あらすじ
激変する世界と明日を生き抜くための1冊
いま知っておくべき論点を1テーマにつき見開きで専門家がコンパクトに解説
主要国が自国中心主義を声高に叫び、
ますます混迷の度合いが増す世界情勢。
AIで個人の価値観も揺らぐ世をどう生きるか。
新たな知見と判断材料を提示する。
*エマニュエル・トッド 「西洋の敗北」とは何か
*齋藤ジン 日本は「世界秩序の変化」をチャンスに変えられるのか
*岩田明子 高市首相は「安倍元首相の遺産」と愛嬌を活用せよ
*唐鎌大輔 デジタル赤字は、日本に嵌められた半永久的足枷だ
*木澤佐登志 ティール、マスク、ヴァンス……「暗黒啓蒙」されたアメリカ
*城山英巳 なぜ中国の富裕層は日本に逃げてくるのか?
*名越健郎 プーチンの後継者選びと次のロシアを動かす二世たち
*五十嵐彰 犯罪率と起訴率 数字で考える「外国人問題」
*児玉竜一 覇権争いが激化する歌舞伎界、将来の「国宝」級役者
*五十嵐亮太 二刀流の真価が試されるシーズンが来た大谷翔平
*江森敬治 悠仁さまに期待される理想の結婚と海外留学
*伊藤秀倫 市街地に出没、異常な事故……クマに何が起きているのか
*内田樹 女子大の教育における最大のアドバンテージとは
*下方浩史 認知症患者を減らすための最新研究
*益田裕介 AIカウンセリングがはらむ依存症リスク
など、100本収録
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
今知っておくべき論点を1テーマにつき見開きで専門家がコンパクトに解説。
目を引いたものは、巻末の特別寄稿
〇[歴史の捉え方が変わった]戦後81年目の論点 昭和史はどう伝えられるのか 保坂正康
かつて昭和史は日本人にとって生々しい戦争体験とむすびついた「同時代史」だった。が、戦争を直接知る世代は若くても80代半ばとなり、この数年来、昭和史は「同時代史」から「歴史」となり、新しい解釈が生まれると考えてきた。立て続けに若い人たちと語る機会があり、この見立てが誤りではないと感じた。
「きけわだつみの声」を読んで、保坂氏は数年早く生まれていたら我が身だった、との実感で読んだが、今の若者はウクライナやガザなど同時代的に戦争を感じていて、自分たちよりはるか昔の学生が、現代と変わらぬ戦争という不条理に巻き込まれている、と受け止めていた。
6月に30代の記者と話した時、「大本営発表」について、その虚実を詳しく教えて欲しい、と言われた。少し年を取った記者なら大本営発表の事柄は自明でわざわざ詳細を聞くことはない。若い世代の、嘘を拡散した時代をしっかり学びたい、という意欲を感じた。
また保坂氏が昭和史研究を始めた1970年代は、まず特定のイデオロギーがあり、その解釈に都合のよい「事実」を後から当てはめて歴史を語ることが当たり前のように行われていた。
1970年代は「日本は他国を侵略した」という前提にたって昭和の歴史を検証する本が溢れかえっていた。一方旧軍関係者には「日本は聖戦を行った」という認識の人もいた。結論ありきではなく、なぜ二十歳を過ぎたばかりの若者が戦地にいかねばならなかったのか、その背景が知りたい、という素朴な疑問で私はこの昭和史研究の道に入った。
〇[ 『ニーズ』にすり寄ることの危うさ] 女子大の教育における最大のアドバンテージとは 内田樹
学校教育は「必要」とは関係がない。
教育とは、道行く人の袖をとらえて「お願いだから、私の話を聴いてくれ」と懇願して行うものである。どこにも「ニーズ」なんてありはしない。その、教える人に人々が集まってくることが基本である。
「教えたいこと」のなかには、教科のコンテンツ以外に学舎がどのような「空気」に包まれているかという体感も含まれる。
〇巻頭言スペシャル{世界が混乱しているワケ」「西洋の敗北」とは何か~エマニュエル・トッド
「米国=仲介者」という茶番劇 すべては現実をぼまかすための”ショー”なのだ。「ロシア(勝者)VS米国&ウクライナ&欧州(敗者)」なのに、米国は敗者とは別の陣営にいるがごとく装い、米国をより上位にいる”仲裁者”のように見せる茶番劇でしかない。
私の多くの予言のなかでも「西洋の敗北」は最もすぐに実現したものだが、具体的にどんな形をとるとかは予言していない。今後何が起き得るのか。
「ドル基軸体制の崩壊」を含む「米国覇権の終わり」の始まりとなり得る敗北なのだ。
〇[ 巨大な力の時代を生き抜く] 日本外交には「戦略的志向」が必要だ 垂秀夫(前中国大使)
戦略的志向、長期的視野 とも言えるかもしれない。
毛沢東は蒋介石の国民党と「抗日」を行ったが、抗日に割いた戦力は2割で、戦力の8割は「その後」の共産党再生に向けて温存・拡充を図っていた。
〇[ 没後三十年 司馬遼太郎] 小説、気候、評論・・今こそ多層的な司馬作品を読み直そう 辻田真佐憲
司馬の作品は「書き物」という呼び名がふさわしい。物語、紀行、評論などの要素を自在に取り込んでいるからだ。・・歴史学がどれほど厳密さを誇ったとしても「史実そのもの」に到達できるわけではない。
・・歴史は過去も「書き物」であったし、これからもそうだろう。であるならば、いかにしてよりよい「書き物」を生み出していくかが重要である。その文脈で司馬作品を読み直すことが可能ではないか。
〇[永田町エンジニアチームの明日]初登院でわかった国会AI化のポイント 安野貴博
チームみらいの政治資金の出入りをウェブサイト上で丸見えにした「みらい まる見え政治資金」を公開した。こういった足元のAI化をもとに”ユーティリティ政党”として様々な方に便利に使っていただきたい。ある種の触媒として、政治の世界全体を活性化できるような存在になれたら。
〇[極論に引き裂かれる欧州]欧州各国内の「分断」と「葛藤」その根源を解く マライ・メントライン
分断のポイントは
①EU残留か離脱か その国がWUの中でいる位置によって様相が異なる・・中小規模のポーランドやハンガリー、「主導的な大国」ドイツやフランス
②移民難民問題~移民は一定レベルの資格を認められ”経済的国益に資する”と認められた存在。難民は”食客”だ。一時的な滞在であるはずの難民の多くがずっと居続けたことが、ホスト国の市民たちに政治的疑念をもたらした。トドメを指したのはロシアのウクライナ侵攻。ヨーロッパ圏(といえなくもない領域)から大量の難民が流入する事態はEU社会に一層の混乱とストレスをもたらした。
2026.1.1発行