あらすじ
牧師である保阪宗佑の娘が暴漢に殺害された。妊娠中だった娘を含む四人を惨殺し、死刑判決に「サンキュー」と高笑いした犯人。宗佑は自身の牧師という職業から、受刑者の精神的救済をする教誨師として犯人と対面できないかと模索する。今までは人を救うために祈ってきたのに、犯人を地獄へ突き落としたい。煩悶する宗佑と、罪の意識のかけらもない犯人。死刑執行の日が迫るなか、二人の対話が始まる。重厚な人間ドラマの書き手・薬丸岳の新たな到達点。
本書は、2023年4月に小社より刊行された単行本『最後の祈り』を加筆修正のうえ、改題し文庫化したものです。
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Posted by ブクログ
「教誨師」という職業を知れたことは大きかった。
並大抵の精神では、絶対に慣れない職種。刑務官もそう。
特に保阪はどれだけの思いで、石原と向かい合わせになったのか。自分じゃとても無理。
リアルに描かれすぎて、ついどの人物にも感情移入してしまう。
由亜ごめん…このセリフにすべてを持ってかれた。
これはもう今年読んだ中でかなり自分に刺さった本だった。生きるための復讐。新しすぎる。でも、何のために生きるのか、それは「伝え続けること」なのかな。
Posted by ブクログ
迫力が凄かった
すごくすごく苦しい物語で、人間の暗い真っ黒な部分をどこまでも追求して描かれていて読むエネルギーがすごく必要な本だった。
同じ人間という生き物がやったと
想像もできないような凄惨な事件はフィクションに限らずリアルでも起こり得るものだと思うけど
そんな事件を起こす”怪物”はどうやって生まれるのか
被害者や遺族はどうやってその”怪物”を赦すのか
人間から生まれた闇の連鎖はどうやって断ち切るのか
とても重たく難しいテーマを圧倒的な表現で描いた作品に出会うことができた
きっと自分の読書人生の中でターニングポイントになる出会いだった。
薬丸さんはかなり前に「神の子」を読んだけど、記憶が薄れてるほど前だから、他の本も絶対に読む!
読みたい作家さんが増えすぎてるなぁ
Posted by ブクログ
ものすごい読み応え。
教誨師を題材にした小説はこれまでにいくつか読んだことがあるが、これは一番心にぐさーっと来た。こんな形の教誨があるなんて。保坂の気持ちの揺らぎがすごくよく伝わってきて、こちらまで体調が悪くなる。
石原は本当の意味で教誨を受けることができた。心の底から極悪人っていないのかも。
これほどの役目がボランティアなんて。教誨師、心身ともに負担が大きすぎるでしょう。
これが映画化されるのか。
綾野剛さんがいいんじゃないかなー。
誰が演じるのかなー。
Posted by ブクログ
少年犯罪小説のイメージがある薬丸さん。
今回は更に踏み込んで、教誨師である主人公と娘を殺した犯人(死刑囚)との直接対面という小説の中でしかあり得ない設定だけど、死刑の在り方や犯罪者に対しての考え方を考えさせらた。
自分の大事な人の命を奪われた時、犯人を赦すことができるのか。
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社会的に大きな犯罪を犯しても、事件報道や裁判で刑が確定後は犯人が現在どう過ごしているのか、それを指導する刑務官、教誨師が日々どんなことをしているのか知る余地がない。
刑務所と拘置所の違いについても考えたことがなかった。犯罪を犯さない限り、直接関わりを持つことがない場所だが、もっと社会の仕組みに関心を持たなければいけないと思った。
刑務所の教誨…生きる希望を持たせる
拘置所の教誨…死ぬ覚悟を持たせる
同じ教誨師でも全く内容が違うし、実際に従事している方はどういう人なんだろうと思った。
映画化、公開楽しみです。
●私の脳内配役では、
保阪宗佑(教誨師)…妻夫木聡
石原亮平(死刑囚)…若手俳優
手嶋直也(刑務官)…菅田将暉
鷲尾(教誨師)…佐藤浩市
Posted by ブクログ
保阪宗祐は刑務所の教誨師をしている牧師である。
