あらすじ
墨田区曳舟の一角にある、扉を閉ざした小さな洋服のお直し工房。亡き父から店を継いだ、少々気難しく滅多に依頼を受けない職人気質な店主・牡丹のもとにはワケありな洋服のお直しの依頼がやってくる。
亡くなった兄の一張羅のスーツ、認知症の祖母が初デートで着たスカート、入院した父が手編みしたセーター。愛する人の思い出が詰まった服を直したいと願う依頼人たちの想いを、牡丹は様々な方法で叶えていき――。涙なしでは読めない、感動の物語。
【主な登場人物】
・織本牡丹(おりもと ぼたん)
縫製職人。やや気難しく人付き合いと片づけが苦手。甘党。
・平野浅海(ひらの あさみ)
平凡な大学三年生。牡丹が借りる物件の大家の息子。趣味は菓子作り。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
話に引き込まれあっという間。コミ障の縫製職人織田牡丹、お菓子作りが趣味の可愛いものが好きな大学3年生大家の息子の平野浅海のメイコンビ持ち込まれるお直しの依頼。小学6年生の女の子が持って来た穴の空いた手編みのセーターのお直し依頼。自責の念と父の病気の回復への思い。牡丹の父への思いが伏線となっていると感じた。僕自身もコミ障でありできればずっと書斎で本を読んでいたい。と思う。でも持ち込まれたお直しの服への依頼主の思いを聞いて断れない牡丹。続の話を是非是非読みたいと思った。牡丹と浅海がどうなっていくかも気になる。すごくお似合いかも。浅海の母親はそう思って見守っているのかも。続が読みたい。大当たりの作品。至福の時間を過ごせました。
Posted by ブクログ
牡丹さん、何だかんだでチョロい。
甘いものに釣られるのは勿論のこと、個人のお客さんには対応しないと言いつつ、一度話を聞いてしまえば結局断らない辺りがもうチョロい。
結局、人の良かった父親似なのだろう。
服のお直しを依頼する人たちが抱えた事情が、もう亡くなった人の思い出の服だったり、認知症や後遺症を抱える方のものだったり、とにかく事情が重いものが多く、そりゃ裁縫以外ダメな牡丹さんでも引き受けざるをえないだろう案件ばかり。
初手から亡きお兄さんのスーツのお直し話だったし。
依頼人自体が、浅海くんも含めて、何かしら負い目を感じている人ばかりだたのも、より重くしていたのかもしれない。
彼のスイーツがあって、バランスが取れている形。
ゆえに、亡き父親を未だに毛嫌いしている牡丹さんの事情も重いのだろうと思っていたら案の定。
どこかで回収するんだろうなと思っていたこの話は、勿論最終章にて。
そこから牡丹さんの最終的な決断に至る話は、裁縫は凄腕だった彼女の別の部分での成長が見えて、とてもよかったと感じた。
父親と全く同じとはいかなくても、今よりうまく人と付き合えっていけることを祈りたいです。