あらすじ
いい人すぎるから、苦しい
支配と依存が生みだす
「偽りのつながり」を断とう
『嫌われる勇気』著者 最新作!
「親の過度な期待」「職場の同調圧力」「SNSでの承認欲求」――他人の期待に応え、空気を読み続けるうちに、知らぬ間に“支配と依存関係”に囚われてはいないだろうか。
そのような“偽りのつながり”こそが、あなたの生きづらさの原因である。
本書では、「人の期待に反して行動する勇気を持つ」「自分を過小評価しなければ、もっと自由になれる」など、よい対人関係を築き幸福に生きる方法を、哲学とアドラー心理学を長年研究してきた著者が解説する。
自分の人生を自分のために生きる勇気を与えてくれる一冊。
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Posted by ブクログ
講演録という作りだと、ちょっともったいないかも
アドラー心理学研究の第一人者で、大ベストセラー『嫌われる勇気』で有名な岸見一郎さんの新刊です。親からの期待や、社会からの同調圧力など、無意識に依存と支配を受け入れてしまっていないか自分を見つめ直し、自分の人生のリーダーになろうというメッセージがこめられた講演録です。
講演録ということもあり、易しい言葉でとてもシンプルな文体です。しかしシンプルな話し言葉がすぎて、接続詞が不足してるような気が。「だから」「しかし」「ただ」とかが抜けたような文章で、前の文とのつながりがやや不自然に感じられてしまいました。だからメッセージがストンと落ちてこず、ちょっともったいないです。お笑いコンビかまいたちのコントの有名なセリフ「もし俺が謝ってこられてきてたとしたら絶対に認められてたと思うか?」のようなこんがらかった表現もあり、混乱を誘います。
それでも心に響く箇所ももちろんありました。トラウマというものは存在しない、過去を理由にして自分を守っているにすぎないという、アドラー心理学の基本である「原因論の否定」を紹介しつつ、ときにはアドラーと反対の位置に立ち、岸見さん自身の体験から得た知見も伝えています。
「どうにかなるだろという”楽天主義”も、どうにもならないという”悲観主義”も、どちらも積極的なアクションをおこさない。実現しないこともあるが、できることをやるという”楽観主義”で生きるべき」
「真剣に生きるからこそ人生は楽しめるが、真剣でなく深刻になってしまうと問題から抜け出せないまま」
「決断の時、aとbの選択肢で”迷う”ことはOKだけど、”悩む”ことはいけない。それは決断を先延ばしいているだけ」
「誰も1人では生きられない、という意味において、他者は根源的に味方である(アドラーの”共同体感覚”)」
「甘やかしとは、頼まれもしないことをすること」
「他人にリードされるがままでいることで、自分の人生の責任から逃れようとしないこと」
「勇気を持って、自分自身のリーダーになれると信じなければならない」
これらのメッセージはわたしにとって有益なものだと思いました。
ただ岸見さんは、意地悪な言い方ですが人がいいのかもしれません。ひねくれているわたしには芯に響き切らない部分がありました。岸見さんはカウンセラーをされていたので、症例は守秘義務により紹介できず、岸見さん自身の体験談はお子さんとのものが多いのですが、なんだかんだうまくいった体験談が多くて、そりゃ岸見さんはうまくいっただろうけど、いざ自分はどうだろう?という考えが頭の隅に残るのです。「とにかく相手を信じてあげてください」とありますが、あまりにも理想論ではないかと思えてしまいました。もし岸見さんに人間関係における失敗談があって、失敗から学びを得たことがあるのなら、それこそが心に届く説得力を持ち得ると思うのですが。もし失敗が一切ないということであれば、それはそれで一番説得力があるという証明だけども。「自分の論旨には、こんなツッコミを入れられるかもしれない、でもそんな人にはこう諭してあげよう」という、岸見さんがわたしたち読者の一歩先を読んでいるような、もう一歩推し進めた考えを知りたかった。ただの理想論じゃないんだ、という強い説得力が欲しかったというのが本音です。
アドラー心理学をもとにした岸見さんの自己啓発系の本は、それこそ『嫌われる勇気』や他の著作がありますから、わざわざこの本でなくてもいいのかな、と思います。お子さんとの関係に悩んでいる人には向いているかもしれません。