【感想・ネタバレ】ジェノサイド 下 新装版のレビュー

あらすじ

イラクで戦うアメリカ人傭兵と日本で薬学を専攻する大学院生。二人の運命が交錯する時、大冒険の幕が開く。アメリカの情報機関が察知した人類絶滅の危機とは。一気読み必至の超弩級エンタメ!

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Posted by ブクログ

上巻に引き続き、期待通り非常に良かった。
少年兵たちの出自回想シーン、そしてイエーガーたちとの戦闘シーンが壮絶すぎて強烈で、ずっと後味の悪さが残る。
ヌースは複雑系を瞬時に理解するという特性を持つ。
が、一応現実としては、変数が多いカオスは、時間の経過とともに指数的に可能性の空間が広がるため、この世では情報を保持しきれなくなる制約がある。
そのため、直前までは予測できても、遠い未来になるとどんなに高性能な計算機であろうとお手上げだ。ここの部分は創作作品ならではの疑似科学だろう。
本作だと海流の計算が当てはまる。タンパク質合成の部分も変数が多すぎる。
その点、政治的駆け引きはまだ変数が少ないため、現実味が大きい部類だ。
ヌースは、本作ではアキリとエマという姉弟が登場した。
実際にヌースたちをヌースたちたらしめている遺伝子が、どこまで顕性なのか、そして生殖遺伝子として残るかどうかが分からない。
ヌースは手足が短い、頭が重くてバランスが悪い、声帯の発達が遅いといったネガティブな部分もある描写があることから察するに、特定の病気など環境への適用にも何らかの脆弱性を持っていそうで、仮に彼ら2個体だけで種数を増やそうと思えば、近交弱性を避けられない。
彼らほどの知性があれば、遺伝子操作技術などもお手の物だろうから、十分な年齢まで生き延び、また現生人類の協力者がいればきっと遺伝子を拡大させられるだろう。
ホモサピエンス・サピエンスには、ネアンデルタール人の遺伝子も多く含まれている。
ここには数万年前にホモサピエンスとネアンデルタール人の間に交配があったことを示している。
また例えば日本人だけを見ても、縄文人の遺伝子と弥生人の遺伝子の両方を大勢が持っている。
となれば、ヌースの個体数から見ても、きっと現生人類(ホモサピエンス)とヌースの間にも交配はやがて行われ、一見には分からないような形で人類総体としての進化を伸ばしていくような未来になるんじゃなかろうか、と想像する。
本作でもゲーム理論でいうしっぺ返し戦略を取っていたし、多分直接対立するよりも程よく均衡をとるのを最適解として選んでいくんじゃないかな。

ホモサピエンスがどれだけ暴力性を素質として秘めているのか。理性で以てなんとか均衡を保っているだけで、システム1を開放すればどれだけ愚かな潰し合いに発展するかは目に見えている。
そこに目を向けさせるためにも、日本人読者を対象とした日本語の本であるからこそ、南京大虐殺、朝鮮支配時の様子、ミキヒコの狂乱と粛正、日本国内の工作員や公安警察の様子など、居心地の悪い描写を敢えてさしはさむことに意味があると思う。
単に独裁者が悪い、アメリカが悪い、武装勢力が悪いという構図にしてしまうと、敵の実態が遠くなってしまってメッセージが薄れてしまうからだ。
真摯に、自らを律する力を磨き続けることをたゆまぬようにしたいものだ。

創薬、軍事、遺伝子学、国際政治など多様な要素が入り混じった非常に心沸き立つ作品だった。

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2026年08月16日

Posted by ブクログ

大学生の頃の自分に読んで欲しい。
ちょうど、卒業論文を前に教授から言われた言葉
「過去の研究を踏襲し、そこに1つ自分のオリジナリティを付け足しなさい」
当時はその必要性・プロセスをよく理解できなかったし、自身の思いつきや閃きなど何の役にも立たないなどといじけていた思いがあった。
そんな時にこの終盤、先人への思いを馳せる研人と出逢っていたならば。そう思わずにはいられなかった。

この物語では、多くの人の(勿論人生を捧げたような先人達の努力が身を結んでいるところが多いが)積み重ねが「GIFT」という魔法を意味あるものにしました。

あの時の自分も、たとえ卒業までの間だとしても1人の研究者となっていたならば。そんな事を考えながら、研人を見守っていました。

また読み返したい。
再度このモンスター作品と対峙した時、私は何を感じ、何を思うのだろうか。

挙げたらキリが無いくらいに溢れる見せ場のオンパレードを共に楽しみましょう。

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2026年08月13日

Posted by ブクログ

圧倒的なスケールの中で展開されるストーリーに、終始夢中になる。と同時に、下巻では色んな場面で人類や世界に対する多くのメッセージ性も感じる。
イラク戦争の凄惨さ、米大統領の権力濫用、同じサピエンス同士での殺し合い、科学が生み出した核兵器という殺戮器、そして見返りを求めない善行…。知性を手にしたはずの「人類」がやってきたことの多面性を感じることができた。
なぜこのタイミングで新装版が刊行されたのか。戦争を辞められない人類に突きつける現実、1人の権力者の判断で何万人もの命が奪われる可能性、意思を持ったAIが登場するかもしれない未来(人類の知能を超えた存在)。どんな価値観で、どんな生き方をしていくのがいいのかすごく考えさせられた。

