あらすじ
興味のない婚活パーティーに半ば強引に参加させられた、保育士の理緒。
そこで会社員の由弦と出会うが、些細な誤解から暴言を吐かれてしまう。
翌日、何故かふたりは「経歴も仕事も家族構成も同じだが自分たちの性別だけが逆転」してしまっていた。
これまでと同じ仕事をしていても、“男である”というだけでクレームが入り、 “女である”というだけでセクハラをされる。
今まで味わったことのない不自由さを感じる中で、ふたりは自分の無意識に潜んでいた性別への偏見にも気づき始め……
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Posted by ブクログ
性別に関することって、非常に難しい問題だな、と思う。一昔前は性別によって、学歴や職業を含む様々なことが決めつけられていたのではないか。今の時代は、性別による差別や偏見は減ったのだろう。男女平等が主張される世の中である。
性別によって、どうしても生物学的な違いがある。だからこそ、平等なんて実現しないだろう。そして、人生において、それぞれ性別によって理不尽な思いをすることがある。互いを理解することは難しい。平等を目指すことが正しいのか、そうではないのかすら分からない。
性別による差別や偏見は世の中に溢れている。自分自身も、無意識のうちに差別してしまっているだろう。性別でなくとも、見た目で決めつけてしまうことはたくさんある。結局、正解なんてものがあるのかわからない。
だが、この本は、もっと根本的で、もっと大切なことを教えてくれた気がする。
性別に縛られてしまっているのは自分自身。全てではないが、性別を言い訳に何かを諦めるのも自分の選択である。そもそも、全て自由だ。
性別にかかわらず、自分自身が、人としてどうありたいか。自分を見つめ直すきっかけをつくってくれる一冊だった。
Posted by ブクログ
夕鷺さんといえばビーズログ文庫やオレンジ文庫の印象でしたので、ライトノベルではない作品も出されるんだとまず驚きました。
本作はいわゆる一般文芸だと思うのですが、非常にテンポよく読み進められました。
男女逆転ものはライトノベルによくみられる要素(?)だと思います。わたしは、入れ替わってしまったことによるハプニングを楽しく読むという印象がありました。しかし、本作は男女逆転したことによる、男性ならではの生きにくさ、女性ならではの不自由さが描かれている。
職業によって男性はちょっと…と言われてしまったり、ブラザーペナルティに気づく。
男だったら出世すると称賛されることがほとんどなのに、女性が出世すると僻まれる。
私は女なので、女性ならではの不自由さにはわかるわかると思いましたが、男性の生きにくさにはそういうこともあるのか…と興味深かったです。一般文芸になると男女逆転はこうなるのか…!と大変面白く感じました。
ライトノベルはよく読むけど、一般文芸はあまり読まないな…という人にこそ読んで欲しいと思います。一般文芸にも読みやすくて面白い作品があるんだよ!と知るきっかけになってほしい作品でした!