【感想・ネタバレ】BOXBOXBOXBOXのレビュー

あらすじ

宅配所に流れる箱を仕分ける安(あん)。ある箱の中身を見た瞬間から次々に箱が消えていって――顔なき作業員たちの倦怠と衝動を描くベルトコンベア・サスペンス。第62回文藝賞受賞。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

霧に包まれたような、モヤモヤとした不思議な読後感だった。
濃霧が立ち込める宅配所でライン作業をしている従業員視点の話。
視点がコロコロ変わるので、今誰の話だ?と一瞬なるのが読みにくく感じた。でもそこがこの本の不気味な雰囲気を作っているとも感じた。

箱を盗んでしまう従業員。箱の中身からドラマが生まれるかと思いきや、箱を盗むことそのものに陶酔してしまう。
他にも色々問題を抱えている人たち。
工場現場って、低学歴や年配、移民の集まりみたいにまとめられているけれど、蓋を開けるとその辺のそこそこの企業の会社員よりも、問題を抱えている、不謹慎な言い方をすればドラマがある人たちが多いのかもしれない。
本作はそういった人たちが、延々とループされるライン作業という仕事に気狂いしていく様子が描かれている。

なんか、工場勤務経験のある自分からしたら、いろいろと感じるものがある物語だった。

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2025年11月29日

Posted by ブクログ

ネタバレ

霧がずっと謎だったんだけど、最後、意識混濁を強める意味だったのかと思い至った。安(主人公)が見ているのは全て通勤バスの中の夢なのか、それとも単調で孤独な仕事のせいで日々、いや時間の境目すら曖昧模糊になるのか。
それから、安の想像力、箱の中身が見えないからこその彼のせっかくの想像力が、箱を開けて、しかも盗んで箱の一部を自分のものにしたことで、即物的なものしか思い描けなくなるくだりが面白かった。知ることの弊害ともいえそうで。

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2025年12月08日

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