あらすじ
宅配所に流れる箱を仕分ける安(あん)。ある箱の中身を見た瞬間から次々に箱が消えていって――顔なき作業員たちの倦怠と衝動を描くベルトコンベア・サスペンス。第62回文藝賞受賞。
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Posted by ブクログ
ある殺風景な地に立つ物流倉庫という一つの大きな箱の中で、生きるための疎外された配達の仕分けという労働に従事する人々が集められている。
日々どこからか来て、どこかへ運ばれる箱を仕分けている彼ら自身も人としての苦悩、あるいは欲望を秘めた箱である。陰鬱な大きな箱の中で、箱たち予期せず接触することで互いの梱包が解かれ、人としての本質が漏れ出していく。
やがて小さな箱はそれぞれの行き先へ放たれる。
むかしの「世にも」の映像でイメージしてしまうような、先の読めなさと不思議な余韻があった。
Posted by ブクログ
運ばれてくる箱を選別する部品のようになった4人の話。
物流倉庫という設定が面白そうだったので読んでみました。こういった場所に霧が立ち込めている、というのは人間関係を表してるよう。
芥川賞候補作ですがかなり読みやすくサクサク読み進められました。でも、全員の行動の理由が凡人の私でも理解できるという不可解な部分がなかったために受賞に至らなかったのかもしれない。
この作業、1日2時間ほどでしたが短期間、似たような仕事をしたことがあってノリノリでやれる日となんとかこなしていくだけの日がありました。箱は開けられる仕事だったんですが持ち上げたときに小さい箱なのに重い分銅が入っていたときに脳がバグってギョッとしたなぁ。
Posted by ブクログ
人間が徐々に人間性を失っていく様子のリアリティが凄まじい。
コンビニ人間にも通じるような、人間の隠された一面的な描き方がとっても面白かった。
Posted by ブクログ
宅配便の仕分けセンターのようなところが舞台だが、何故かいつも霧が立ち込めている設定になっているところが怪しげ。
今は相当に機械化されているだろうが、少し前までは普通にあったんだろうな、こういう職場も。身体と心を分離する術がないと、精神が少しづつ歪んでいくのも分からなくはない。想像力を掻き立てられながら読み進めた。
しかし、主たる登場人物が後半一同に会したり、突然後日談として何故か全員がハッピーになっているなど、少し唐突感のある展開でイマイチ入り込めなかったところもあった。
Posted by ブクログ
抽象的にも具体的にも感じられた不思議な作品だった。
霧は、先の見えない人生に対する不安や恐怖を表しているように思えた。
ただ漠然と作業を繰り返す毎日。
これで本当に良いのだろうか?と思いつつも、自分自身の能力にある種の「諦め」のようなものを感じてしまい、現状を打開することを放棄してしまう。
そのような状況で安は魔が差してしまい、パンドラの箱を開けてしまったのか?
個人的に、ラストシーンで安だけがバッドエンドを迎えたように感じられたが、解釈が難しいところ。
箱は開けてみないと何が入っているのかわからない。
職場、人生も同じようなものだと思う。
何も見えない世界で、失敗しながら、苦しみながら、もがいて生きていくのが我々人間なのかもしれないと思った。