あらすじ
いま、心の拠り所を仏教に求める人が増えている。なかでも注目されているのが、“信仰”ではなく、“自己鍛錬”の重要性を説く原始仏教=「釈迦の仏教」だ。ブッダの生涯はもちろん、仏教成立以前のインドの社会構造、僧団の生活規則など6つのテーマ(講座)からブッダ自身の本来の教えを知る。
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Posted by ブクログ
優しい仏教入門。タイトルから原始仏教の解説かと思ったが、必ずしもそれだけではない。
面白かったのは、ブッダだけではなく、弟子やサンガについても充実した記述があること。仏教はブッダだけで作ったのではないということかな?
一番面白かったのは、部派仏教、そして大乗仏教と元々の教えが変化していくことの分析部分。ここは著者が自身の研究結果を踏まえたものなかで、ちょっと研究の物語的でおもしろかった。
仏教に限らず宗教はさまざまな派に別れていくの自然なことなのだが、異端を破門するとか、虐殺するとか、そういうことではなく、戒律を緩める、解釈していく中で、解釈の多様性をある程度認めていく。その結果として、元々の教えから大幅に変わった大乗仏教が生じたという理解。なるほど。
大乗仏教のスタート地点まで辿ったところで、その先にいくかと思ったら、最終章ではブッダのもっと最初の教えに近いと思われる「ダンマパダ」などから重要な言葉を紹介する。
なるほど、やはり仏教は自らを救うということなんだな。相互に依存しあった存在ではあるけど、頼みは結局自分なんだな。
仏教のエッセンスに触れた感じはした。