あらすじ
「ときどき、『日本はやがて中国や韓国に追い越される』『ギリシャのように財政破綻する』と真顔で語っている人がいる。それを見て、『この人たちはいったい何を議論しているのだろうか』と思う。そういう人たちは、新聞に書いてあることをしゃべっているだけで、自分の意見は何もいわない。それなら家に帰って新聞を読んでいればいいのであって、わざわざ他人と話す必要はない」(本書第一章より)。なぜみんな、新聞と同じ意見なのか。それは「思考法」を知らないからだ、と著者は記す。「データや証拠がすべて」と信じている学者や、物事を「絞り込む」タイプの人は、過去の分析はできても、将来起きることや未体験の事態に対応できない。東日本大震災に対する東京電力や政府の有様は、まさにそれであった。反対に「拡散思考」で物事を考えることにより、私たちはもっと広い可能性、斬新な選択肢を得ることができる。あなたのビジネス、人生の幅を広げる一冊。
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Posted by ブクログ
新たに書き下ろされたものではなく、これまで書き続けてきたものの中で不採用になっていたものが再発掘されて一冊の本になったようです。
かといって、没ネタの寄せ集めというようなつまらないものではなく、十分に刺激的で面白い。
日下さんの話はいつも、奇想天外だったり奇抜だけど、これまで誰も思いもよらなかった盲点を突くようで聞いていてとても楽しい。
それに日下さん特有の、朗らかでにこやかなあの表情で、さらっととんでもないことを言い放ってにこにこしている。という姿まで浮かんできて、本を読んでいるのに話を聞いているかのような錯覚も。
こんなに柔軟に物事を思考できたら楽しいだろうな。
もともと考えるのは好きだけど、もっともっといろんなことを考えて楽しみたいと思いました。
Posted by ブクログ
ビジネスにしても私生活にしても、自分の軸となる「考え方」を明確にすることが重要ですが、それをどのように構築すべきかについて解説している本は私の読む範囲内では少なく、日下氏の著作にはお世話になっています。
日下氏の本は私が社会人になった20年以上前から読んでいますが、いまだに「切れ」は衰えるどころか益々鋭くなっているようです。
日下氏の本には随所に昔の日本軍の素晴らしい点がでてきます、戦後生まれの執筆者が大半を占めてきている中で、実体験に基づく内容に触れることができる私は幸運です。今後も日下氏には元気で執筆活動を続けてもらいたいですね。
以下は気になったポイントです。
・大蔵省は国会議員一人につき毎年100億円以上の無駄なバラまきをしているので、一人3億円でリストラできれば両者にメリットあり(p13)
・学者が書いた本にグラフが多いのは「過去」を見る=直線思考(過去の延長に未来がある)が好きだから、学者が証拠として出してくるグラフには価値がない(p15)
・石油不足で航空作戦をやめたという話はない、昭和20年から訓練が休みになったが、そのときには負けていた(p20)
・アメリカの未来を見るには、オバマ演説よりも「ウォール街占拠デモ」を見るべき(p23)
・計画停電、節電による民間努力に対して経営危機に陥った東京電力が応えたのは「値上げ」であり、消費者は納得できていない(p34)
・電力危機で注目されたのは、鉄鋼・化学会社が保有する自家発電能力の高さ、東京管内では合計1000万キロワット、これは東京電力最大発電力の20%程度(p35)
・アメリカのシリコンバレーが最先端というのは生産者側から見たもの、消費者側から見た最先端地は巣鴨(p49)
・カラオケ歌って「楽しいところでいつでも死ねる」と高齢者が思えば喜んでお金を払うだろう、このアイディアは弘法大師が「四国48か所の霊場巡礼ツアー」で実現している(p50)
・日本の社会は平等で、社会に出てから先は、情報収集力やアイデアや応用力で学歴以上の差がつく(p59)
・人生は、条件と感謝と運の3つで構成されている(p64)
・アメリカは建国以来200回戦争をしているが、議会が賛成して宣戦布告したのは4回で残りは大統領命令(p76)
・アメリカでは出撃回数25回でお役免除としていたが、これは4%の損害であれば生きて帰れないという計算、1944-45年の日本の防空部隊は5-10%を撃墜していたので、B29搭乗員の気持ちは特攻隊と同じであった(p85)
・道州制よりも連邦制(東日本国と西日本国)にする、大阪都構想も西日本国へ発展させるべき(p108)
・日本の凄いところは天皇家よりも古い家系(物部、大伴、日下等)がいくつもある、戦いがあっても皆殺しにしないから(p110)
・昔の中国で国家財政を支えたのは関税で、役人に給料は無給なので賄賂(p127)
・島原の乱では南蛮人がキリシタンを助けてくれると信じていたが、プロテスタントのオランダはカトリック教徒を攻撃することにためらいは無かった(p133)
・民主党のスローガンは下流精神そのもの、子ども手当・高校無償化・農家個別補償制度・高速道路無償化(p143)
・米軍から見て一番しぶとくて嫌だったのは、大阪の兵隊であった、大本営の命令通りやらず自分で考えて一番いいと思うことをやった(p148)
・アメリカ軍は司令部を潰した後の日本軍の兵隊の強さに困惑していた、兵隊の中に中流の精神・教養・判断力があったから(p150)
2012年4月15日作成
Posted by ブクログ
・お金を撒けば景気が良くなるというケインズの提唱は、「中流」の国民が多い場合にしかなりたたないのではないか。
・これまでで最も反応がよかった政治家は、小渕恵三さんである。小渕さんは「いま聞いたことは、必ず全部やってみせます。じつは日本の首相は、法律上たいへんな『独裁者』で、アメリカの大統領よりも権限がある。しかし権限だけではダメで、もう一回総選挙をすれば、私が公認した人がたくさん政界に入るから、もう少し待ってください」といった。
・明治22(1889)年、奈良県の十津川郷が大水害に襲われ、壊滅的な被害を受けた。生活の基盤を奪われた人たちは、新たな生活の地を求めて移住を決断、600世帯、約2400人が北海道の未開の原野に入植した。政府からの援助は、旅費と3年間の食糧の現物支給だけであった。
そのとき、入植者全員が七ヶ条の誓いを交わしている。
たとえば、質素倹約に努めるということで、宴会の類は行わない、5000坪を開墾するまでは他の仕事をしてはならない、政府から支給される食料は家族だけで食べて、他にふるまってはならない、三年間は飲食の店を出してはならない、子弟の教育に努めること―といった誓いである。誓い通り、入植二年目には早くも二つの学校を開校している。彼らは、「われわれは政府には頼らない、お世話になった分は恩返しする」という決意をもって、新十津川を開拓していく。
平成23(2011)年9月、奈良県の十津川村が、台風の豪雨による土砂崩れと川の氾濫に襲われ、またしても大きな被害を受けた。それに対して新十津川町は、見舞金・義援金合わせて6300万円を贈っている。