【感想・ネタバレ】ノーウェア・ボーイズのレビュー

あらすじ

『イッツ・ダ・ボム』(松本清張賞受賞作)で話題をさらった新鋭の飛躍作!

憧れの女性と結婚した中学時代の友人が、人を殺したという。社会人二年目の僕のもとに舞い込んだ衝撃のニュースは、忘れたかった記憶を呼び起こす。町田生まれ町田育ち、中学二年生の僕が「町田市内で知らない場所はない」と思っていたあの頃、リス園での事件から僕を助けてくれた大学生の〈響さん〉。憧れの彼女と過ごした僕ら四人の輝かしい日々は、たった一つの暴力で終わりを告げた――。あれから十年。今度は響さんを助けるために、僕は過去に向き合わなくてはならない。ひとりよがりな思いが想像を超える瞬間へと繋がる、愚かでクールな青春ミステリ。

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Posted by ブクログ

恵まれない家庭環境でなく、むしろ不自由なく暮らしている少年たちの憂鬱な記憶 #ノーウェア・ボーイズ

■あらすじ
町田で生まれ、育った少年たち。地元で平凡な毎日を暮らしながらも、どこか満たされない毎日を送っていた。少年根津光一は、リス園で女子大学生の桐原響と出会い、少年たちと奇妙で楽しい友人関係が始まる。しかしある日、憧れの響を街で見かけると、これまで見せてこなかった表情を浮かべており…

■きっと読みたくなるレビュー
少年時代のほろ苦い記憶、あの場所、あの頃、あの人物を思い出す青春ミステリーです。

こんな作品を読むと、自分の青春時代を思い出してしまいますよね。お金なんか全然なかったけど、毎日がキラキラ輝いていてさ。解像度高く記憶を呼び覚ますことができるのです。

本作の主たる時間軸は2025年、大人になった少年たちが地元町田に集まってくるところから始まる。憧れの女性響と結婚した中学時代の友人猪瀬が、殺人事件を犯したらしい。一方主人公の根津は、すでに結婚して妻は妊娠中。彼らの事件に向き合うことで、過去の自分を取り戻そうとする… という筋立て。

井上先斗先生の作品は、まず世界観がクールなんですよね。文体としてはライトなんだけど、決して幼稚ではなく、むしろ洗練されているの。描くシーンの場所もセリフも感情表現の、上品かつ繊細なんすよ。かつて松本大洋のマンガを初めて読んだときと同じような感覚になりました。

キャラクターがイイんすよ。根津をはじめとする、どこにでもいそうな中学生たち。猪瀬はちょっと荒くれ者。バッティングセンターでつるむ彼らを見てると、ひとりひとりの悩んでいる顔が目に浮かんでくるんすよね。

特段恵まれない家庭環境でもなく、むしろ首都圏郊外で不自由なく暮らしている少年たち。しかし彼らにもストレスがある、人間関係、勉強、両親からのプレッシャー。やりたいことを自由にできない、現代社会の息苦しさを感じつつある。だからこそどんなものにも影響を受けてしまう、敏感な年代とも言えます。

そこに現れるマドンナの響さん。彼女を中心に物語は展開するのですが、ここが一番の読みどころです。彼女はいったいどんな女性なのか、何が起こるのか、そして関係性はどうなるのか… 詳しくは語りません、ぜひ読んでいただきたい。

ちょっとだけ語ると、中学生時代と大人になってからの想いの違いが綿密に描かれているんすよ、胸の奥に何かが伝わってくるのよね。はー、切ない。

大人になるってことは、成長であり、独立であり、責任である。でもいつかどこかに忘れてきた何かを見つめ直さなきゃならない時もあり、実はそこに解決のヒントがあったりもする。今度の休みの日は、青春時代の友人たちと通っていたファーストフード店に行こうと思いました。

■ぜっさん推しポイント
本作も舞台である町田市の丁寧に描いており、行ったことなくてもイメージが伝わりました。駅前は繁華街だけど、少し駅から離れると緑も増えつつある首都圏近郊のベッドタウン。決して都心ではないけど、便利で住みやすく、子育てにも適した街なんだと思います。

日本のどこにである、都心でもなく田舎でもなく、どっちつかずともいえる街。何の不自由のないんだけど、幸せで満たされているわけでもない。どこに怒りをぶつけていいか分からなくなる、ちょっとだけ憂鬱な感情が漂ってる街だとも感じられました。

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2026年03月20日

Posted by ブクログ

途中までは青春って感じで、たまに出てくる独特の文体も嫌いじゃない。
社会人になってからの主人公の行動は自分の罪悪感を押し付けて回ってるようで違和感しかなかった。
響さんはあれで救われたんだろうか。
ミステリ部分も、いやそれは無いやろって読んでたらドンピシャだったりしてそこも違和感があった。

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2026年03月26日

Posted by ブクログ

前半は中学男子のスタンドバイミー的な仲間同士の話と、響という女性への恋に似た感情のなかで物語は進む。
ところが仲間の猪瀬が起こした事件から物語は変わってしまった。
人が死んだ事件へと介入したがる根津光一
の行動に違和感を持ってしまった。
過去への哀惜からか、衝動的で感情的な行為に賛同できない。
舞台になった町田を知っているので、物語に没入しやすかったのだが、後半の顛末には納得できなかった。

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2026年03月14日

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