【感想・ネタバレ】エロってなんだろう?のレビュー

あらすじ

現実とフィクションは違う。でも、現実のルールを知らなければ、面白いフィクションはつくれない。エロマンガ界のレジェンドが語る、いまこの社会でエロを表現し、人に見せるということ。◆エロをエンタメにする楽しさとルールを考える エロマンガの巨匠×蛙亭・イワクラ対談「エロいは面白い」収録。 【目次】はじめに――エロいことと、隠すこと/第一章 エロの原点/第二章 エロをつくる/第三章 エロは子どもに有害なのか/第四章 隠すことにもルールがある?/第五章 現実とフィクション/対談 イワクラ(蛙亭)×山本直樹 エロいは面白い

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Posted by ブクログ

山本直樹の『エロってなんだろう?』を読んだ。
発売された当初から気になっていたのだが、この世にはおもしろそうな本やそのほかコンテンツがたくさんあるため、やや後回し気味になっていた。

内容は山本直樹のエッセイに近いが、表現規制の歴史や、それが起こった時代の空気が押さえられていて、そのへんについてはぼんやりとしか理解していなかったので自分でも整理できてよかった

途中までは、ほほお、なるほどなあ。いや、このへんは全然知らなかったわーと思っていたのだが、第四章【隠すことにもルールがいる?】のラストのほうに”社会的な約束事をちゃんと理解していないと作品は作れないんですよね。エロはとくに。そこをちゃんと理解していないと、作り手としてダメだと思うんですよね。”と言い切ったあたりから、第五章【現実とフィクション】に入り、様子が少し変わってくる。
第五章で山本直樹はずっと現実と他者のことを書いている。もっと言うと他者を人間として扱うこと、現実こそが他者=人間であることをずっとずっと書いている。
過去に描いた作品のことからもあれこれは言えないけれども、と前置きをしながらも”相手を道具扱いしていまう諸悪の根源が「現実とフィクションの混同」なんだと思います。これが一番性質が悪い。”と言っている。

それを皮切りに現実の事象と照らし合わせながら、現実を生きている人間を道具扱いすることの最たるものは国家が行う戦争であり、あれは人の命よりも国体の護持が大事なのだと若者を特攻させた、現実とフィクションを現実しているのがロシアのプーチンであり、彼のなかのフィクションの邪魔をするからという理由でプーチンはウクライナへ侵攻した、などである。
この本のレーベルであるちくまプリマー新書は公式サイトの紹介文を見る限り、若い年齢だと思う。
そんな読者層を想定してか、山本直樹は話がおおごとになってきているかもしれないが、こういうことを話し出すとこんなことまでいかざるをえないのだと誠実な言葉も記している。
また新自由主義も批判していた。新自由主義はつまるところお金原理主義であり、人の命よりもお金が大事だと本気で思っている人たちがやっていることで、そもそも人の命よりも大事なものがあるというのは、全部「原理主義」なのだと。
人の命という現実よりも、お金や国家や会社なんかのフィクションが大事であるというのは山本直樹に言わせれば現実とフィクションの混同だ。

現実の相手よりも、自分の中にある言葉ですべてをコントロールしたくなる。現実とフィクションの混同=マチズモと言ってもいいと思います。p109

刊行時に公開されていた目次では知っていたのだが、エロからどう持っていくんだ?と予想していなかった項目がある。
それが『日本国憲法』だった。
山本直樹本人も”さっきから話がどんどんエロから離れまくっていますが”と前置きしたうえで彼が考える日本国憲法について書いていた。

日本国憲法もただの言葉ではありますけれど、「人が生きて暮らして死ぬのがいちばん大事だよ。それより大事なものはないよ」と伝えている言葉です。p112

つまり日本国憲法という人が生きて、暮らして、死ぬことが何より大事だという言葉はフィクションではない。日本国憲法に書かれている言葉はフィクションではなく現実である。
でも言葉がフィクションであるときもある。
世界の古今東西はそれはもう残虐な歴史があって、人より言葉(フィクション)が大事だった場面のほうが圧倒的に多く、だからこそ、今はそれが間違っていたと言わなければならない。イデオロギーよりもお金よりも何よりも人が大事なのだと言葉にしていかなければならない。
山本直樹はそれが日本国憲法だと言っている。
日本国憲法の説明として明快で、こういう明快さを打ち出せるのは漫画家らしいなと思ったんであった。

