【感想・ネタバレ】議会制民主主義という神話 ――イギリス近代史の真実のレビュー

あらすじ

「議会制の母国」といわれるイギリスにおいてすら、議会は民主主義を実現するために形成されたものではない。成り立ちの異なる議会と民主主義の相性は悪く、今日その破綻が指摘されている。では本来イギリス議会政治とはどのようなものか。その転換点となったディズレーリvs.グラッドストンによる「奇蹟の10年間」(1866-76年)にイギリス政治は、貴族政治から、労働者階級までを取り込んだ大衆民主政治へと転換を遂げた。この原点からイギリス議会政治の本質を捉え直す。 【目次】はじめに/序章 議会制民主主義という神話/第一章 自由主義のためのイギリス議会(前史)/第二章 議会政治の転換期 第一幕──ジェントルマンと大衆/第三章 議会政治の転換期 第二幕──保守党と自由党/第四章 議会政治の転換期 第三幕──ディズレーリとグラッドストン/第五章 大衆民主政治の到来と議会政治の衰退/終章 議会政治に再生はあるのか/おわりに

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Posted by ブクログ

「議会制民主主義」という、イギリスで誕生しその後世界中にウェストミンスターモデルとして広がり普及した政治体制は、成り立ちからして両立しえないというショッキングな声明から始まり、この体制がどのように構築されていったのかをノルマン=コンクエストの時代から解き明かす良書
単に成立したイギリスの政治史・法制史を解説するのみならず、著者は現代社会における「民主主義」の在り方までその優れた洞察力を拡大させて提言する

ホイッグ・トーリという政党の誕生、後の自由党・保守党になってまで続く対立とその同質性、グラッドストン・ディズレーリという二人の巨人によって実現された「奇蹟の十年間」など、読み手の目を引くトピックに溢れている
しかし、その歴史において「議会」が「自由」をどのように達成しようとしてきたか、その意図に反してどのようにしてイギリスに「民主政治(大衆政治)」が根付いたかといった重要な論点も、重苦しさを感じさせない文体で細かく書かれており、知的好奇心も満たせる

世界史を高校で履修している内に何となくは知っている「印紙法」や「教育における政教分離」「議会法・人民予算」なども、本書を読むことで大きな流れを背景として現れた特徴なのだと理解することができて楽しかった

「政治的自由」が概ね達成された現代において露呈する「議会」や「民主主義」の弱点や錯誤なども、日本における例などを交えながら書かれているため分かりやすく、そして我が身に染みる思いで読めた

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2026年04月01日

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