あらすじ
本書は、上皇陛下の心臓手術執刀医で、日本屈指の専門医による「健康寿命」を延ばすための、読む処方箋です。
単独病態では、日本人の死因第1位となった心不全。2023年統計で9万9000人を超え、すでに10万人を超えるまでに増加中です。心不全とは、心臓の働きである「ポンプ機能」が低下し、全身に十分な血液を送り出せなくなった病態で、放置して慢性心不全になると徐々に心機能が低下し、命を縮めます。末期の治療法はなく、呼吸困難や痛みなどの苦痛が現れます。心不全を起こす原因は、心筋梗塞や狭心症などの虚血性心疾患、心臓弁膜症、心筋症、心房細動などの不整脈といった心臓疾患の多くが該当し、高齢多死社会を迎えた日本では患者さんが急増しています。
こうした血管や心臓の病気は、長年の生活習慣が大きくかかわっています。そして、加齢とともに発症する頻度は格段に高まります。とりわけ心臓の病気は60代以降に多く、70代、80代の高齢の方々においては、発症が命にかかわるケースさえあります。
私は心臓血管外科医ですので、手術をして、薬を処方し、そうした患者さんの身体の不具合を取り除くことが仕事です。心臓病は65歳以上の高齢者に多い病気で、私が手術を執刀する患者さんも高齢者がほとんどです。人によっては、「高齢だから仕方がない……」とあきらめ気味の方もいらっしゃることでしょう。でも、私はまだまだ先延ばしができると思っています。
今、私がいちばん気にかけているのが、今を生きる人々の「健康寿命を延ばす」ということです。
2025年7月に公表された日本人の平均寿命は、男性が81.09年で、女性は87.13年です。しかしながら、日常生活に支障のない健康寿命という側面からの推計では、男性が72.57年で、女性は75.45年です。それぞれ8~11年も「日常生活に制限のある期間」があるとされています。その差を縮め、健康な期間を少しでも延ばすことが、医療に携わる者の務めと私は思っています。
本書は、そうした思いから続けている『日刊ゲンダイ』での週1回の連載記事「心臓病はここまで治せる」が原典です。現代の医療を賢く使うことで、誰もが健康寿命を延ばせると私は信じています。健康寿命を延ばすためには「血管と心臓を守る」ことが大切です。そのために、「日常、何を心がければよいか」を主題に書き進めてきました。できる限り平易に記しましたので、みなさんの健康寿命を延ばす一助になれば、心臓血管外科医として、著者として、何事にもかえがたい喜びです。
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感情タグBEST3
Posted by ブクログ
冠動脈疾患があり、手術も経験している自分は、血液サラサラの薬を飲み続けている。
今後どうなっていくのか、どうすべきか等気になるが、ちょうど、何か示唆を与えてくれそうな本が見つかったので読んでみることにした。
著者が上皇の執刀医であることから、信頼感が持てたのも、きっかけになった。
得た知識で記憶に残しておきたいと思う事項を以下に列挙しておく。
●冠動脈バイパス手術で使う血管の耐久性は、足の静脈で、約13~15年
●高齢者の再手術も増えているが、1~2年前に手術を受けた患者の再手術は、体内の組織同士の癒着が強いため、スムーズにメスを入れられない。
最初の手術から時間が経っているほど、癒着部分と通常の組織がなじみ、再手術がやりやすくなる。
●狭心症と、大動脈弁狭窄症を人工心臓を使わず、外科医による手術と内科医によるカテーテルの血管内治療を同時に行うハイブリッド手術も可能になってきている。
●すでに心臓病を治療した人や治療中の患者に夜間頻尿が表れてくると、心不全が進行している可能性がある。
心臓のポンプ機能が低下して、体内に血液が十分、供給できず、下肢に溜まる。寝ている時に、腎臓での血液量が増え尿がたくさん作られる。
●BMIは22がもっとも病気にかかりにくい健康な状態