あらすじ
どうやって生まれるのか.誰に支えられるのか.いつ狂うのか.なぜ絶つのか.本当に聞いているか.誰かを愛しているか.そして見守られる? れる/られる,どちらかに落ちる,その時…….堅実なリサーチと冷静な筆致で信頼あつい著者が,人生の受動と能動が転換する境目を七つの動詞で綴る,連作短篇集的エッセイ.解説=齋藤亜矢
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Posted by ブクログ
誰もが能動的に生きていながら、受動的にも生きているという当たり前だが、見落としがちなことを再認識させられた。文体がとても読みやすい。年齢を重ねてまた読み返したい。
Posted by ブクログ
科学技術と人間、スポーツ、精神医療、カウンセリングなどをテーマに、堅実な取材と冷静な筆致で定評のあるノンフィクションライター最相葉月。
『れるられる』は生む生まれる、支える支えられる、狂う狂わされる…などの章にわけて、その境目を考えるエッセイ。
出生前診断で、ダウン症が選別の対象になったことについて背景や過程を詳細に取材している。
『いったい妊婦たちは何を選ばされているのだろう。
知らないでいることの不安と、知ってしまうことの恐怖のせめぎ合いの中に、妊婦だけを置き去りにして良いはずはない。』p27
人の親でありながら、今まで深く考えてこなかったことを悔いる。最相葉月のエッセイは、私の心に深く刺さり、学びや気づきを教えてくれる。
どの章も読み応えがあるのだが、1番印象に残ったのは「愛する愛される」の章。夫婦の愛がどのようなものであったかは、当事者しかわからない。田宮虎彦を冷淡にこき下ろした評論家は、自身がそのような感情しか妻に持てなかったというだけではないか。もしくは少しの羨望が歪んで表層に現れたのか。
しかしこれによって、田宮虎彦の人生が狂ったのは確かである。話の趣旨とはずれると思うが、評論とはいったいなんなのかと憤りを感じる。
『世の中が、目の前にあるあちら側への想像力を取り戻すためにも、私はまだ筆を措くことはできないのだと思う今日この頃です。』岩波文庫版あとがきより
また、大切な作品に出会えた。
多くの人に読んでほしい。