あらすじ
家の財産を親戚に奪われたくない伯爵令嬢×腹の中に蛇を飼っているような伯爵令息。
エスペランサ・ラングトンは夜会に明確な目的を持って参加した。
父と兄は病に倒れてしまった。兄の件まで他家に知られたら、金の無心をしてくる親戚にラングトン伯爵家の財産は食いつぶされるだろう。
親戚に負けず婿入りしてくれて、兄が元気になるまでラングトン伯爵家を支えてくれる男を見つけなければならない。
悲壮な覚悟を持つエスペランサの前に現れたのは、黒髪赤目のアンギヌス伯爵家の次男だった。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
エスペランサ視点だけだとルシフェールの本心が見えてこないので相当彼を疑いながら読むところだったが、割と序盤から彼視点での話も出てくるので、本気で彼女のことを思っていることが分かったし、その想いがなかなか彼女に届かないので寧ろ憐れに思えてくるという不思議。
想いが重すぎて(洒落にあらず)偏執がすぎるのだが、それはさておき。
彼の双子の妹がそもそもぶっ飛んでいたので、彼の偏執さが二番煎じに思えて相対的にマイルドになっていたから、読みやすいというか。
エスペランサ含めて、登場人物が基本的に第一印象と後ほど明らかになる性格とのギャップ、意外性がまあまああって、ちょくちょく驚かされた。
印象が最初から最後まで変わらなかったのはエスペランサの従弟とその父親くらいか。
ぶっ飛んだ双子の兄妹が、まだ10代だからか案外一部の大人には本質を見抜かれているあたり、若さからくる油断や青さが見えたのも意外。
エスペランサも最後の最後で相手を罠に嵌めるまで逞しくなったし。
ついでにルシフェールを翻弄するという。
最後まで見届けて、主人公ペアは当初予想していたより存外似ていてお似合いの二人かもと思えた。
意外性で言えば、アイリーンの婚約者が一番意外だったかも。
双子より余程怖いとも言える。
本質が似ている双子のその妹の運命の相手(好みの相手)となると、エスペランサと本質が似ているキャラかもしれないと考えられて、そういう意味でも味わいが深い。
そう言えばエスペランサも彼も「愛」を信じられない辺り似ているのか……なるほど。