あらすじ
多くの者に慕われてきた公爵令嬢・アデライトが、王妃の宝石を盗んだ事件の犯人として追放された――。王太子・エリックはアデライトとの婚約を破棄すると、すぐに愛人を新たな婚約者として迎え入れることに。愛を選び、明るい未来に想いを馳せる一方で、我儘な愛人は好き勝手し放題。次第に二人は周囲から冷ややかな目で見られるようになっていく。追放から三年後、以前よりも幸せそうなアデライトと再会すると、エリックは自身が犯した過ちを思い知らされて…? これはある才女の追放から始まった、祖国に残された者達の破滅と後悔の物語。
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タイトル通り
試し読み部分では王太子に都合よく事件が起き婚約者を有責にするところで終わりますが、後ほど新たな事実が明かされます。誤魔化しはやがて因果応報でツケを払わされるということを、少しずつひずみが積みあがることで、後で決定的な決裂になるよう上手く表現されていると思いました。ネタバレになるので詳しくは書けませんが、王太子のツケの払わされ方は自分の責任もありますが世代間のツケもめぐり渡されている部分もあり、親世代はあてにならず家臣と苦労する様子が書かれていて、その中で甘い誘惑を目の前に吊るされる時があります。その時、王太子は踏みとどまったので苦労から逃げなかったのは評価できるのですが、途中退場のあの人は実は・・と血の気が引く思いをしました。婚約者の味方サイドからみた王太子サイドの破滅のようすはすっきりすると思うのですが、陣営に立たず客観的に読むと、問題の先送りで後の世代に苦労を残さないよう気を付けないとと思わされる作品でした。