あらすじ
国立天文台の常田佐久教授が、太陽に異変を感じ始めたのは08年のこと。以降、NASAも認める世界一の観測衛星「ひので」によって、黒点数が減っていることや、規則正しかった活動周期が延びている事実が次々と明らかになっています。似た状況は、地球がミニ氷河期だった17世紀にもあったとか。果たして地球は寒冷化に向かうのか? 生命の誕生との関係は? 太陽は私たちにとって最も身近な星なのに、解明されていない謎が多いのです。「ひので」の最新観測結果を駆使して、46億年間輝き続けるそのエネルギー源に迫ります。
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Posted by ブクログ
黒点やフレアの発生メカニズム、コロナが高温である理由が仮説ながら説明されていて、おもしろかった。
磁極は黒点数の極大期の時に入れ替わり、22年周期。
太陽の外側30%は対流層で、原子核と電子がばらばらになったプラズマ状態。その内側に薄いタコクラインがあり、ここで磁場が強められている。その内側の50%は放射層。中心核で核融合が起きている。
表面では高緯度より低緯度の方が自転が速い(差動回転)が、放射層は緯度によらず同じ。両極を結ぶ磁力線にはプラズマ粒子が巻き付いているが、差動回転によって水平方向に巻かれて磁束線を生み出す。磁束線の内部の物質は外部に押し出されて軽くなって対流層を浮き上がり、熱が供給されなくなるために低温になって黒点となる。
黒点はN極とS極のペアで発生するが、その中間部分の磁場が失われた磁気中性線の上空にプロミネンスが発生する。黒点ペア間の逆向きの磁力線がつながると、磁力線に巻き付いているプラズマ粒子が上下に吹き飛ばされて、1000万度以上の熱を発生してフレアになると考えられる。フレアによってコロナが加熱されている可能性がある。
Posted by ブクログ
太陽の様子がどうもおかしい。11年の周期が長期化し、ここ20年の間には黒点数も減少。これらは何を意味するのか?2012年1月、太陽の4重極構造の兆候をとらえた観測衛星「ひので」の最新データから、人類にとって最も身近な存在、太陽の謎に迫り、地球への影響を考える。
Posted by ブクログ
今、太陽の黒点が少なくなっている状況、どういうことになっているのか、太陽の極が代わるのはどういうことなのか、興味深い話が書かれていて、また、わかりやすく書かれているため、すっと読めてしまった。いい本。
Posted by ブクログ
近年太陽活動は低下して,周期も延びてきてるそう。太陽研究三十年のキャリアをもつ著者が,この太陽の異変をつかみにして,太陽の科学とその歴史についてやさしく解説。
太陽については,黒点と磁場の関係,太陽嵐などある程度解明されているけど広く知られてはいないことが多いし,まだまだ解明されてない謎もたくさん(コロナ加熱問題など)。身近な天体だし,とても魅力的。