サピエンス全史で『認知革命』を起こしたことによって他の人類との争いに勝ったとされていたけど、それがサピエンス同士の争いにも発展して収拾がつかない状況に追い込まれてしまっていると思う。今後AIが意志を持って自律するようになった時、この本のように人類は支配される立場に成り下がってしまうのではないか?この本とここ最近で言われていることに対するバイアスがかなりかかっていると思うが、そんな可能性をも考えて向き合っていかなければいけないと思う。
そして、人類が他民族や非友好国に対して勝手に感じる「恐れ」という認知がいまの時代の再軍拡という方向につながってしまっているのではないか。様々な意思を持った人類の集合体である国家同士の対立を収束させることは簡単ではないけど、この本を通してそこに一石を投じる重要性をものすごく痛感させられた…。

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2026年07月10日

Posted by ブクログ

色々な人物の視点で物語が進んでいき、話のテンポがとても好みだった。
また、設定もかなり作り込まれてるいると思ったし、考証にも力を入れてるいると感じた。

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2026年06月25日

Posted by ブクログ

本当にすごい景色を見させてもらった傑作でした。エンタメ小説としてのクオリティもさる事ながら、色々と考えさせられる重ためのテーマも扱う社会派の側面もある凄まじい小説です。
ジェノサイドというタイトルの通り、アフリカ大陸の内乱や、米国大統領の愚行だったりと、人間の醜い側面に焦点を当てた場面が頻発します。特に子ども兵の登場シーンは本当に心が痛みますね。
超知能との相対シーンも、人間の醜い側面が見える中で際立ったメッセージが包含されています。
本書を読むと、トランプ大統領のもたらす無秩序、超知能AIが人類を滅ぼすかもみたいな現実世界の話が想起されますが、本書の新装版がこのタイミングで出たのは偶然でしょうか、または狙いだったのでしょうか。

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2026年05月09日

Posted by ブクログ

ネタバレ

進化した人類が世界征服していく話かと思ったらそうじゃなかった。
けど、これはこれで面白い。壮大なストーリーだった。

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2026年08月11日

Posted by ブクログ

ネタバレ

ものごっつい映画を観ているような気になった!!
エリート傭兵がジャングルで特殊ミッションとか、終始厨二心をくすぐる!たまらんですたい。
ミック、こんな中に日本人出してくるとか、すごい仕事するんだろうなーって思ってたら死んでしまいびっくり。けんとは善い日本人、ミックは悪い日本人として、同じ国の人間でも相反する感じにしたかったのかなぁ。
韓国人(名前忘れた…)をいいキャラで出したのも、国と国は仲悪いけど、人と人はそんなの関係ないですよーっていう作者からのメッセージなのだろうか。
この地球のてっぺん取ったとあぐらかいてる人類は、実際にアキリやエマみたいな人智を超えた存在が出現したらどうなるんだろ?って、この小説を読んで初めて考えてみたけど、大人しく支配されることはないだろうし、やっぱりこの小説みたいに戦おうとするんだろうな。
今まで気にしたことなかったけど、人間って弱いくせに傲慢な生き物だなぁ…知能は高いけど、フィジカルじゃ犬にも勝てない。私は猫にも勝てない。毎日踏んづけられてるのにやり返せない。
話逸れましたが、楽しませてくれて色々考える機会を与えてくれる本なので、オススメです。

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2026年06月21日

Posted by ブクログ

急に面白くなった。逃げて追っての繰り返しで、中弛みもしない。本当に規模感の大きなエンタメ小説で映画を見てるみたいだったなぁ。各シーンも綺麗に対称性もあって良かった。

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2026年06月09日

Posted by ブクログ

概ねいいのよ。主人公は薬学院生で、物語冒頭で亡くなった父の開発している秘薬の開発に携わるようになり、また世界(というよりアメリカが)コンゴで発見された新種人類ともいうべき天才に振り回されるというのも面白い。特に新種人類はピグミー族の子として生まれた後、わずか3年にして天才的な戦術的視点を持っていて、あたかも今の「生成AIによって生まれた人類を超える知能が何をするかわからない不安」を先取りした感じになっている。人智を超えた存在とどう共存できる社会を作っていくのかを考えさせる構成にもなっており、そこに葛藤するアメリカ政府職員の心情など吐露されており、非常に共感できる。一気呵成に読ませる物語であるのもいい。ただなあ。。。ちょっと政治的記述が目立つのがいまいち。例えば主人公と協力する韓国人学生がいるが、親しくなるときに、わざわざ日本がかつてした戦争犯罪や関東大震災における朝鮮人虐殺の説明をした後に、果たしてそんな歴史を持っているなか仲良くできるのだろうかと主人公葛藤するのだが、そんな下りは要らなくないか?気が合えば歴史なんて関係なく普通に友達になれるし、同じ目標に向かって協力できるだろう。そんな余計な部分が鼻についてしまうのがマイナス。
一方、物語の中でコンゴの反政府勢力に加わっている少年兵の描写があり、そこは非常に印象に残った。おかげで「戦場から生きのびて」という少年兵からの回復を著述した自伝に行き当たったので、そこは感謝。

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2026年05月28日

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