あらすじ
他者と協力して新たな価値を生み出す「共創」ができるようになる本
自分一人で完結する仕事はほとんどありません。チームメンバー、社内の他部署、社外の取引先、他社など、さまざまな人と手を組み、力を借りて結果を出していく。つまり、あらゆる仕事は「チームプレー」だと言えます。
さらに現代では、過去のノウハウや成功体験が通用せず、「自分だけ」「自社だけ」で成果を出すことに限界を感じている人や企業が増えています。
そこで本書は、これまで言語化されてこなかった「チームプレー」のコツを伝えます。ただ協力するだけでなく、他者とフラットにつながり、お互いの知識や能力を発揮できる「共創」関係をつくるためのコツです。
本書は、人を「権力」や「お金」で動かす従来型チームプレーをそれぞれ「1.0」「2.0」と位置付け、それとは違う「3.0」のチームプレーとして、「共創」を提案します。
その状態になるために必要な9つの要素を言語化し、各要素をもたらすための具体的ノウハウを紹介。リーダーにかぎらず、いちメンバーでも実践できるものです。ひとつでも実践してもらえれば、チームが変わり、プロジェクトも円滑に進んでいくでしょう。
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Posted by ブクログ
チームプレーが得意な人たちの共通項をあぶり出した1冊。
天才的なカリスマ性や飲みニケーションに頼るのではなく、権力や役職・金銭的インセンティブなどの一過性の動機形成を利用するのでもなく、技術として誰とでもうまく仕事をする方法を示唆している。
▼「ゴールイメージ」を相手によって調整する。
見ている景色がバラバラだと、協力は生まれにくい。
まず大事なのは、3方向地図を描くこと。 「自分たち」「顧客」「社会」の3者にとってのメリット(三方よし)を可視化する。→相手によって『良し』を使い分けられるようにする。
・未来のプレスリリースを描く
プロジェクトが成功した時の記事を先に書いてしまい、ワクワクする未来を共有すると、リーダーもメンバーも方向性を理解しやすく、各メンバーが「どこに向かっているか」をズレなく共有することができる。
・物語の整合性を見直す
ゴールを達成するために、必要なことを因数分解し、どのようにすれば達成するのかを言語化し、実行する。
ゴールに対して行動がズレていれば、リアルにゴールイメージが描けなくなり、メンバーが心の底から行動に集中できなくなる。
▼冷ややかな視線を淡々と取り除く。
自分や自分たちだけで盛り上がっていると、「何やってるの?」と冷ややかな目で見る人物がでてくる。
彼がキーマンであり、そして協力的でなければ、それは損しか産まない。
重要人物は、たとえそれが面倒であっても巻き込むことで成果を上げられるようになることを忘れてはいけない。
・巻き込むための文脈(ストーリー)を作る
彼が孤立することを極力防ぐ。互いの利害や期待をつなぎ合わせる共通のストーリーを描くことで、協働感を生む。
彼のキャリアのイメージを共に描く。
チームメンバー各自の成長やその後のキャリアを、共に語りあう。
期待値を真剣に伝える。
・ナラティブの溝に橋をかける
相手の動機や価値観を理解し、自分側の目標を押し付けない。まずは相容れない立ち位置にいるんだ、という認識から始め、それでも理解しようと懸命になる。
下請け扱いせず、対等なパートナーとして接する。
最初からガチガチの公式活動にせず、まずはゆる~く付き合いを増やし、ハードルを下げる。
・余白を大切にする
関係性や創造性につながる「余白」の重要性を理解し、意図的に設計する。
▼体験と成長振り返りポイントを創って、不安を解消する。
口先だけでなく、実績や体験をもってして、信頼関係を構築する。
・小さい目標と、達成への振り返り・称賛
いきなり大きく動かず、小さな成功体験を作って「これならできるかも」と思わせる。
振り返りの習慣化。経験を単なる反省で終わらせず、学習サイクルが実ったからこその結果であると理解させる。
・全体の進捗を共有する
短期評価だけでなく、中長期での成長・変化を捉え、組織がいまどのように変わっているか、変われているかを、ゴールイメージの経過として振り返る時間を設ける。
前進している!という感覚を、全員が持てるように努力する。
~余談~
チームがうまくいかないのは、やる気の問題ではなく、
(1)純粋な力量不足
(2)ゴールイメージと物語の共有不足
(3)振り返り不足
であるパターンがほとんど。(2)は上手に使えないリーダーが多く、それでは小規模でもチームプレーは生まれにくい。
(1)だけに注目せず、(2)→(3)ができる人は、チームプレーに深みをもたらす。