あらすじ
とある惑星。未開発地帯の権利を購入し、理想の国を作る――。共通の目的のもと、選ばれし5人は人間型の巨大歩行工作機械、通称ゴリアテに乗り込むことに(「ガングリオ山脈の垂直壁」)。ほか、SF・冒険小説に登場し、椎名誠の世界観を体現する、あの「北政府」の元傭兵・灰汁(あく)が登場。終末戦争後の荒廃した世界で、新たな相棒と共に暗躍する。独自の言語感覚で紡ぐ、全6話を収録。5年ぶりにファン待望のSFを上梓。
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Posted by ブクログ
椎名誠による新たなハードSFが上梓されたと知り、素直に嬉しくなりました。他の人の書評を読むにつけ、この作品はもはや私にしか読み解けない世界観なのではないかと、どこか独り占めしているような気分にもなります。
1990年前後に出版された『アドバード』『武装島田倉庫』『水域』を夢中で読んでいた20代の頃、それらは私のイマジネーションの源でした。あれから30年の歳月を経て本作に触れると、私自身もまた年相応の円熟を重ね、鮮やかな想像力を内側に育ててきたのだと実感します。
説明もなく唐突に「ムロト川」や「百舌」という少年の名前が現れたとき、かつてダムを爆破し北政府を押し流したあの一件が、記憶の底から浮かび上がってきました。読者に説明を与えすぎないこの手つきは、私にとってきわめて効果的でした。
椎名誠の超常小説は、私の頭の中に組み上げられる立体絵本のようなものです。そこには、未知の世界を生きる名もなき人々とロボットたちの日常が確かな手触りをもって広がっています。