あらすじ
猫は愛着心をもつ生き物です。私たちを魅了する存在でありながら、その行動には理解に苦しむ面もあります。著者クロード・ベアタは、猫のきもちに寄り添い、人間との違いを尊重しながら共に歩む方法を教えてくれます。
猫は被食者として身を守りつつ、捕食者として狩りを行うという複雑な脳をもち、時には狂気に陥ることさえある繊細な動物です。ベアタは猫たちと暮らしてきた自身の経験や、動物行動学と動物精神医学の知見をもとに、猫の行動の謎や矛盾に見える事柄を解き明かします。
そして、本書では、独立心が強いからと放置されがちな猫を精神的な苦痛から救うことができる、という希望のメッセージを伝えています。
猫を愛する人も、愛猫との関係に悩む人も、この本の中に答えを見つけられるでしょう。
猫のこころを知れば、その不思議な行動の理由と、共に生きていく方法が見えてきます。
著者は本書で「猫にも心がある」ことを伝え、「猫の心への共感」と「精神的苦痛からの解放」、それによる「猫たちの生活の質の向上」を目指したいと述べています。
■内容
序文
はじめに
第1章 ジョーカー、あるいは猫の二面性
第2章 縄張りと苦痛
第3章 他者との関係、持つべきか持たざるべきか?
第4章 狂った猫の巣の上で
第5章 現代の象徴
おわりに 共に歩む
日本語監修者 解説
原注
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
【狂気】
私の大好きな言葉の一つである()
って話は置いておいて、さて...
人間は精神疾患を患える唯一無二の存在であり、とりわけ狂気だけは人間に限定すべきもの...なのだろうか
なぜ人間はこのような何の得にもならない物事においてさえ自らを動物界の外に位置付けたがるのだろう
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獣医精神科医を独立した認定資格として発足
動物行動医学を専門とするフランスの獣医師クロード・ベアタによる「猫の狂気」についての書
物凄く面白かった!
ヘマをする猫、次から次へと物へ飛び移るやんちゃ坊主な猫、時には植木鉢をひっくり返す事もしばしば
そんな活発クレイジーなお猫様達を我々愚民の人間は拙いフィルター越しで
「ドジで可愛い愛しいマイエンジェル」と思っていないだろうか
果たしてそれは〈ヘマ〉なのか〈コミュニケーション〉なのか、判断出来るだろうか
食器をひっくり返して
「我に飯を貢献する事を忘れるな」とアピールするのは断固たるお猫殿様からのメッセージだが
頻繁にベランダから落ちる通称「パラシュート猫」や、食べられない物を飲み込んでしまう猫もいる
この「おバカさん」で済まされない自己制御能力の欠如(精神疾患)は
本当に人だけの特権なのだろうか
本書は猫の、否、
「生き物に心が存在する」事を「狂気」と言う過激な言葉に変換し、情熱的で切実に訴えているのが印象的だ
何より猫のウェルビーイングを心から願っている著者の信念に熱くならない訳がない
彼が関わってきた患者(猫)の一例一例を丁寧に語りながら、全ての猫に存在する「狂気の部分」を詳しく説明してくれた
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さて、皆さんは
HSHAと言う言葉をご存知だろうか
【過敏性多動性症候群】 という難しい名前が付いているが、人間で言うADHD的な物だと私は解釈した
犬の有病率が高い疾患だが、近年、猫(飼い猫)に増えているらしい
※というのも診断されるのは主に人間に連れられた飼育されている猫のみなので飼い猫、野良猫の実際の有病率は不明※
猫は、犬ほど人間との共同生活の歴史を持っているわけではない。猫がペットになったのは「つい最近」の事だ
まして猫は、非社会的と定義される種に属しており、協力のメカニズムを備えていないらしい
「猫は気まぐれ」 「ツンデレがまた良い」
「シャーッって顔が可愛い」「やんのかステップ面白い」なんてものは、人間お得意の己の信条 基準 価値観に基づいただけの解釈ではないかと本書は語っている そこに私の口の悪さが乗っかっているだけのレビューだと今更だが前置きさせていただきます(遅)
実際、猫の行動が魔女と結び付けられ、虐待された歴史があったと思えば
ネット社会となり猫の行動が人間の価値観にふさわしくなればアイドル的存在となる
実に人間中心主義だ
現代を象徴するひとつの例に興味深いものがあった
猫ミームって子を皆は知ってる?