罪を犯した人に反省をさせ、社会に復帰できるよう心のケアをしている。
そして罪人は神の前で赦しをうける。
そんな仕事(ボランティア)に宗祐はやりがいを感じていた。
しかしそんな矢先、実の娘が暴漢に殺害された。
殺害の手口はかなり悪質であり耳をふさぎたくなるほどの
恐ろしいものだった…。
犯人 石原亮平
石原は娘を含め4人殺害しているにもかかわらず
まったく反省せず、死刑の判決にさえ始終 薄笑いを浮かべ、殺人に対して
あんな楽しい思いしたんだから思い残すことなくいつでも死刑になってやるよ、と
早く死刑になりたいと願っていて、生きることに希望すらもっていない。
裁判を傍聴していた娘の母親、真理は、
死刑なんてものでは、あの男に報いを与えることにはならないと。
娘の恐怖と絶望をあじあわせなければ!あの男に生きる希望を与えて
最後に地獄を味あわせてほしい。と宗祐に石原の教誨をしてくれと頼む。
宗祐も、苦痛と恐怖の中、殺されてしまった娘のため いろんな伝手により
教誨をすることになる。なかなか教誨に現れなかった石原だったが。。
いよいよ宗祐と石原と対峙することになるが。。。
宗祐がクリスチャンになったきっかけや、実の娘とのつながりなど
複雑な糸が絡み合い、今に繋がっている。
そして赦しとはなんなのか。
宗祐自身の過去の赦しも含め、
殺人犯の赦し、赦しを得た先に被害者はどんな気持ちになるのだろうか…、
とても難しい題材だった。
結末は想像とは違って、なんとなく期待外れのような気もしたけれど、
それが逆に あなたならどうする?という問いが残されたような気がしました。
宗祐もそうだったように、被害が実際に自分の身になってみると、客観的に見ることができなくなる問題である。
人を憎んでも、何も得られることはない。
その高いハードルを越えるのはかなりきつい。
それを超えたとき赦しの答えが出るのかもしれない。
映画化だと聞いて、だれがキャスティングされるのか楽しみになったし
映画の方も見てみたい。ただ結末が違うらしい。
個人的なイメージは、
保阪さん役には 鈴木亮平さん、
石原役には… 吉村界人さん(今のドラマのイメージ)
Posted by ブクログ
とても心を揺さぶられた。
こんなに順調に人の心って動いていくものなのか…?とは思いつつ、すごくよかった。
生死について、赦すこと、赦されることについて、深く考えさせられる作品だった。
Posted by ブクログ
もし自分の家族、大切な人を殺した犯人を許せるか。富山にいた頃の営業部長が、殺しに行くに決まってると私に言い切ったのを今でも覚えている。確かに、自分が結婚していたら迷わずそう言うかもしれない。ただ、憎しみの連鎖を断ち切ること、そしてそんな殺人鬼達も同じ地の通った人間であることを、重厚なストーリーに沿って読んでいくにつれて、工藤や石原に同情している自分もいた。死んでしまったら、伝えられないし、伝わらない。当たり前のことだが、それが出来るのは生きている間だけ。それだけでも生きている価値がある。映画も必ず観てみたい。
Posted by ブクログ
小説としてはとても満足度の高い読み応えのある一冊。
いろいろ考えたし、とてもとても良かった。
ただ、これが一般人と宗教家の違いか…と納得できないというか理解できないというか。(小説どうこうじゃなくて、きっと現実でもそうなんだろうと思う)
私ならなにがどうなっても、自分の大切な家族を殺されたら許せない。
せっかくあそこまで自分を信頼させ、死の恐怖を感じさせることができたのなら、やり遂げてほしかった。
死刑制度については深く考えたこともないから賛否どちらとも言えないけれど、執行する刑務官の気持ちを考えるととてつもない心理的負担だろうなといつも思う。
自分の大切な人を殺されたらなら憎悪の気持ちを持ち続けられるだろうけど、刑務官は直接死刑囚から被害を受けたわけではなく、日々(しかも何年も!)顔を合わせ挨拶や言葉を交わしている間柄なのに、執行はきついだろうな。
どうにかならないんだろうか。
そんなことをすごく考えてしまった。
Posted by ブクログ
