの運命が交錯する――自由と平和を渇望し、歴史の闇に消えた二つの「翼」の秘密を追い、新聞記者の翔子はある人物を探してアメリカへ渡る。翔子が辿り着いた驚くべき真実とは――
「世界はひとつ」-----飛行機乗りたちの熱き思いが、時空を超え、いまなお戦争が止まぬこの世界に、強く切なく響く。「壮大な世界観に圧倒」「何度も涙が溢れた」「一緒に世界一周をしている気持ちになった!」と大反響。史実をベースにフィクション創り上げる原田マハの作風の原点。待望の新装版。
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Posted by ブクログ
世界一周飛行に挑戦し、太平洋上で失踪したアメリア・イアハート、そして純国産機で初の世界一周を達成した毎日新聞社のニッポン号。これらの史実を元に作り上げられた壮大なフィクション。暁星新聞社の記者である翔子は、世界一周飛行を成し遂げたニッポン号の写真に、謎の女性が写り込んでいることを発見する。この謎を探るため、当時世界一周飛行に同行したカメラマン山田順平を探す。
1928年~1939年という第二次世界大戦が始まるほんと直前に、自由と平和を訴える物語が描かれている。アメリカの女性パイロット、エイミー・イーグルウイングの物語から始まり、信頼のできる仲間との日々であったり、アインシュタイン博士との邂逅であったりが描かれる。アインシュタインとの会話は印象的で、「国境はない、世界はひとつ」と主張するエイミーに対して、国境は断固存在する、だからこそ共存することが大事だと主張するアインシュタイン。それがアインシュタインからの手紙のシーンでは、本当は「世界はひとつ」と言ってみたかったと独白する。カフェで共存が大事だと主張したことは一種の諦めだったのかなと思った。ナチスによるユダヤ人迫害などを目の当たりにし、人類に対する諦めを抱いていたアインシュタインにとってエイミーはまぶしく映ったのではないかと思う。そしてアインシュタインの手紙によって、自身の世界一周飛行が軍事的な思惑の元に計画されていることを知ったエイミーは、予定のルートを外れて太平洋上で失踪する。
そして話は日本に移り、暁星新聞社でのニッポン号による世界一周飛行の話となり、そこで非公表の8人目の搭乗員としてエイミーが加わる。山田順平らは最初はエイミーの搭乗に否定的であったものの、エイミーの功績によるベーリング海峡の翔破やエイミーの人柄・背景を知り、徐々に打ち解けていく。アメリカを横断し、アメリカを知り、この国とは戦争をしたくないと言う。結局日本はアメリカと開戦してしまうわけだが、アメリカという国を知っていれば、開戦することもなかったのかなあと思う。知っている人はいて組織の問題もあったんだろうけど。
アメリカで一度飛行機を降りたエイミー、そしてアメリカ大陸から出発するときに再度エイミーが現れて、同行を申し入れるシーンは感動的で、タイトルである「翼をください」がここで回収されるのも良かった。展開を予想しろと言われたらおおまかに予想できちゃう気はするんだけど、それをこんなにも感動的なシーンに仕上がるのはすごいと思う。
現代に戻り、翔子たちはこの大スクープをそれぞれの胸に秘めるだけにするのも粋。
モデルになったアメリア・イアハートの失踪についても歴史上のミステリーとなっていて、本作のような物語の可能性もあるのかなと思うと本当に面白いなと思う。
Posted by ブクログ
本当に没入させるのが上手で、惚れ惚れ。
私の好きな飛行機とその時代の話。とは言っても、「ニッポン」や「アメリア・イヤハート」のことをほぼ知らなかった。欧米列強の時代に国産機で世界一周を果たしていたなんて、なんて偉大なことを成し遂げてくれていたんだと感動した。きっとフィクションだろうと思いながら読んでいた。そのくらい、原田マハさんはフィクションと史実を織り交ぜるのがお上手。だから、どこまでが本当で何がフィクションなのか想像しながら読むのも楽しかった。
恋愛の要素が散りばめられているなと思ったけれど、『ラブの要素』を求められていたというのが腑に落ちたし面白い後日談だった。
淡いようで情熱的で、そして切ない恋愛模様が心地よかった。こんなにも切ない、けれど側から見れば愛が通じ合ってるように思う行為があるのか、、。と思わされた。
エイミーが指輪を投げ捨てたの好き。
この物語では、飛行機が平和の象徴であり、証明できることを希望に世界一周を乗り越えようとしたクルー達に相反し、軍事利用や戦争へ導く道具であることを同時に証明できてしまった酷さ。
きっと人の運命というのは数奇で残酷でもある。
差別の模様が少し垣間見えて辛いなと思った。
本当に飛行機のこと、史実を詳しく調べて書かれているのが伝わった。勇気や感動をもらえる物語りであるとともに、今の時代に響く内容だった。
面白かった〜!