「人権」というと「なんかむずかしい」とか「左翼っぽい」とか「あんまり言いすぎるとややこしくなるよね。堅苦しくなるよね。」とか言う人も最近多いようですが、「言葉やお金や国より、人のほうが大事だよね」という普通のことだと思うんだけど。p113

この本はエロからスタートし、エロを解体していくことで、他者とは、人間とはを説いている。もちろんそれは山本直樹の思う、という枕詞がつくのだけれど、なかなかエロを解体している人やその延長で他者や人間のことを語っている人は少ない。
それはエロというコンテンツが受け手にとって都合の良いものであるからだろう。
そこに描かれている人間を道具化していけばいくほど、受け手は楽にそれを消費できる。エロと消費はセパレートすることが難しい。
だからこそ、エロを楽しみながらも真面目に考え、自分の消費しているものは何かを考え続けていかなければならない。エロ楽しむなら本気でやれ、手を抜くなということなのだ。

そして、人間は反復不可能だし、再生不可能なんです。
~略~
今この本を読んでいるあなたを作ることもできない。p137

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2026年01月17日

Posted by ブクログ

現実とフィクションの混同=マチズモにはなるほどと思った。臭い物に蓋をするやり方でお上が規制するのはただの思考停止。映画や漫画、読書から、マチズモではなく、現実とフィクションを混同しない常識を養うことが大事。エロ漫画家だからこその説得力があった。

0
2025年12月17日

Posted by ブクログ

山本直樹さんの新書です
そりゃあ読むよね
読まずにはいられないよね

神漫画家さんです
『あさってDANCE』とか読んでました

で、タイトルは『エロってなんだろう?』
いや〜エグいわ
だってほんともうわいらからしたら、山本直樹さんなんてエロもう17周くらいしてそうやもん
エロ界の巨匠よ
エロ界のスピルバーグよ
そんな人が今さら「なんだろう?」ってw

分かってなかったんかい!( ゚д゚ )クワッ!!

じゃあなんなのよっていうと…まぁそれは興味のある人は読んでもらうとしてね

やっぱエロは偉大だってことでw

0
2025年12月31日

Posted by ブクログ

エロマンガ界のレジェンドとも言える著者の半生とエロについてのいくつかの考察

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子どもにとってエロは有害?
不健全図書はどう決まる?

現実とフィクションは違う。
でも、現実のルールを知らなければ、面白いフィクションはつくれない。
エロマンガ界のレジェンドが語る、いまこの社会でエロを表現し、人に見せるということ。

エロをエンタメにする楽しさとルールを考える
エロマンガの巨匠×蛙亭・イワクラ対談
「エロいは面白い」収録。

監修/稀見理都(美少女コミック研究家)

===
【目次】
はじめに――エロいことと、隠すこと
第一章 エロの原点
第二章 エロをつくる
第三章 エロは子どもに有害なのか
第四章 隠すことにもルールがある?
第五章 現実とフィクション 
対 談 イワクラ(蛙亭)×山本直樹 エロいは面白い
===
--------------

山本直樹がエロマンガを描くに至った来歴
自身の著作が有害図書と指定された経緯やその対応と所感
エロとは?という問い
社会がエロに対してどう接するべきかという意見
虚構と現実をどのように捉えるべきか


エロとは隠されるからこそエロく感じる
ただ、隠されるもの全てがエロいわけでもなく、性的なものだとエロと感じるという考察

概ねそうであろうけど、隠されていないオープンな情報でもエロに繋がる片鱗からエロく感じるものもあると思う
セクシーさは普通に服を着ている状態でも体の部位やしぐさなどでも感じるわけで
必ずしも隠されているものがエロとは限らないのではなかろうか?
エロとセクシーの違いに関しては、セクシーの中でも特に性に強く結びついているものがエロ?
うーん、違いがよくわからないなぁ
セクシーの向こう側には、グラデーションがあれどエロが繋がってる気がするのだけど


山本直樹の作品は都合のいいキャラではないという指摘をされる事があるそうな
確かに、最終的には主人公(?)とのエロシーンはあるけれども、所謂ハーレム展開はそうそうない
むしろ、主人公が振られる展開が多い印象がある

あと、無理やりからの快感はリアリティがないという指摘
初期作品ではそんな展開はあったと思うけどね?
だからこそ、そこに思い至ってからはそんな展開がなくなったということだろうか?