私ネットほとんど見ない民なので詳しくは知らず、名前と顔は認知しているくらいだったのだが
あの特徴的表情は著しい低身長を病状とする一種の小人症が原因なんだって
つまり例えば、軟骨無形成症の人の画像にユーモラスなメッセージを添えられますか?って訴え。
やや感情的で偏り気味な強い文体だったけど、その気持ちは理解出来るし、著者のモヤモヤを痛感した秀逸な例だと感じた
更にはそのニーズに答える為に品種改良され、生まれ持って身体に不具合を持つが(短足のマンチカン 毛のないスフィンクス等)、感情表現が出来ず苦しむ猫
唯一の行動表現を「可愛い」で見過ごされる短命の命がこの世に多すぎること
獣医に権限がある国では品種改良が規制されている所も少なくないらしい
だが、猫のウェルビーイングが損なわれる繁殖や販売を禁止する法律が制定され始めた事に著者が喜ぶと思ったら全く想像外の表現をしていたのが印象的だ
彼はこれを
「人間の理性の敗北である」と言った
規制されたから出来ない=不幸な猫の増産を防ぐ
事実は変わらないが、この法律が猫のウェルビーイングの重要性や浸透に繋がらないと嘆いている様に感じた。 どこか悔しさと悲しさを感じる言葉だ
猫にも双極性気分変調症があり、うつ病もある。
更にうつ病の中でも「発散型」「抑制型」がある
内面的な浮き沈み 攻撃の引き金 甘えたと思えば攻撃する
人間の適応障害、愛着障害、発達障害 様々な精神疾患と相違ないのではないだろうか
保護施設の大人しく、毛並みや艶が悪く毛が絡む猫には、学習性無力感の疾患がある
学習性無力感=諦めの境地
随伴性の欠如 認知能力 行動反応と様々な症状が認識できる
野生で「捕食者」「被食者」の立場である猫はどちらの性質も満たす必要がある
一部になるが、室内飼いなら狩りの場(捕食者の面) 安心した排泄の場(被食者の面)といった具合だ
精神安定に必要な刺激を奪われた猫(狩りの場が無い)等、
環境の貧弱さが原因で、猫の捕食者的性質が表面化し飼い主に攻撃的になる疾患もあるらしい
外国では手の付けられない子として安楽死となるパターンが多い...ベアタ氏は猫の狂気を飼い主だけでなく、全国の獣医医療団体に己の知識と経験と結果を発信して猫の心の理解を求めているのだろう
獣医師にとって、「狂気」とは、現実との接点を失ったとみられる重篤な疾患と同義だ と語っていた
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主に8割がベアタ氏の経験談(症状の例)と共に猫の精神疾患について語られるが、哲学的〜ユーモラスの中間的翻訳で個人的に非常に読みやすく楽しい読書だった
ユニークな表現はいくつかあったが、お気に入りは
「猫は 〜中略〜 和解のメカニズムを備えていません
猫はいつもそのモフモフの着ぐるみの内ポケットに赤い手帳を忍ばせ持ち歩いていて、不愉快な出来事があると、そこにメモしているのです
ここに書かれたメモには、一旦書かれたら消せないという厄介な特徴があります」
...これが 猫を叱ってはいけない(意味が無い..??)理由の一つだそう
猫は恨みを一生忘れない というのはあながち間違いではなく、何故か猫が恨み辛み強めな妖怪にされやすいのは(これも人間の先入観だが)そんな一面が医学的に証明されているからやもしれない
と、思うとクスッとしながら2秒後背筋がおもくそ伸びた 真顔で
内容はAとBの内、私はAの意見だ!
といった、決して中立的立場では無い賛否上等!かかってこい な強気な彼の文章は個人的にとても好き
(勿論、Bを尊重した表現もある)
今一度、隣で喉を鳴らす愛猫の「中々表面化しない心の狂気」に目を向けて、人間と猫、共にウェルビーイングが確立される幸せな世界が実現される事を願いたい
なんて綺麗事を綺麗事と思わず、
それに向けてこんなにも熱く向き合う獣医師が、遠く離れたフランスの地に存在してくれる事の強い安心感。
全ての愛猫家さん達に届け(っ'-' )╮三