あらすじ
時は明治三十九年。帝大生・斎木啓吾には誰にも言えない秘密があった。それは、この世ならざる「霊異」が視えてしまうこと。平穏な生活を望む啓吾だったが、心霊研究者を名乗る子爵家の若様・連翹寺正周にその体質を知られてしまう。正周の「目」として、帝都で起きる不可解な事件に半ば強引に巻き込まれていく啓吾。現世に未練を残す魂が、彼らに託す「最期の願い」とは――。霊が視える帝大生と、視えない心霊研究者。人情と謎が交錯する、明治霊異譚。
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Posted by ブクログ
視える人と、視えないけれど何となく感覚でわかる人。
そして、そのどちらでもない人。
自分はその中のどれだろう?・・・と、つらつらと考える。
が、答えはわかっている。
そんなことを思いながら読み終えた一冊でした。
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明治を舞台とした霊が視える帝大生の啓吾と視えない心霊学者の正周と、人情味溢れる霊異譚とは何て魅力的な話だろう。
江戸時代の髑髏を掘り起こしたり、吉原から逃げた禿の行方や凌雲閣に飾られた絵が笑うなど明治39年ならではの内容で綴られる連作短編集でたまらなく面白い。
ただ、最後の姪っ子を襲い殺めた男の話はあまりにむごいし恨みたくなる気持ちが非常にわかり悲しい。
視える啓吾と祓う正周のコンビのやり取りが読んでて楽しいし、再び消えた禿の凛の謎と正周の十二単の女人の謎がとても気になる。
今冬の続編が今から待ち遠しい!
Posted by ブクログ
霊が視える帝大生の啓吾と視えない心霊研究者の正周が
織りなす、明治後期の帝都怪異譚の連作集。
第一話 ロマン髑髏・・霊に憑かれ、掘り出してしまった髑髏。
その侍の霊の頼み事は妻と助けた女の子の行方を探すこと。
第二話 祈り猫・・・元・花魁の霊が憑いた祈り猫の頼み。
火事場から去った息子と共に逃げた少女の行方は如何に。
第三話 笑う写真・・・浅草・凌雲閣の写真展で写真が笑う?
そしてある令嬢が倒れる。撮影したのはあの少女なのか?
第四話 桐箱の糸・・・5年前の啓吾と正周の出会いの話。
桐箱の金色の糸が繋ぐ縁。視える者と祓える者の因縁。
第五話 生きていた令嬢・・・7歳で行方知らずとなった令嬢が
突然現れた。まさか、あの少女?やりきれない悲劇。
終 めぐる糸・・・事件の後日の啓吾と正周の会話。
「何となく、あの人とはまた会う気がします」
縁の糸は、めぐる。
江戸は遠くなりにけりな感のある明治時代後期ではあるが、
かつての時代の残滓が所々で見受けられる。
更に、文明開化以後の東京の姿。新しい身分に貧富の差、
廃仏毀釈後の影響、新聞社や写真館、そして学制。
帝大生の二人。霊が視える啓吾と視えない子爵家の正周。
巻き込まれる怪異譚にはミステリーとファンタジー、
そして人情物が混在している。
序盤からの数話は、あっけないほど分かり易い内容だったが、
実はフラグが隠されている。終盤に至る展開でそれらが
露わになり、なんかウザいボンボンの正周の良い人ぶりが
出てきて祓う能力まで示される妙。
また、新聞社の上条、寿照尼と占部峯斎などの個性的な
人物たちが登場し、物語を引き締め、複雑な様相が発現する。
要所に登場する皐月。彼女の正体がわからぬままの終焉は
消化不良なので、続編が出ることを期待します。
めぐる糸の縁が彼女にも繋がっていますように。
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サクサク読ませてくれる。時は明治の終わり、霊が見える帝大生が主人公の5話からなる連作集。
ホラーじみてるけど一つ一つの文章がリアルで今の世に置き換えても不思議はない程。やはりこの作者は読ませて下さる方と平伏。
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今まで読んできた永井さんの本にはない感じで新鮮でした。
ライトでサクサク読めます。
思わずホロリとしてしまう人情の温かさは相変わらず。
「祈り猫」「生きていた令嬢」が特に印象に残りました。
凛ちゃんには幸せになってほしいです。
縁があるとのことなので、続編で再登場があると信じています。
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視えることを受け入れられ、視えないことも強みになり。ひとりの事を皆が気にかけて行動し、その行動の糸は次にまためぐる。
「厳しい世の中での人間同士の思いやり」を味わいたかったら、永井さんの本は間違いないなあ。
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明治時代。帝大生の啓吾には霊が視えた。周りの目を気にして視えないふりをしていた彼だったが、子爵家の次男坊である正周と出会ったことで変わる。正周は霊を視ることはできないものの怪異に興味を持ち、そして悪しきものを祓う力を持っていた。二人の青年が数々の怪異に出会い、その謎を解きほぐしていく優しい読み心地の作品です。
連作短編集で、それぞれの物語は緩やかに繋がっていく展開です。人々の間に張り巡らされた糸のような「縁」もまた物語の中核。何かの導きのようにして出会ってしまった啓吾と正周。好奇心と行動力が旺盛な正周をやや疎みつつも、友人でいることに安らぎを覚えている啓吾の様子にほっとします。このコンビ、良いよなあ。
怪異を巡る謎も、恐ろしいようでありながらも穏やか。「生きていた令嬢」が一番はらはらさせられますが、恐ろしいのは怪異の方じゃないよね。そしてあの人の行方がとても気になるのだけれど。続編に期待かな。
Posted by ブクログ
霊異ものの小説というのは初めてだったが、オカルト色は無く、優しい人情話として描かれていて大変面白かった。
次回作がありそう終わり方に見えるので、凛のその後や啓吾・正周コンビのさらなる展開が描かれることを期待したい。
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変わらぬ流麗な文章で読むのが楽しい。既作品とは少し趣を異にする明治の怪異譚(霊異譚)。3話目辺りまでは普通に面白かったが、この終わり方は頂けない。ある程度の解決を読みたかった。「祈り猫」は秀逸。
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明治になってから40年ほど経過した時代が舞台。
その頃は江戸時代とはガラリと変わり、文明開化の様相を呈している。
しかしまだ、目黒は一帯が田畑だというから驚きだ。
現在の東京23区でそんな場所はもう残っていないので、その時代の東京を歩いてみたくなる。
物語自体は霊の視える青年と華族の青年コンビが謎を解いていくというものだが、怖ろしさはなく、優しい空気が作品を覆っている。
そういえば大ヒット作の『木挽町のあだ討ち』も、思い返せばそうだった。
本作は続編も刊行が決定しているので、そちらも期待したい。
Posted by ブクログ
怖い話は苦手ですが、こちらは怖いというよりはクスッと微笑ましくなる場面もあり、ほろりとしてしまう場面もありつつ、なぜだろ?ときになって先を読み進めたくもなり、かなり好みの作品でした。
霊異が見える啓吾と霊異をみたい、会いたいと願う若様もいいコンビ。
連作になっていて様々な事件や謎を追いつつ、最後にはスッキリと謎が解け、モヤモヤが残らない読後感も好きです。