あらすじ
上海のダンスホールの華だった女性と,それに翻弄される男たちを描く「永遠の尹雪艶」,老軍人がかつての日々を回想する「国葬」など,国共内戦と国民政府の亡命という歴史を背景に,戦後の台湾で故郷喪失者として生きる人びとの姿を活写し,失われた世界への哀惜や喪失の痛み,新天地で生きる苦悩を鮮烈につづった傑作短篇集.
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Posted by ブクログ
第二次世界大戦後中国から台湾に移住してきた人々の短篇集。
台湾と一言で言っても、原住民、閩南人、客家人、外省人とそれぞれの立場から見える台湾は違うのでしょう。
戦後の移住してきたばかりの外省人の視点からの物語をとても興味深く読みました。
訳者あとがきに、「台湾を舞台にした異郷者の小説だが、同時に流浪の果てに根を下ろした台湾社会の現在を生きていく定住者の物語でもある。その二律背反的立場が生むノスタルジアと喪失感が『台北人』の基調を成している」と書いてあるように、どの作品を通してもとても物哀しさを感じました。
中国大陸で、日本や国共内戦に翻弄され傷ついた人たちの心の痛みや哀しさを知り、またきっとそういった人々を受け入れる人々の思いもいろいろあったのだろうと想像すると、歴史って深くて重いし、知ることの重要さを感じます。