大切な人を殺した相手を許すことができるのか、という問いに真正面から向き合った作品だと思った。
第1章の途中までは、言い方は悪いがよくあるタイプの小説だと思いながら読んでいた。
しかし、途中からぐっとキャラクターの思いに引き摺られて、気がつけばあっという間に読み終わってしまった。
罪もない人を殺した石原は、たとえどんなに辛い過去があったとしても死刑にせざるを得ないだろう。しかし、せめて刑が執行されるときに少しでも希望を与えてあげてほしい、と願いながら読んだ。
娘の命を奪った石原を絶望させるためだけに教誨をしていた保阪が最後に選んだ言葉は、考えうる限り最良だったと思う。
石原のような人が生まれないよう、世界がもう少しずつ優しくなってほしい。
Posted by ブクログ
帯の映画化決定により、久しぶりに薬丸岳さんの本を手に取りました。
正直、衝撃的な作品であり、最後は涙が溢れてしまいました。
娘を殺された宣教師が、娘を殺した被告人と対峙して教誨を行い、最後には…
映画は、どんなものになるか今から楽しみにしています。
由亜が、最後に口にした言葉では、体が震えるほど衝撃でした。
ちょっとだけ残念なのは真里への描写が描かめなかった点。
ぜひ映像では表現して頂けたらと思いました。
Posted by ブクログ
娘を無残に殺されてしまった保坂宗佑
犯人の石原は裁判でも反省の色を見せるどころか、逆に煽るような態度にある、自らの死をも恐れない態度に宗佑はある復習を計画する
被害者の父であり教誨師の保坂、加害者で死刑囚の石原、刑務官の手嶋と、それぞれの想いが伝わってくる
2027年度に映画が公開されるが、まだキャストは発表されていない。見たいような、見るのが辛いような
日々受刑者たちと向かい合い、刑の執行にも立ち会わざるを得ない刑務官の心労はいかばかりか。。
職務上の守秘義務などからか、小説などでも取り上げることが少ないが、本書を読んで、なんと過酷な仕事なのだろうと痛感させられた
Posted by ブクログ
実の娘を殺された牧師さんが、犯人に復讐するべく、死刑囚となった相手に教誡師として相対するお話。
復讐の目的は、死を恐れる心を持たせること、死にたくないと思わせる事。
という、なんとも重いお話。
死刑に仕事として携わらなければならない刑務官の心情とか、牧師さんの苦痛とか、それはそれはキツイ小説。
でも読むのを止められず一気に最後まで。
死刑について考えさせられた。
映画化ということで、非常に気になる作品になりそうなんだけど、俳優さんはどなたかな?と。
どれもなかなかにハードな役だよなー。
改題が割とよくて、「怪物」という言葉、小説内には出てこないんだけど、映画だとまた違った感じになるのか?というのも気になる点。いずれにしても早く観てみたい。
石原くん、あまりにあっさり改心したのが、少しだけ気になった。
Posted by ブクログ
初読み作家さん。読みやすい。
でもかなりheavyな話。当事者では無いので想像するのもなかなか難しかった。それでも宗佑や石原の感情の変化に疑問や苦痛も感じられて最後はそう終わるんだ,,,,と何となく理解できたような気がした。
来年映画化されるそうで、是非観たい。原作と同じく喰らってしまうだろうけど。
Posted by ブクログ
薬丸岳『怪物の祈り』角川文庫。
2027年公開の映画原作。2023年4月に刊行された単行本『最後の祈り』を加筆修正、改題、文庫化。
死刑囚の贖罪、被害者遺族の遣り切れぬ思い、加害者家族の複雑な心の内、死刑執行に立ち会う刑務官の苦悩、死刑制度の是非といった非常に難しく、重いテーマを薬丸岳が素晴らしい筆致で描いて見せる。
現在、日本には105人もの死刑囚が収監されているが、死刑が執行されることは極稀である。本作の中でも死刑判決から執行までは原則6ヶ月であることが紹介されている。
死刑制度を容認しておきながら、検察や法務大臣が世論を気にして執行を先延ばしにして、死刑囚が病死か老衰で死亡することをを期待しているのかも知れない。また、中には冤罪の可能性が極めて高い死刑囚も居り、執行を決断することに躊躇することもあるのだろう。どちらにしても酷い話である。
