あらすじ
将棋界の歴代記録を塗り替え続ける最強棋士。なぜ彼だけが常に熾烈な競争を勝ち抜けるのか。タイトル戦観戦記にトップ棋士たちとの対話、そして羽生本人に肉迫した真剣対談が浮き彫りにする、強さと知性の秘密。ルールがわからない人をも魅了する、天才棋士の思考法とは。既刊単行本二冊を再編集し、羽生善治との最新対談を収録した完全版。
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Posted by ブクログ
あまり得意じゃなくても、将棋に興味を持てるようになる一冊。
また駒に触れてみようかな~と思う。
将棋から現代社会の特性を導きだそうとしているところが興味深い。
現代は、高速道路。
誰でもカンタンに前に進めるけれど、その先には大渋滞が待っている。
その大渋滞を抜けられなければブレイクスルーは起こらない。
高速道路とは、大量の知識や情報が整理された状態のこと。
誰でも手を伸ばせばカンタンに手に入る。
大渋滞とは、そんな高速道路に突っ込んだたくさんの人々がなした群れ。
そこからまた一つ突き出るには、自分で考えることのできる力をしっかり養わなければならない。
じゃあ、一般道でゆっくり行ったらいいかといったら、それではスタートの時点で出遅れて取り返しのつかないことになってしまう。
膨大な情報にも全て触れておく必要がある一方、自分でしっかり考えることのできる力も身につけておかなければならない。
これが現代の将棋でも現代社会にでも共通する大きなジレンマ。
なるほど、情報化社会の大きな特性だろう。
何事も、他のモノで勝負してはいけない。でも、身の周りにある部品を利用しない手はない。重要なことは、自分のポリシーなり個性をもって、それらの部品を加工すること。そうすればきっと素晴らしい作品ができるはず。
日々是精進ですな。
『後にとっておける手は残しておくこと』というのも興味深い。よく今日できることは今日やれという。前者の発想は、明日できることは明日やれということだ。きっと両者とも大事なのであって、バランスをとって生きていくことが大事なのだろうな~。
本書を通じて感じた羽生さんの強さ、それはやっぱり将棋を愛する心なのだと感じた。だからあれだけ集中できて、あれだけ継続できて、あれだけ圧倒的なのだ。
何事もモノになるには時間がかかる。楽していい仕事はできないのだ。どうも楽してできたらと思ってしまうけど、要は自分自身が好きになること、楽しむこと。そうすればきっとうまくいく。
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