あらすじ
三島生誕100年・没後55年。
近代日本の官僚制と天才作家の逃れられざる宿命とは――
樺太庁長官を拝命しつつ不遇の晩年を過ごした祖父。
農商務省で岸信介と同期だった消極的ニヒリストの父。
そして大蔵省をわずか9カ月で辞め、作家に転身した三島由紀夫。
日本の近代化とともに形成された官僚制の暗部と一家の系譜を丹念にたどり、
三島文学の成り立ちと衝撃の自死までの道程を明らかにする画期的評伝。
〈解説〉鹿島茂/井上隆史
目 次
プロローグ
第一章 原敬暗殺の謎
第二章 幽閉された少年
第三章 意志的情熱
第四章 時計と日本刀
エピローグ
単行本へのあとがき
文春文庫版へのあとがき
中公文庫版へのあとがき
参考文献
文春文庫版解説 鹿島茂
解 説 井上隆史
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Posted by ブクログ
いま、『ペルソナ』という三島由紀夫=平岡公威一家の歴史探訪に即した本を読んでいる。猪瀬直樹の書いた大長編であるが非常に面白い。読み応えがあるのだ。三島由紀夫を書いた本は数多あるが、どうしても難解な文章に突き当たる。殊更に難しく書いた評論が多いなかで『ペルソナ』は総じて難解なところはないし、大げさな物言いもない。
明快で説得力のある筆致が、読み進む内に水のような力が、ひとつひとつ納得するに足りる文章の行間にみられるのだ。三島由紀夫の本を読む時、書かれている内容に、一体何を言おうとしてるのか? 理解に苦しむ箇所が随所にみられる。
それは、私の理解が浅く薄っぺらなものからきているのか? 若い頃から今までそう思っていたのだが、彼の生い立ち、幼年期、中高生期等を知り得なければ理解できないことが判る。これだけ見事に、詳細緻密にしてユーモラスも混じえて大長編を書き上げた著者には敬服する。
この本が書かれたのは2001年だ。24年経っている。当時、本のタイトルくらいは目にしたと思うが買わずにいた。いま、72歳で読んでいることに『遅れてきた青年』を感じるのだ。