あらすじ
「F」の衝撃、再び
孤島に聳えるオメガ城への招待に応じた六人の天才と一人の雑誌記者。
そこには、サイカワ・ソウヘイも含まれていた。彼らが城へやってきた
理由は、ただ一つ。招待状に記された「マガタ・シキ」の名前だった。
島へ渡るには、一日一便の連絡船を使用。帰りは、あらかじめ船を呼ぶ
必要がある閉じた空間。執事すら主催者の顔を知らず、招待の意図は
誰にもわからない。謎が多い中の晩餐をしかし七人は大いに楽しんだ。
そして、深夜。高い叫び声のような音が響き、城は惨劇の場と化した。
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Posted by ブクログ
Ω城の惨劇
「全てがFになる」は僕のミステリ感を大きく変えてしまった作品で、あの大トリックを受け入れる事ができた結果、ミステリの幅が広がり、古今東西あらゆるミステリを読む様になったと回想する。一方で「群像劇」が大きく描かれるシリーズの為、そういった人間関係に疎い自分にとっては読み疲れてしまう側面も大きくいつの間にかシリーズから疎遠になっていた。今回、「Fの衝撃再び」の謳い文句に導かれ、「Vシリーズ」どころか「S &Mシリーズ」さえ読み切っていない状態ではあるが今作を購入。面白そうな誘惑に勝てず。順番は諦め読み始めてしまった。
語り手はミヤチ・ノエミという雑誌記者で、彼女の所属する編集部に「マガダシキ」からの招待状が届きΩ城に赴く。招待の理由は不明。他にも有名な学者や医者、画家等様々な人達が招待されその中にサイカワ教授も含まれている。
サイカワ教授は随分歳をとったなぁとノスタルジを感じつつ、久しぶりに森博嗣の文体を感じる(英語言葉の語尾は伸ばさない。ミステリーでなくミステリ。学生時代、これがカッコよくてよく真似したなぁ)
Fの衝撃再びという事もあり、全てを疑って読み始める。しかし結果としてこのせいでとある事実に気がついてしまい、とある要素が台無しになってしまった(ある意味、ネタバレの様なものだ)
ストーリーはノエミを主軸に大きく進行していき、様々な疑問や不思議が起こる。一体、この風呂敷をどの様に畳むのかと思っていたが、最終最後まできちんと進行され、着地に至ってしまった。
過去に島田荘司が御手洗シリーズのとある作品で使用したトリックと同じ様なトリックを一部採用しており、とある部分においては事前から予測が
出来てしまった(シリーズ離れていたちめ、詳細まではわからなかったが)
「全てがFになる」程、クローズドサークルとしての魅力は乏しく感じてしまい、併せて結末も驚きはあったがFの名を使っているが為にハードルが上がりすぎてしまったと思う。単純に三部作の一つとして表現した方が作品としての価値は高かった様に思う。
自分はFの名前が使われていたから今作に手を伸ばしたのは事実だが。
ネタバレすると僕はサイカワコウヘイが偽物で彼が犯人だと思っていたので(それこそ御手洗作品そのままだが)ある意味、結末には少しガッカリしてしまった。彼の正体は分からなかったが、後々調べて把握、改めてこのシリーズを読み直そうかと思った。