あらすじ
先の見えない時代にこそ、“われわれ”には哲学が必要だ。今世紀を代表する頭脳であるマルクス・ガブリエルと、彼がいまもっとも共鳴する哲学者・出口康夫による「未来のための哲学」対話。「わたし」一人でできる行為は何一つないと主張し、「われわれ」として生きることを提案する出口の「WEターン」を、ガブリエルの「新道徳実在論」が補完。古今東西の哲学に精通する二人が、普通の“われわれ”が生きる意味を教えてくれる。
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Posted by ブクログ
哲学は難解な議論というより、日々の判断を支える道具なんだと実感した。何を大事にして生きるのか、どんな未来を良いと考えるのか。そういう前提を言葉にして整理できるだけでも、読み進める価値があった。
特に印象に残ったのは、WEターンの考え方。自分ひとりでやっていると思っていた行為も、実際には人や制度、場所、道具など、いろいろな支えの上に成り立っている。主体を私からわれわれに広げて捉えることで、善し悪しも個人の意思だけではなく、要素の配置や関係として見えるようになる。これは、仕事でもプライベートでも、自分の責任の取り方や関わり方を見直すきっかけになった。
人生の意味についても、ヒントが多かった。人生を全うするとは何かを考えるとき、誠実さや真っすぐさ、関わった人や地域を全力で支える、といった自分のモットーを、単なる気持ちではなく「どう生きるかの指針」として置き直せる感覚があった。結局、人生の意味は所有ではなく生き方の積み重ねにある、という方向に背中を押された気がする。
AIの話も同じで、便利な道具として片づけるのではなく、AIが人の行動を形づくり、人もAIを形づくるという相互作用として捉える視点が残った。だからこそ、導入の仕方や運用の仕組み、教育まで含めて考えないといけない、という問題意識。根深いけれど。
とはいえ、正直、読み切って理解しきるのは簡単ではない。示唆を一度で出し切るというより、繰り返し読みながら自分の現場や生活に照らして少しずつ腑に落としていくタイプの本だと思う。これからも継続して学びながら、自分の生き方や仕事の判断に反映していきたい。