あらすじ
ひとりの人間の生き方が、周囲の人々にどのように影響を与えるか。生々しい人間ドラマ。
中津志津代の両親は、佐渡・真野村から北海道・苫幌村(仮名)に来て、村唯一の日用荒物雑貨、食料、衣料品を扱う商店を営んでいる。志津代は旅人宿を営む西館家の次男・文治に思いを寄せていたが、天性の美貌と豊かな感受性をもつ母・ふじ乃が、ある一夜、行商人と過ちを犯してしまう。翌年生まれてきた新太郎をめぐって、父と母の対立がはじまり・・・。
著者の父方の祖父母をモデル(性格が似ているだけで、ストーリーは虚構)に、人間の生々しい生き方を描く問題作!。
「三浦綾子電子全集」付録として、三浦綾子記念文学館初代館長・高野斗志美氏の「登場人物を読む/ふじ乃――『嵐吹く時も』」を収録!
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Posted by ブクログ
志津代と順平の蔵の中でのシーンが好き。
順平が志津代を思う気持ち…尊い。。
"金や財産は人間を育てない。いや、育てる邪魔をするかも知れない"
はなんかわかる気がしてうぬ、、。
Posted by ブクログ
【嵐吹く時も 上】 三浦綾子さん
北海道苫幌村でただ一軒、日用品・雑貨から食料品まで扱う「カネナカ」。
その「カネナカ」の娘志津代は母親に似て美しく賢しい子どもであった。
父親の順平は温厚で人望もあり、母親のふじ乃は美しく鉄火肌の人であった。
両親は二人で力をあわせ「カネナカ」を苫幌一の店に育て上げた。
志津代は幼き頃より、苫幌村の宿屋「山形屋」の次男文治に思いを寄せる。
文治もまた、志津代に思いを寄せるが、内なる思いを打ち明けることが出来ずに居た。
ある日、順平が東京へ出かけている時、ふじ乃が行商人の増野と過ちを犯し
新太郎を身ごもる。
順平は新太郎が我が子で無いことを察し、志津代にカネナカを継がせるよう心に決める。
志津代が文治を好きなことを知った順平は、いずれは彼と志津代にカネナカを継いで
貰おうと考え、彼をカネナカに使用人として迎えようとする。
しかし志津代に対し、素直になれない文治は順平の話を断り勉強の為に
東京へ行ってしまう。
思いやりの深い順平も新太郎に対してはやさしく接するコトが出来ず、
そのコトに不満と順平へのやましさを感じるふじ乃。
順平とふじ乃の仲も狂い始めた。
新太郎を甘やかすふじ乃に、見るに見かねた志津代が激しく叱責し詰め寄る。
その諍いに心を痛めた順平は急死してしまう。
志津代とふじ乃は順平の死に衝撃を受け、自らを責める。
順平が居なくなってもカネナカの忙しさは変わらない。
その年の暮れ、病気で苫幌へ帰ってきていた文治はふじ乃の願いで
カネナカで働くコトになる。
☆
三浦綾子さんの書く小説に出てくる主人公はいつもキレイだと思う。
「氷点」の陽子、北原邦雄、「泥流地帯」の拓一、耕作兄弟
「銃口」の竜太、「海嶺」の音吉
そして、この本の志津代と文治
清貧で、謙虚で、潔癖で、まっすぐで。。
読んでいて心が洗われる気がします。