千葉刑務所で教誨師を務める牧師の保坂宗佑の実娘の由亜が自宅マンションへの帰宅時に見ず知らずの25歳の男にビール瓶で殴打され、首を絞められて殺害される。
殺害された由亜は、保坂の元恋人の優里亜の間に出来た娘で、優里亜が保坂と別れた後に密かに由亜を出産し、独りで育てていたのだが、優里亜が自殺したことから優里亜の姉の真理が由亜を育てていたのだ。
さらに残酷なことに殺害された由亜は、恋人との結婚式を間近に控えており、既にお腹の中には赤ん坊が居たのだ。
由亜を殺害した石原亮平は幼い頃に両親が離婚し、母親と姉と離れ離れとなり、引き取った父親は石原を祖母に預けて出奔し、祖母から冷たくあしらわれた石原は16歳の時に祖母を殺害し、由亜とお腹の赤ん坊の他にもう1人の女性を殺害していた。
4人の生命を奪った石原には裁判で当然の如く、死刑判決が下るが、石原はその判決に高笑いしてみせ、早く殺して欲しいと全く反省する様子はなかった。
そんな怪物のような石原を見た由亜の育ての親である真理は由亜の無念を晴らすために、石原に生への執着心を植え付けて、死刑執行の瞬間まで恐怖を感じさせて苦しめたいと考え、保坂に東京拘置所の教誨師になり、石原の担当になるよう頼む。
保坂は伝手を辿り、東京拘置所で教誨師を務めていた牧師の鷲尾と面会し、何とか鷲尾の後釜で教誨師を務められることになった。保坂は何人かの東京拘置所に収監されている死刑囚の教誨を担当するのだが、罪の意識も欠片も無い石原は教誨を望まず、なかなか復讐の機会が訪れなかった。
保坂は教誨を通じて馴染みになった刑務官を利用し、何とか石原を教誨の場に引っ張り出すことに成功する。聖職者としてはあるまじき強い復讐心を抱きながら教誨に臨む保坂と、死刑を全く恐れず、4人の殺害の様子を詳細に面白おかしく語る石原とが対峙するのだが……
本体価格1,160円
★★★★★
Posted by ブクログ
緊迫感と苦しさが読み進めていく内に伝わってきました。死刑という制度について今まで考えてこなかったのですが、死刑囚の日常から執行までの心情が解像度高く描かれており、その背景を忘れてしまうほど感情移入してしまうと同時に被害者家族がどれほどに苦しい思いと憤りを抱いていて、死だけでは償いきれないほどの罪を犯しているという側面を思うと双方が納得し合える結果は生まれてこないのではないかと思ってしまいました。自分の罪をどれだけ悔い改めても、罪は消えない。罪を悔い改め、贖罪する。被害者家族はどうすれば加害者を許すことができるのか。そんなことも考えさせられるような気がしました。重くて苦しくなる内容ですが目を背けてはいけない、そう思いました。
Posted by ブクログ
教誨師というものを知ってから、教誨師の話というのは何作か読んだが、色んな人間がいるから当たり前に、教誨師にも色んなスタンスの方がいるんだなと思った。
赦されないから刑が決まったのに、やはり家族がいない人はいないから、必ず後悔してしまうし、誰かに赦されたいものなのかなと思う。
もちろん生まれながらの悪というのは誰も居なくて、生きている過程で色んなことがあるんだろうが、愛情というか、唯一無二の無償の愛いうのが家族に当てはまるのかなと感じた。
それでもどうして由亜に全てを打ち明けなかったのかなというのは疑問だった。
こういうのを打ち明けるタイミングやらメリットデメリットというのもすごい繊細な問題なのかなと思った。
Posted by ブクログ
終わり方が少しあっさりした感があるが、そこに至るまでの被害者家族として。そして教誨師としての両心情が痛いほど突き刺さる。
そう考えると、このエンディングがベストなのかなぁ。
それにしても刑務官の仕事も大変ですね。
死刑執行の流れ、みたいな番組を以前見たことがあるが、下で受け止める係もいるわけで…。そのお手当って割に合わないんじゃない?ってくらい安いんですよね…。
立ち会う刑務官の心情も描かれていて、そこも胸が痛みます。
