あらすじ
アルパインクライマー山野井妙子の半生を綴ったノンフィクション。
ヨーロッパアルプスやヒマラヤなどで数々の登攀を成功した妙子は、世界的なクライマーとして頭角を現わす。しかし、その道は平坦ではなく、マカルーとギャチュン・カンの登攀では両手足の指の多くを失う壮絶な経験をする。
パートナーである夫・泰史と国内外の山々に挑み続け、現在は畑仕事や釣りを楽しみながら自然に根ざした穏やかな生活を送っている。
どんな困難な状況でも冷静さを失わず、ただひたすらに「いま」を生きる姿は、周囲の人々を惹きつける。
彼女の記録的な登攀の裏にある、穏やかで動じない「凪」のような心のありようと、その人生の軌跡を浮き彫りにした珠玉の一冊。
『山と溪谷』2024年4月号~2025年3月号に好評連載された記事に加筆修正して単行本化。
山野井妙子(やまのい・たえこ)
1956年、滋賀県生まれ。77年、東京北稜山岳会入会。82年、冬季グランド・ジョラス北壁登攀。91年、ブロード・ピーク、マカルー登頂。94年、チョ・オユー南西壁スイス・ポーランドルート第2登。96年、山野井泰史と結婚。2002年、ギャチュン・カン北壁登攀。これにより植村直己冒険賞受賞。07年、グリーンランドのミルネ島「オルカ」初登。20年、静岡県伊東市に移住。
■内容
プロローグ 2023年
第一章 原風景 1956~1978年
第二章 飛躍 1979~1982年
第三章 生還 1982~1991年
第四章 充実感 1992~1994年
第五章 山の旅 1995~2001年
第六章 脱出 2002~2018年
エピローグ 2023~2025年
山野井妙子年譜
おわりに
参考文献
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
妙子さんの人柄がとても魅力的で憧れる。
温かく冷静で賢く、まさに今を生きる人。
好きにならずにはいられない、そんな人だと感じた。
決して奢らずに山と向かい合う姿が、たまらない。
人と競うのではない。
ただ、山が好きだから。
自分のしたいことを見つめて進み続けるということが、いかに難しく、そして強く美しいことか。
つい他者を気にして心をぶらしてしまうことが多い自分にとって、その姿は心に強く残る思いがする。
また、さらっと書かれているのだけれど、本当にたくさんの人が山で亡くなっているなぁ。としみじみと思った。
妙子さんが池さんの遺体を見つけたところは、泣けた。
さらっと数行に書かれているのだけれど、その裏にはどれほどの想いがあったのかが感じられてたまらない。
見つけてあげられてよかった、と思う反面、そんな言葉だけではとうてい言い尽くせないことが痛いほどわかって、もう黙ることしかできない。
そんな風に感じた。
静かで強い本だった。