【感想・ネタバレ】スティグリッツの経済学 「見えざる手」など存在しないのレビュー

あらすじ

ジョセフ・E・スティグリッツ(米コロンビア大学教授、69歳)は2001年ノーベル経済学賞を受賞、その一方、現実の経済問題についても積極的に発言しています。本書はその経済理論と思想をわかりやすく解説した本です。著者はアメリカでスティグリッツとともに研究生活を送っていた藪下史郎教授です。
ノーベル賞は「情報の経済学」という分野の研究に対して与えられました。それは、売り手と買い手が持つ情報に差があったり、市場の機能が不完全な場合に、経済的な矛盾が生じることを示す理論です。スティグリッツはそうした理論を基に貧困や不平等、繰り返す金融危機の背景を探り、解決策を提言します。その考え方は「現実の経済には『神の見えざる手』など存在しない」というもので、その点が市場の機能に最大限任せようとする新古典派経済学と大きく異なるところです。グローバル経済が抱える矛盾を、新たな視点で考える大切さを教えてくれます。一般ビジネスパーソンにも読みやすい内容です。

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Posted by ブクログ

非対称情報下での市場に関する研究でノーベル賞。

部分均衡分析=ひとつの市場に注目する
すべての市場の相互依存関係=一般均衡分析

限界費用曲線の右肩下がりは今は違うのでは?

市場均衡はパレード効率を実現する=厚生経済学の第一基本命題=新古典派経済学の根拠
資源配分は競争市場に任せることで、効率的資源配分が実現する=厚生経済学の第二命題(たとえ不平等な分配であっても)

外部性、情報の非対称性により第一命題が達成されない可能性
第二命題も現実的には難しい。

コースの定理=外部性も市場取引で解決できる。しかし市場がないか、取引コストが高い。

途上国の問題=所有権、取引制度が確立していないこと。
分配問題と効率性と公平のトレードオフ
市場の失敗

情報の非対称性=中古車市場、レモン市場、AIJ事件、
労働市場、保険市場の逆選択、モラルハザード、
プリンシパルエージェント問題、
それを防ぐ方法として、シグナリング、自己選択メカニズム
政界と財界の癒着=回転ドア。順に職に就く

貸付市場と信用割当。
貨幣量よりも信用量が重要。利子率は金融政策として機能しなくなった。従来の金融政策が功を奏さない理由。

資本の必要収益率、トービンのqが投資に影響を与える。
それに対し、利子率よりも信用のアベイラビリティが投資を決める

サミュエルソン=新古典派総合 古典派とケインズ経済学の融合。


IMF批判=緊縮財政と高金利政策

バグワティの「グローバリゼーションを擁護する」

情報の経済学=情報の公共財的性格
情報のネットワーク外部性=バンドワゴン効果=支配的な考え方がさらに支配する。
経済思想にもネットワーク外部性がある。政策提言が実現しやすい。

資本の自由化は、証券投資と直接投資と違う。

市場の失敗と所得格差の問題。
所得格差の拡大

金融システムの府の外部性、大きすぎて潰せない

発展途上国は収益率が高いはずなのに投資が回らず、人材が流出するのはなぜか。経済制度の違い、生産性の違い。信用割当が少なくて資金を集められない。

経済発展の政府の枠割、マクロ経済政策の成功。
移行経済も同様。

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2017年04月05日

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