Posted by ブクログ
あまりにも重いテーマでしたが、人間の「情」に容赦なく迫る薬丸節が冴え渡っていてするすると読めて惹き込まれました。この重厚感は本当にすごい。いま放心状態です
Posted by ブクログ
設定に現実性が薄い部分があると感じてしまい、ノイズになってしまっている点があるため4
しかし全体的には5
教誨師の現実を読んだだけに描写のリアリティがすごいことを感じる
ラストは予想外だっただけど、心に突き刺さるラストだった
死というものに徹底的に向き合って解釈した一冊
Posted by ブクログ
【自分の娘を殺された教誨師vs.犯人=死刑囚のやり取り/死刑制度を巡る新しい論点提示】
・ かつて、子を身籠った恋人を死なせてしまい罪の意識を持ちながら牧師となった保坂宗佑は 、自分が父親であることを隠して娘の成長を見守ってきた
•しかし、その娘が結婚・出産を目前に子供もろとも殺されてしまう。犯人石原は祖母をはじめ4件の殺人を行っており死刑判決が下り、本人も死刑を望み反省も生への執着もないまま刑が執行されると思われた
・理由も無く突然娘を失った宗佑は、刑務所での教誨の経験から、石原に教誨師として近付き娘の無念を晴らす為の復讐を画策する
・石原に生きる希望を持たせたところで死の直前に絶望の淵に突き落とす計画であったが、石原との対話を重ねる内に宗佑への気持ちが変化していき、自暴自棄になっていた石原も次第に心を開いていく
・両親・姉に捨てられたと思いこんだ石原が親族への復讐心で犯行を重ねたこと、その誤解を解く機会もなく孤独な人生を歩んできたこと、石原の姉との接触で真の反省に至ったこと、等を通じて宗佑は遂に石原を赦したところで、石原の死刑は執行される
・死刑執行直前の教誨で、殺される直前に娘が発した言葉を石原経由で宗佑は知ることとなり、彼自身もまた、罪の意識から救われることとなる
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・死刑制度については、そのものの是非から運用方法、死刑囚の生い立ち、残された遺族、冤罪問題、当事者とそれ以外、他・・・まで非常に多くの論点がある
・死刑制度を運用している国は2026年現在55ヵ国程度とのことで世界的に見れば日本は少数派ではあり、答えの無い複雑な論点が多くありながらも、死刑制度は国民には[一定程度受け入れられている様に見える]特異な制度、と自分は認識している
・その死刑制度において、死刑囚・遺族の心(の変化)と「赦し」について「教誨師」という新しい切り口で切り込んだ本作を通じて、死刑に至るまでの犯罪の経緯、その更生可能性、死刑が持つ意味合い、教誨の意義・救い・赦し、等について深く深く考えさせられた
・死刑囚、その遺族、教誨師、執行に関わる刑務官、官僚・法務大臣、他様々な関係者に尋常でない負担を掛けるこの制度を持ち続ける意義は何なのか、それを通じて我々は何を期待するのか、深く重い問いを新しい形で投げかけられた
・これまでで死刑制度について深く考えさせられたのは漫画の『モリのアサガオ』(郷田マモラ)。個人的にはそれに次ぐ作品
・学生時代に、死刑制度そのものがないEU出身の友人と死刑制度の是非について議論した際に全く嚙み合わず、当時は表層的な意見しか持てていなかったことを思い出して恥ずかしくなった。今ならもっと深く話し合えると思う。一方で、死刑制度が元々無い国ではこの様な物語も生まれ得ず、議論を深める機会もないかもしれない
Posted by ブクログ
『復讐』をテーマにした作品を読みたいと思いながら読む作品がいつも自分の思ったものと違うので、あえてより重そうなこちらの作品を選んだのだが、読み終えてから深いため息をついてしまったぐらいに重い。しかしながら難しい用語などあまりなく、ストーリーが頭に入ってきやすい。それだけにストレートに重さをくらう。
それまで『死刑執行』のニュース速報をぼんやり見ていたけれど、これからそうはいかなくなったかも。読んでよかった、でも重かった。
Posted by ブクログ
話は面白かった!
