あらすじ
「日本で起きている、連続狙撃殺人事件をご存知ですか?」
――ある日、海外に住む男のもとに、若い警官から突然電話がかかってくる。猟銃が使用されたと思われる事件。その警官は、犯行の状況を語り、かつてハンターだった男に推理を求める。男は、自らの想像を語り、実行犯のトリックを暴いていく。見事な推理だと喜んだ警官だったが、事件はそのまま解決へとは向かわなかった。
全てが電話の会話だけで構成されたクライムサスペンス。
複数の人物が織りなすその物語が示した衝撃の結末とは――。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
時雨沢さんの久々の完全新作。
ミステリー仕立ての作品自体も十分面白いのだけれど、
これを書いている時雨沢さんがいちばん楽しそうなのを
想像しながら読むのが乙。
あとがきによると
思った通り
かなり自由かつ楽しく執筆されたとのことです。
タイトルのフロスト・クラックが造語でなかったのが
いちばん驚き。
Posted by ブクログ
「ほほう、時雨沢のヤツ…、こんなにも書けるのか」と感じさせる、いつもとは違う物語の進行と、時雨沢節の銃に関する詳しい解説を楽しめました。
ほとんどが通話で物語が進み、二転三転さらには五転六転するような展開で、一気に読み切ってしまうほど面白かったです。ネット連載でも読めるようですが、書籍でも読みやすいです。ネット連載では、横書きで通話の話者が都度かかれていたり、行間が空いている違いがあるとのこと。
フロストクラックのタイトル回収や、話を聞くだけでここまで推理できるのかと驚きながら読めた。
最近のキノの旅の新刊に続き、時雨沢さんの本が読めたのが嬉しい。
Posted by ブクログ
キノの旅の作者さんが変わった小説出したなーと思い購入。
読みやすいし面白い。
最後の方はこことここが繋がってるのかと、わかるととてもいい具合に脳がスッキリする。
Posted by ブクログ
ラノベ自体久々に読むのでちょっと不安もありつつ読み始めました。読んでて1番思った事は作者さん本当に銃が好きなんだなぁとw
会話のみで構成されているのに説明不足も感じず情景もきちんと浮かんでくるのはすごい。
ラストちゃんと鳥肌。
Posted by ブクログ
全編が「電話の会話」だけで進む異色のサスペンス。
地の文がない世界で、声と想像だけが真実を形づくっていく。
読んでいると、まるで自分が“事件の盗聴者”になったような感覚になる。
この物語の面白さは、単なる推理やトリックにとどまらない。
暴力に惹かれる人間の心理、見えない相手と話すことの危うさ、
そして「想像することの罪と救い」という、時代を超えたテーマが潜んでいる。
現代のSNSやネット社会は、声や文字だけで人と関わる世界。
私たちは毎日、他人の物語を“推理”しているのかもしれない。
事実を語るつもりが、いつのまにか自分の物語を作っている――
そんな人間の矛盾を、たった一本の電話が静かに暴いていく。
異形の構成の奥に、人間そのものの普遍性が見える一冊。
読み終えた後、しばらくは誰かの「声」を聞くたびに、
この物語の余韻が蘇りそうだ。