【感想・ネタバレ】マウントウィーゼルを知ってるかのレビュー

あらすじ

存在しない写真家の作品展が不思議な旅の始まりだった――
あやしすぎる演奏会、燕尾服のチェリスト、そして……。

“SFと幻想小説のあわいに 新たな領土を切り拓く!”
知る人ぞ知る“実在しない写真家”リリアン・ヴァージニア・マウントウィーゼル。
彼女が撮影したかまぼこ型郵便受けの写真は、もうひとつの世界への招待状だった……。
『新コロンビア百科事典』に仕込まれた実在する虚構記事を入口に、読者を別の現実へと誘うモダンファンタジー。
新人とは思えない導入のうまさに舌を巻く。私もマウントウィーゼル・ソサエティに入りたい。
――文芸評論家・大森 望

憧れの先輩に死を決意させた、もう一つの世界って何なの!?
大学軽音部の先輩、牧野千聖が自殺を図った。今は社会人の坂本杏奈は、カリスマ的なボーカルの千聖に憧れていた。抜け殻のようになって入院した千聖。
なすすべもない杏奈の眼が、病室の壁に引き寄せられる。庭先に立つ郵便受けの写真だ。裏にはこう書かれていた――「Mountweazel Society」。
千聖は、かつて杏奈にたずねた。「リリアン・ヴァージニア・マウントウィーゼルって、聞いたことある?」
郵便受けの写真で知られ、事故死したマウントウィーゼル。だがそれは、盗用対策として百科事典に記載された、架空の写真家の名前だった!
自殺はなぜ? 鍵はマウントウィーゼルなのか。千聖への思いから真実を追い始めた杏奈は、写真の郵便受けを見つけ、やがてマウントウィーゼルの実在を信じる人々に出会う。
だがその先に待ち受けるのは、さらに驚くべき真実だった!

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Posted by ブクログ

 カルチャースクールの事務職員として働く坂本杏奈は六月のある日、見知らぬ番号からの着信を受ける。スマホ越しの相手は牧野千聖の父で、千聖が服毒自殺を図ったという。千聖は大学時代に杏奈が所属していた軽音楽部のカリスマ的存在で、憧れの先輩だった。一命は取り留めたものの反応がなく、重度の記憶喪失が疑われ、しばらくは入院生活が続くだろう、という見込みだ。病室に置かれた写真の中から杏奈は一枚の写真に胸騒ぎを覚える。かまぼこ型の郵便受け。写真の裏には、『Mountweazel Society(マウントウィーゼル ソサエティ)』と記されていた。

 というのが本書の導入です。〈存在しない〉写真家リリアン・ヴァージニア・マウントウィーゼル。一九七五年版の『新コロンビア百科事典』に盗用対策として載った架空の人物について、かつて千聖から知っているかどうか聞かれた杏奈はそこに千聖の『自殺』未遂の真相があるのではないか、という謎を追っていく幻想冒険譚が本書です。不確かな現実に実感が灯って、新たな世界が表出していく様子が、かすかな不穏を伴いながらも、とても美しく、心にしみいる一冊でした。SF、ファンタジー、ミステリと様々な側面の魅力があるように思います。もっと広範のひとに読まれて欲しいなぁ、と感じる作品でした。

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2026年03月08日

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