あらすじ
入舟家の歴史は長い。その名が史書で確認される一番古いものは承和4年(837年)まで遡る。京の都で鬼を退治した入舟清行は遣唐使船に乗船していたという。その後、戦後の世には殺害現場に残されていた黒樂茶碗の名器・朧を巡り、かの千利休と面会した入舟清成など、いずれも人が害された現場に登場している。果たして入舟家とはどんな家なのであろうか。本格ミステリの俊英による歴史×海洋ミステリの傑作連作集。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
タイムスリップ感覚で歴史旅を楽しみたい人へ! 圧倒的なセンスと品のある仕掛けにワクワクが止まらない歴史連作ミステリー #名探偵の一族
■あらすじ
平安時代から現代まで、千年以上の歴史に渡り様々な謎解きの物語が綴られる連作短編集。全5編から構成されており、どの事件にも必ず「入舟」という苗字を持つ一族が関わっている。
■きっと読みたくなるレビュー
歴史×ミステリーを描かせたら、やっぱり伊吹亜門先生ですよね~。今回の時代背景はなんと、平安時代、安土桃山時代、江戸時代、戦時中の近代、そして現代の5つ。
特に驚きなのは平安時代、遣唐船をテーマにしたお話なんだけど、こんな時代のミステリーなんて読んだことない。しかも事件は船内での密室殺人という本格モノ。トリックの手法よりも動機にびっくりなんだけど、もうタイムスリップしたような感覚に陥る。
他のお話も切り取る題材のセンスが抜群なんすよね。安土桃山の茶器、江戸時代の人魚話、戦時中の特攻艇。誰しもが一度は聞いたことあるようなテーマを用いて、謎解きを仕掛けてくる。
ミステリーとしてイチ推しなのは、江戸時代の人魚にまつわるお話ですね。やっぱりこれも動機が目から鱗で、歴史的背景をどう謎解きに絡めてくるのかってのが一番の読みどころです。
そして最終話、現代の話も粋でいいすね~。女性推理小説作家、入舟清乃が主人公。彼女は幼馴染と共に村で起こった絞殺事件を捜査していくんだけど、それ以上に作中にミステリー小ネタが散りばめられているのがおもろい。そしてオチも衝撃的だし、エピソードの落とし込み方も品がいいのよ。
ミステリー小説というより、日本の歴史を旅するような小説って感じですね。同じフォーマットで、もっと色んな時代のお話を繰り広げて欲しいなー。NHKドラマ『タイムスクープハンター』みたいな感じで。
ページ数も200ページちょっとなので、気軽に手に取ってもらえると思います。いい作品に出会えました、ありがとうございました!
■ぜっさん推しポイント
太平洋戦争末期のお話、特攻兵の日記に読み入ってしまった。その日その時の心情がリアルに綴られるんですよ。そして自身が特攻することについてどう思っているのかが語られるんだけど… 思った以上にすっとしていて、なんかやりきれなくて感情が渦巻きましたね。
Posted by ブクログ
相も変わらずホワイダニットが全編秀逸 名探偵の一族を主軸とする構成には必然性がやや足りていないのが気にはなった いやしかし時代物ホワイダニットが素晴らしすぎる
Posted by ブクログ
平安時代から「入舟」の名を持つ一族が遭遇する事件、謎に立ち向かう短編集。
だんだんと時代が現代に向かっていくのがなんとなく楽しいですが、別に話につながりや統一性は特にない感じ。ていうか、一話目の遣唐使船とか別に謎解いてはいないよな。勝手に犯人が自白してるだけで。
面白かったけど、綿々と続く一族のなにかがあるわけでもなくなんだったら普通のミステリ短編の探偵役がそれぞれ同じ一族だったというだけ?・・・終章の「名探偵自身が事件を呼び寄せてる」のがまとめなんだろうか。もしかしてそれも含めて最後に示唆された事件というか次回作に続く?
Posted by ブクログ
平安時代の遣唐使船に乗り合わせた下級公家、太閤秀吉麾下の武将、徳川幕府の書物奉行、第二次世界大戦の海軍の軍人…様々な時代で奇妙な事件の謎を解き明かす探偵として名を残してきた入船家の人々を描いた連作短編集。
歴史物とミステリの組み合わせは、いつもの伊吹さん作品の定番ですが、最後のお話だけちょっと異色。舞台が現代かつ女性が主人公って珍しい。最後の作品のラストで匂わせている事件はどこかのアンソロジーに描いたお話のスピンオフなのかな。『刀と傘』の江藤新平と鹿野師光がチラッと出てくるのも(名前だけだけど)ファンには嬉しいところでした。