あらすじ
N.Y.、クリストファー街の夜、男娼は恋を囁き、情欲に身を委ねる。金のために身を売るヘンリーの、虚ろな慚愧。ドラッグに溺れた男娼が見たものは――。大人になることに、漠然とした怖れを抱えるキーコ。女に溺れた父、そしてママコの折檻。不毛の愛の数々、キーコは離人幻覚に囚われる――。妻の死体と三十日暮らした男は、若き恋の思い出に身を委ねた。一途な情動、行き場のない魂を濃密に綴る傑作小説集!
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Posted by ブクログ
小説としてではなく作者の芸術作品のとして触れた方が良い。作中に頻繁に出てくる強烈なイメージの描写は小説の一部として捉えると受け止めきれない。小説家には書けない、草間彌生だからこそ描けた作品。
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キラキラしてて、極彩色で、草間さんの自伝かと思うほどリアリティがあって。天は二物を与えず、とは嘘だな。ものすごい魅力的な文章。引き込まれました。
Posted by ブクログ
何気なく手に取ったがあの草間彌生による作品で、小説も書くんだと感心しつつ読み始めた。3つの短編が収められており、表題作の「クリストファー男娼窟」は肛門セックスが連呼されていて、読んでいて小気味よい。残る2篇も性に関わる話で、文芸チックな感じで結構良かった。
Posted by ブクログ
初見では、読みづらい文章だった。
でも、第1章を読み終えた頃には慣れてきて、草間彌生の独特の描写と世界観に没入できたと思う。
文の書き方がなんとなく英語的だなあという印象を受けた。日本語を編んで作った文章と言うよりも、文学的要素のほとんどが名詞、シンボリズム、情景描写がだったから。割とどんな言語に訳してもニュアンスが変わらない文章なんじゃないかな…
あまり読んだことのない感じの文体で面白かった。移動中に読むつもりで持ち歩いてたけど、結局後半は家で一気読みしてしまった。
Posted by ブクログ
p38 肛門の退行と固着の妖気の中で男たちは、魂の自由からかどわかされ、ナルシズムの囚人カーテンの中で秘かにさまよっている。
草間彌生も小説を書くのか、と思って読んだら、意外とちゃんと小説だった。幻覚と現実が混じり合って詩的ではある。水玉の印象が強くて、そんな衝動的な感じの人が言葉を操れるのかと思ったけど(たまに良く分からない場面はあるけど)渡米してただけあって、ニューヨークの雰囲気を肌で感じて、そして絶妙な狂気と感性の言葉で表現されている。
愛の渇望と、性の衝動と、茫漠な自己の風景。ミルク色のカーテン。蛾の銀色の鱗粉。腐ったネズミと花。蒸れた体臭。ドラッグとホモの夜のニューヨーク。
Posted by ブクログ
芸術、芸術家、前衛芸術、都会、男娼、そういう文化の息づく都市、というものに興味をひかれる。ニューヨークの男娼窟の物語である表題作が私は一番好きだ。男娼をやって大学を出た、という主人公の経歴がまた何ともいえず惹かれるものがある。男娼窟のあるアパートの様子とか、凄くかっこいい。本を読んでいて頻繁に思うことがある、こういう風に書きたい!と思う個所がクリストファー男娼窟にはいっぱいあった。
草間彌生の芸術作品を見に行くと、いつも猛烈にやっぱり芸術家が好きだ、と思う。芸術家の書く文章って、どんなものなんだろう、という興味も手伝って手にした本。文章は独特で、所々主人公の本当に観ている光景と幻覚が混ざり合っている感じの個所も出てくる。クリストファー男娼窟ではあまりなかったけど、離人カーテンの囚人では読んでてちょっと疲れた。
芸術を生み出す人の脳味噌の中には、やっぱり興味があるな。
Posted by ブクログ
これは、読む絵画である。エロティックでグロテスクで美しい。性液ののようねっとりしているかと思いきや意外に爽やかである。文章に色彩が弾けている。読書する時間は麻薬のように流れ去る。
Posted by ブクログ
草間彌生が書いてるのが売り。内容はジゴロや売春婦の娘が薬物汚染や親子関係の不具合に直面し身を滅ぼし死んでいく話。アナルとタナトスと狂気に満ちた短編集。とにかく暗く破滅的。