あらすじ
絵本作家になる夢を追い掛け仕事を辞め、27歳で上京してから4年。
貯金なく気力も尽きた吉川結は、夢を諦めようとしていた。
取材がてら勤めていた児童館での非常勤も任期満了が近づき、心の拠り所はどこにもない。
これからどうすればいい? いや、今までどうしてくればよかった……?
孤独と息苦しさに押しつぶされそうになった彼女がたまたま訪れたのは、住宅街にひっそりと佇む定食屋・ひよりやま食堂だった。
”食堂の座敷わらし”を自称する少女・早苗と、翻訳家兼料理人の若き店主・深山司は、結を温かく美味しい料理で出迎える。
しかし、ひよりやま食堂には、「”座敷わらし”に認められないと常連にはなれない」という噂があって……?
どんな人生にも、「日和見」が必要な時がある。
手探りで日々を生き抜く大人たちの心を、そっと包み込む物語。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
思い描いていた理想とは違う形になったとしても、それまでの期間は無駄ではなく経験値が積み上がったものだという考え方が好き。
それまで叶わなかった夢が、この場所に来ていろんな人との繋がりで、わらしべ長者的に叶う。
という、ご都合主義でなくて良かった。
Posted by ブクログ
「食堂の座敷わらし」とは、ファンタジー的な存在なのか、ただ自称しているだけの普通の少女なのか、序盤はそれを悩みながら読むという。
なまじ結の境遇がリアルゆえに、ファンタジーな存在に縋りたくなるからか。
彼女の正体がはっきりするのは、終盤近くなってからだ。
今にして思うと、彼女も結とはまた違う形で悩んでいたのだなと思うと、この話の登場人物で、ただ笑って暮らしている楽観的な人はいなかったような気がする。
誰もが何かしら悩みや痛みを抱えて生きている。
それが、妙にリアルで、もどかしい。
あまりいい意味で今は使われていない「日和見」
その言葉の本来の意味を、日和見という言葉を肯定的に捉えることができる、日和見をするって大事なことなんだと思わせてくれる物語。
また、今後の将来が見えない、それなのに選択するのも怖い人たちに向けた応援の物語でもある。
作中にもあった、答えを示してくれるのではなく、あくまで選択をするのは自分だが、その背中を押してくれるお話という。
結のように悩んでいる人には、現実が押し寄せてきて辛い部分もあると思うが、彼女がちゃんと選択できたように刺さる部分、共感できる部分はあるのではないだろうか。
時には立ち止まって、時節を待つ。
その大切さに気づかせてくれたお話だった。