あらすじ
宅配所に流れる箱を仕分ける安(あん)。ある箱の中身を見た瞬間から次々に箱が消えていって――顔なき作業員たちの倦怠と衝動を描くベルトコンベア・サスペンス。第62回文藝賞受賞。
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Posted by ブクログ
霧に包まれたような、モヤモヤとした不思議な読後感だった。
濃霧が立ち込める宅配所でライン作業をしている従業員視点の話。
視点がコロコロ変わるので、今誰の話だ?と一瞬なるのが読みにくく感じた。でもそこがこの本の不気味な雰囲気を作っているとも感じた。
箱を盗んでしまう従業員。箱の中身からドラマが生まれるかと思いきや、箱を盗むことそのものに陶酔してしまう。
他にも色々問題を抱えている人たち。
工場現場って、低学歴や年配、移民の集まりみたいにまとめられているけれど、蓋を開けるとその辺のそこそこの企業の会社員よりも、問題を抱えている、不謹慎な言い方をすればドラマがある人たちが多いのかもしれない。
本作はそういった人たちが、延々とループされるライン作業という仕事に気狂いしていく様子が描かれている。
なんか、工場勤務経験のある自分からしたら、いろいろと感じるものがある物語だった。