子供へのエロの影響について
要約すると「家庭ごとの基準でやれ」という主張なのだろうけど
それでもゾーニングすべき領域というのはある
まぁ、その辺の線引きが両極端な勢力の間で端っこと端っこなんだけどね

あと、娘さんが山本直樹のマンガを目にしてしまうエピソード
【田中圭一のペンと箸-漫画家の好物-】でも娘さんのインタビューで語られてたなぁ
娘さんが小学5年生のときに森山塔のエロ本を見てしまい
さらにはそれが父であることを知ってしまうというエピソード
田中圭一のイタコ漫画で、娘さんの肖像が完全に「ありがとう」あたりの山本作品っぽかったやつ

この体験って、現代では虐待にあたるという解釈もできるんだけど
本人としてはどうだったんでしょうね?


最後の章は蛙亭のイワクラとの対談
蛙亭のネタで、エロ要素があるだけで下ネタと判断されて評価が一段下がってしまうという
蛙亭ってそんなにエロいネタだったっけ?
周平が非モテなネタではあるけど、そこまでエロを感じる事はなかったけど?
ま、私はそこまでネタ番組を見てないからでしょうね


ちなみに、私と山本直樹の来歴としては
「ありがとう」で知って、そこから遡って初期作品を読んで
森山塔、塔山森の本を数冊買って
山本直樹名義であれば初期作品はほぼ持ってて
「レッド」以降は熱が冷めたのか読んでない感じでしょうか

山本直樹の漫画は、他のエロ漫画に比べてスレンダーなキャラが多い
常識的なバストサイズだし、巨乳とされるキャラクターでも実際にに存在するくらいのリアルさになっている
「むっちり」というボリュームよりも、肌の「すべすべ」感で勝負している感じだろうか
そんなところも虚構と現実のすり合わせを行っているのだろう

逆にリアリティから外れているのは汗などの描写だろうか
普通に人は汗をかくけど、「そこまで?」と思う程の描写がされてるカットのイメージがある
そこら辺は、リアリティではなく漫画表現としての技法なのだろう

あと前述の通り、お約束を外すパターンも結構ある
ハッピーエンドの作品もあるけれど、短編だと終わり方に哀愁や寂しさなどを残すような感じの印象
もしくはホラーや不思議な出来事と思わせる終わり方とか
ただ、完全な悲劇というのは少ない気がする

あと、作中でたまに哲学的な問いがあったりする

そんな作家性だからこそ、こんな本も出すのでしょうね

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2025年12月08日

Posted by ブクログ

島本和彦に続き、山本直樹からも創作についての話を聞かせてもらえるのはとても嬉しい。いい時代だ。マイナーな界隈であっても一世を風靡した漫画家の話はとても興味深い。本書ではタイトルそのままのようにエロを深掘りするのではなく、エロを含めたフィクションと現実の関係性に力点が置かれている印象。確かにエロのない世界は面白くないよね

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2025年12月07日

Posted by ブクログ

アサヒカメラ、ハレンチ学園、がきデカ、あばしり一家、そしてなにより『11人いる!」と吾妻ひでおですか。

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2025年12月02日

Posted by ブクログ

<目次>
第1章  エロの原点
第2章  エロを作る
第3章  エロは子どもに有害なのか
第4章  隠すことにもルールがある?
第5章  現実とフィクション
付録   蛙亭のイワクラとの対談

<内容>
ちくまプリマー新書なのでその点は差し引くとして、エロの話ばかりではなく、子どもの教育についての話だと感じた。大人の子どもを馬鹿にしている保守系の人びとは、隠すことしか考えられないのだが、子どもはもっと考え、感じている。そこを著者は伝えていると思う。

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2025年12月02日

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