【感想・ネタバレ】天皇の影法師のレビュー

あらすじ

大正十五年十二月十五日未明、天皇崩御。その朝、東京日日新聞は新元号は「光文」と報じた……。世紀の誤報事件の顛末。歴代天皇の柩を担いできた八瀬童子とは? 最晩年の森鴎外はなぜ「元号考」に執念を燃やしたのか? 天皇というシステムに独自の切り口と徹底取材で迫る。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

天皇の崩御という国家にとっての一大事は、どんな影響をあたえるのか。天皇崩御と、その中で生き抜く人々を、”改元””大喪””恩赦”の3つの視点から、描いている作品。

その中でも「棺をかつぐー八瀬童子の六百年」が特に興味深かった。
現代は、過去の伝統の意識が希薄になってきていて、その反論として、伝統を守れと言われている。

八瀬童子も伝統とともに生きてきた。「だが、伝統をかたくなに守りとうそうとしたのではない。p171」「八瀬の村びとは比叡山延暦寺との山林所有をめぐる事件をきっかけとして、彼ら自身の神話を持つことになる。p131」

時代は変化する。これまでは、伝統を意識することなく忘れ、どちらかと言うと捨てる方向できた。しかし、大きな事件や困難を前に、その根拠に歴史、伝統を利用する活かすことは解決する力となる。

八瀬童子は、生き抜く為に、むしろ伝統を、生活のために利用して生き抜いてきた。今こそ、困難な時代だから、日本の伝統や歴史を、むしろ、利己的に利用して良いと思う。

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2012年06月07日

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