すぐ読めた!
でも、なんだろ。
私はこの犯人のしたことは許せなかったなぁ。
犯人にどんなバックボーンがあったとしても酌量の余地は無いように思う。
教誨していく中で信頼関係を築けたのかもしれないけれど、んーーーーー。
犯人の境遇には同情するけど、他人を巻き込むのは違うんだよなぁ。
でも、犯人を助けられる人もいなかったっていうのはなんとも言えなくて。
だから、まだ「第三者感」が残る結末にんー。となってるのかもしれない。
あくまで小説だから。
被害者遺族の気持ちはこれがリアルだよって言われたら、こんなもんじゃねーだろっていうのが本音かな。
少し美しく描きすぎてる。
捉え方によっては犯罪者を美化してるようにも。
Posted by ブクログ
殺された娘のために、悔い改めない死刑囚に主人公である教誨師は生きたいと渇望させた上で死刑に処す。その設定自体が面白い。本来見たくない、見てはならない人間の暗闇を覗き込んでしまった。赦される罪などこの世にあるのか、そういう問題を突きつけてくる。加害者が殺人に に至る過程には運悪く辿り着いてしまった生への罪悪感と放棄を抱えていて、同情もした。それでも赦せるのか。その葛藤を教誨師という目線を通して色濃く描いた物語だった。死刑に処される罪、そこに至るまでの同情する過程、殺した事実、それらを無意識下で背負う加害者と向き合い、心を慰め死刑に処されるまでに人間感を取り戻す。死刑に処される頃にはただの普通の人間になっている。それを果たして、生に前向きで罪を贖罪させる良いことだと易々と断定してもいいものなのか。贖罪が悪いとかではなく、人間の生への欲望(今より良くなりたい)はどんな人間の前にも現れてしまうのが切なくて仕方ない。これを読んで、罪を赦しても、またどんな赦しを得ても、いずれにせよ後悔は必ずする。いつかどこかで苦渋を飲むことになる。それが物語全体に重さを与えていた。
Posted by ブクログ
ニュースで「今日〇〇の死刑が執行されました。」って聞いた事があるけど その日をいろいろな思いでむかえている人がいるんだなと思った。
その場に立ち会う刑務官の心情も大変な事なんだと思った。
Posted by ブクログ
最初から最後までかなり苦しい読書体験でした。全体を通して、死刑囚に関する話なので執行されるシーンや、被害者が殺される描写などが所々にあり、終始鬱々としながらでした。でも物語全体はとても読みやすかった印象です。
死んでしまった人は誰かに何も伝えることができない。忘れずにいたいと思います。
Posted by ブクログ
娘を殺された牧師が、犯人である死刑囚の教誨を行う。その目的は、全く反省の色を見せない相手に復讐するため。
死刑であっても構わないという相手に生きる希望を与え、死にたくないと思わせたところに、絶望の言葉を与えることが最終目的だとは言え、教誨を行う度、殺人の様子やその時の娘の様子を聞かされ、反省の様子を全く見せない相手に、主人公の方が疲弊して行く様が、本当に読んでいて辛い。
途中に刑務官視点も挟まれるが、死刑執行の様子はもちろん、その後の刑務官の心理状況なども描写されるため、死刑制度について深く考えさせられた。
ニュースを見る度、こんなに酷い犯罪を犯したのだから死刑だろうとか深く考えずに思っていたが、死刑を執行する人、その死刑囚と関わる人、そういう人たちのケアもとても重要なのだと気付かされた。
最終的に主人公は犯人に死にたくないと思わせることが出来たけども、個人的には最後許すのか…と思ってしまった。
映画は最後が原作と違うようなので、少し気になる。