あらすじ
「柳田民俗学の最大の欠陥は、差別や階層の存在をみとめないことだ。いつの時代であろうと差別や階層があるかぎり、差別される側と差別する側、貧しい者と富める者とが、同じ風俗習慣をもっているはずがない。」すべての底辺、すべての下層からその民俗を掘り起こし、人間存在の根源的病巣「差別」の起源と深層構造に迫った、民俗学の巨人・赤松啓介のひとつの到達点。人間解放の原理、平等原理に貫かれた著者のまなざしは、限りなくあたたかい。【解説:赤坂憲雄】
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Posted by ブクログ
日本における"差別"がどのように発生し行われてきたかを、著者が実際に見聞きした事実に基づき綴った良書。差別研究の根底には、差別を根絶したいという思いがあることは繰り返し述べられる(例えばp.16)。著者は左翼活動家としての一面もあり、社会変革への志向に突き動かされた民俗学研究という点は見逃せないだろう。常民なる概念は、差別・被差別関係にあるさまざまな階級の人々を一緒くたに扱うもので、現状の政治体制や社会構造を追認しているとして柳田民俗学を厳しく非難する。柳田民俗学があまり触れてこなかった"性"に関する民俗を積極的に扱っている点も見逃せない。